事業計画クラウド「Scheeme(スキーム)」を展開するScheeme株式会社は、「挑戦を讃え支え続ける社会を創る」をビジョンに掲げ、創業初期の起業家やスモールビジネスを成長させる独自のサービスを提供しています。代表の杉守一樹さんに、創業にまつわる熱い思いと今後の展望を伺いました。

お金の悩みを解決することで挑戦する起業家を支えたい

駒木)企業にとって、ビジネスに取り組む上で最も重要なものは、資金繰りだと思います。本日は、事業計画クラウドサービスを提供しているScheemeの杉守さんから熱い想いをお聞きしたいと思います。最初に創業のきっかけを教えてください。

杉守)前職の会計事務所では創業融資や資金調達を主に担当していて、情報の格差でうまくいかない事業者を多く見て、失敗される方を救えることがかなりあるのではと思ったんです。起業家の共通の悩みは、計画が立てられないことと資金繰りなんです。地銀で支店長を務めていた方が、脱サラして個別学習塾を起業したケースでは、家賃を滞納して、銀行への返済以外は全部止めているような状況になってしまいました。会計事務所との顧問契約は解除になりましたが、個人的にサポートして何とかそのまま事業を継続しました。最近になって「あと1カ月で倒産するところだったが、今は3社まで広げて、うまくいきました」と言ってもらいました。

先にお金の悩みを解決することが、事業を軌道にのせて存続させるために重要だと思います。会計事務所がマンパワーでやるようなノウハウは、フィンテックで解決できるはずなんです。フィンテックをうまく使って、今から始める人も挑戦を続ける人もどんどん増えていけば、非常に素敵な世界になると思ったのが創業のきっかけですね。

駒木)杉守さんがやりたいことと会計事務所の方針が違って歯がゆい思いをされたんですね。またお話しいただいた事例では、支払いサイトの関係で出金がかさんで、見た目の入金がない。だから事業を軌道にのせるための支援が得られなかったということですか。

杉守)忙しくて帳簿まで手が回らない。帳簿がないと確定申告書を出せないし、決算書がないと融資も受けられない。決算書だけだと赤字なので、プラスの資金繰り表を作るのをお手伝いしました。もともと銀行員で得意なはずなのにできなかったのは、かなり大きいキーになるポイントだと思います。

画像: お金の悩みを解決することで挑戦する起業家を支えたい

駒木)奥様の実家でも問題があったとお聞きしました。具体的にはどのようなことだったのでしょう。

杉守)妻の実家は茶の湯の道具を扱っている卸業者で、お祖父さんが道具を作る作家で、全盛期には10名くらいで小売もやっていました。僕が創業した2016年には既にかなり良くない状況で、帳簿を見せてもらったら、お金の管理がされていなくて、在庫はとんでもない数がある。税理士はいるけれど、キャッシュフローに関してはどんぶり勘定で20年以上続いていたんです。在庫を処分してお金にするとか、いろんなことができたのに気づいたら時すでに遅しでした。僕も創業したばかりでできることは限られていて、結果的に廃業することになりました。

駒木)税理士は過去の実績の整理ができても、未来に関してどうすべきかを提言できない。特に中小企業ではそうですね。

杉守)お金に対してシミュレーションができたらもっと手が打てたはずなんです。会計ソフトで帳簿をつけても、過去のデータなので未来の対応ができない。僕たちのやりたいのは未来のことなんです。

中小企業が資金繰り表を作るのは、融資を受けるときくらいで、そのあとは決算書を年に1回提出すればいい。資金繰り表を作っているところはすごく少なくて、会計ソフトを入れて、あとは税理士任せでそこまで重要視していない。もちろん財務部長がいるような会社では、資金繰り表はつけているし、そういう会社はつぶれにくい。社長は資金繰り表の重要性に気づいているが、作るのはかなり難しい。例えば、大きい手形があるときに、手形の管理をしないと連鎖倒産してしまう。マイクロビジネスや創業期に、お金の管理をきちんとしないと、途中からは難しい。ファイナンスについて苦手意識が日本人は強いが、「Scheeme」を最初にインストールできる形を組めれば、資金繰りの問題を解決できると思っています。

ビジネスへの関心から、会計事務所を経て企業へ

駒木)会計事務所での創業支援に限界を感じて、現在は事業計画をクラウドで簡単にするサービスを展開されているわけですが、学生時代はもともと何を目指していたんですか。

杉守)実は学生のときから起業したいと思っていました。一という数字が好きで、名前にも一が付いていますが、勉強やスポーツではなかなか一番にはなれなかったので、何か一番が取れる分野はないかと考えたんです。子供のころにテキ屋でバイトをしていて、地元の商店街で僕らの店が一番だった思い出から、社長になるしかないと思ったんです。

駒木)子供心に商売の面白さを感じたんですね。

杉守)そうですね。大学にいく選択肢もあったんですが、どうしたら起業できるのかと考えて、美容専門学校に決めました。学生のときは目に見える商売がすべてで、飲食か美容なら将来も絶対になくならない、つぶれない商売だと思って、美容にしたんです。美容師としてではなく、美容室のオーナーになりたいと思って、東京の専門学校に入りました。2月くらいに学校が終わったらすぐ、一人暮らしを始めて、地元の美容室を片っぱしからノックして、学校が始まる前に働き始めていました。複数店舗をやっている会社だったので、利益率や人件費の問題とかを学ぶことができて、ビジネス上かなり厳しいと思いました。そのうち数字のほうが好きになって、予備校に通って受験勉強をし直して、結果的に資格を取って専門学校を卒業して、大学に入りました。

駒木)その後、会計事務所で働こうと思ったんですね。

杉守)絶対起業すると決めていて、一番数字で見えることがかなりあると思ったからです。IR資料では表面上のきれいなところしか見えなくて、本当のところは、社長との個別の対話や、細かい帳簿の仕分けの中にある。いろいろなビジネスモデルのより深いコアなところを知るためにも、会計事務所でさまざまなクライアントを見ることが、どのビジネスを選択するにもいいと思いました。会計事務所で働く中で、その延長線上として企業の創業支援をする会社を起業しようと思ったのです。

次回は起業家の課題を解決するクラウドサービス「Scheeme」について伺います。

This article is a sponsored article by
''.