株式会社CyberneXは耳から脳情報にアクセスするイヤホン型のBCI(Brain Computer Interface)デバイスを活用し、誰でも真のウェルビーイングを実感できる社会を目指すスタートアップです。代表取締役CEO/CTO 馬場基文さんと、CSO泉水亮介さんに、独自開発技術によるサービス・プロダクトで何が実現できるのか伺いました。(聞き手:キャナルベンチャーズ株式会社 駒木)

マーケットはウェルビーイングにあり

駒木)ブレインテック領域はスタートアップだけでなく大企業も参画して、センシング以外にも、教育や睡眠・瞑想、働き方改革、ヘルスケア、ニューロマーケティングなどさまざまな分野に広がっています。そのような中、CyberneXが脳情報の測定・分析という領域に取り組んでいるのは、どのような理由からでしょうか。

馬場)一般的に、脳と宇宙は人類最後のフロンティアといわれていますが、個人的には脳情報の分野に大いなる可能性を感じています。脳情報は、究極的には「人間を理解する」というテーマに帰着し、人間の理解が進めば人類の幸せに貢献できると考えています。そして、脳情報の活用によって自分や他者を深く理解していければ、各自がより良く自分らしく生きていくために必要な課題も明らかになり、私たちもまだ見ぬ潜在的な課題の発見や、新たな課題を解決するための新しい技術を生み出していけると確信しています。

駒木)CyberneXはBMI(Brain Machine Interface)やBCI(Brain Computer Interface)と呼ばれる領域に取り組んでいると思うのですが、可能な範囲でその概要を教えていただけますでしょうか。

馬場)諸説あるかもしれませんが、個人的にはCyberneXの語源である、Cybernetics(人工頭脳学:通信工学と制御工学を融合し、生理学、機械工学、システム工学、さらには人間と機械のコミュニケーションを統一的に扱うことを意図して作られ発展した学問)があり、その後BMIをはじめとするマン・マシン・インターフェースが発展してきたと思っています。近年では対象を機械(Machine)だけではなく、コンピュータとの接続を広義で捉える BCI(Brain Computer Interface)という概念が一般的になってきました。

BCIの方式は電極を脳に埋め込む侵襲型と、埋め込まない非侵襲型に大別され、イーロン・マスクらが設立したNeuralink(ニューラリンク)は前者となりますが、当社は日常での利便性と実用性を鑑み、非侵襲型のイヤホンタイプを採用しています。

駒木)ブレインテック市場は、今後どれほど広がっていくものとお考えでしょうか。

馬場)ブレインテックの市場規模は、ブレインテックをどう捉えるかによって大きく変わると思いますが、私たちは一つの方向として、ウェルビーイング市場を開拓するための手段として有望だと捉えています。ウェルビーイングは心身ともに満たされた幸せな状態を表す概念で、 16世紀「健康的な・幸せな」を意味するイタリア語の「benessere(ベネッセレ)」から始まったといわれています。

最近では、良好なウェルビーイングが保てれば、創造的で業務パフォーマンスが高く、組織にも良い影響を及ぼすといわれており、実際に数多くの企業でウェルビーイングに関連した取り組みが始まっています。ウェルビーイングの状態を真に把握するには人間の内面へアクセスが必要となりますが、日常的に把握する手段がありませんでした。そこで、ブレインテックによって人間の内面情報を表出化することにより、ウェルビーイングの状態を表すことが可能となります。

今後ブレインテックは、750兆円とも言われているウェルビーイング市場へ大きな貢献を果たすと確信しています。

イヤホン型BCIなら日常シーンで脳情報を活用することが可能

駒木)CyberneXが狙うブレインテック市場はこれから非常に大きな市場になり得ることを改めて理解いたしました。このような市場を見据え、CyberneXはどのようなサービス・プロダクトを提供しているのでしょうか。

馬場)2020年の設立当初は、イヤホン型BCI「XHOLOS(エクゾロス)」を使って脳データを収集する研究開発支援事業としてスタートしました。次に、取得したデータから脳の状態を可視化する解析エンジンを開発し、さらに行動変容につながる活用サービスの開発へと進みました。現在は、脳情報活用支援サービス「Works with XHOLOSパートナーシッププログラム」と自社経営のリラクゼーションサロン、「α RelaxAnalyzer」というソリューションパッケージを提供しています。

画像2: 「リアルウェルビーイングテクノロジー」がコミュニケーションを変える~CyberneX(後編)

駒木)XHOLOSの特徴をもう少し詳しく教えてください。

馬場)XHOLOSは主に2つの要素、イヤホン型BCI「XHOLOS Ear Brain Interface」とBCI活用ソフトウェア「XHOLOS Engine」から構成されます。

「XHOLOS Ear Brain Interface」は、ヘッドセット型や額装着型と違って、簡便な装着性や、違和感のないデザイン、動き(ノイズ)に強い、といった特徴により、これまでは取得が難しかったシーンで脳波を他の生体データなどとシームレスに取得できます。

「XHOLOS Engine」は独自アルゴリズムにより、取得したデータを体感と合う形で解釈し、用途に応じてさまざまなトリガーアクションを実行することができます。例えば、集中状態をリアルタイムにライトの点灯や色、音などで知らせたり、テキストに変換してチャットツールなどに送信したりして、高い集中力が必要な勉強や仕事中には声をかけないでもらうといったことができます。またリラックス状態をリアルタイムに表現することで、自分に合ったリラクゼーションコンテンツを探索するなど、さまざまなシーンで脳情報を活用した新しいコミュニケーションの形を実現することができます。

泉水)脳波の中にはα波やβ波など代表的な周波数の脳波が複数種類あります。当社ではサロンなどを運営する中で数多くの脳波を取得することで、これらの脳波の出方から32種類ほどのタイプ分類を行う事ができるようになってきており、普段されているお仕事や本人のキャラクターについて、確度高く想定出来つつあります。将来的にはこうしたデータを基にしたサービスなども検討したいところです。

画像: イヤホン型BCIなら日常シーンで脳情報を活用することが可能

実績と積み上げに基づく「リアルウェルビーイングテクノロジー」

駒木)集中状態やリラックス状態を可視化していくことが、将来のウェルビーイングの把握につながっていくということですね。今後このような可視化サービスはどのような広がりを見せるのでしょうか。

馬場)ブレインテックの使い道をわかりやすく表すため、私たちは麻布広尾にリラクゼーションサロン「Holistic Relaxation Lab XHOLOS」をオープンしました。「Ear Brain Interface」を装着してもらい、アロマ施術中のリラックス状態をライトの色で表示することで、その時の状態に最も適した施術が可能になります。さらに、施術中のリラックス状態のレポートをフィードバックすることで顧客体験を強化できます。

泉水)脳情報活用支援サービス「Works with XHOLOS」では、多数の大手企業との協業で事業開発に取り組んでいます。例えばパナソニックとの協業では、照明の光が与えるリラックス効果を特定し、飛行機内などの移動中の快適空間の設計に活用しています。Panasonic Accelerator DemoDayでは「脳情報を活用したリアリティある快適空間の創出」をテーマにピッチを行い、技術的な将来性とパナソニックとのシナジーが高く評価されて最優秀賞を受賞しました。

これまでは、ウェルビーイングの状態を測ることはできませんでしたが、XHOLOSを用いることで、ウェルビーイングの状態を見える化することができ、今までマーケットやニーズがあるものの実感することが難しかったウェルビーイングをよりリアルに実感することができるようになります。そしてウェルビーイングの状態を把握できることが、幸福度を高めることにつながっていくものと考えています。これが実現できたら、もはやXHOLOSはブレインテックではなく、「リアルウェルビーイングテクノロジー」と言ってもいいんじゃないかと考えています。

画像: 実績と積み上げに基づく「リアルウェルビーイングテクノロジー」

駒木)「リアルウェルビーイングテクノロジー」の考え方、非常に面白いですね。これが日常化された世界を想像すると、これまでにない新たなカルチャーが生まれてきそうです。ところで「α RelaxAnalyzer」はどのように利用されているのですか。

馬場)さまざまな商材や体験のリラックス度を可視化するアプリで、事業者向けに4月10日から提供を開始したところです。商品開発、広告・PR、顧客向けのパーソナライズサービスなどに活用することで、リラックス商材の付加価値を高めることができます。店頭での商品販売に活用すれば、リアル店舗の価値を見直すチャンスにもなると思います。

駒木)ちなみにCyberneXのプロダクト・サービスが優れている点、競合優位性はどこにあるとお考えでしょうか。

馬場)脳情報を取得するベーステクノロジーのハードウェアは、他社との違いを生んでいる一部ですが、データを解釈するアルゴリズム、サービス提供するためのプラットフォーム、ビジネス開発チームまで自社で保有していることも、私たちの強みになっています。

人類のコミュニケーションをさらに前進させたい

駒木)CyberneXのこれからのプロダクトロードマップについて教えてください。

馬場)さまざまなソリューションをパッケージにして第2弾、第3弾をリリースしていきます。早ければ2023年の終わりまでにはリラックス領域以外のプロダクトも提供できると想定しています。2024年以降で、他社との協業によるソリューション構築、サービス提供も計画しております。

販売チャネルの獲得と新たなマーケット開拓は他社との事業連携によって広がっていくので、脳情報活用支援事業への人的投資も重要になってくると考えます。

駒木)現在の技術では、脳波から感情を細かく読み取っていくことはまだハードルがあることは理解しつつも、昨今のGenerative AI等の急速な進化により、その実現は意外に早いのではないかとも感じているのですが、ここら辺について馬場さんはどう思われますか。

馬場)さまざまな人の時系列脳情報データを効率的に収集し、それを活用したAIを開発していくことが鍵だと思っています。ChatGPTも閾値を超えた段階から一気に飛躍的な進化を遂げ、各業界に急速な変革とDXを起こしつつあります。ブレイテックにおいては、当社のイヤホン型のような簡易的な測定技術の進化とともに、日常生活でのデータ取得が整備されれば、AIと融合した破壊的なプロダクトが生まれる可能性は十分あります。

一方で、パブリックなデータから生まれるGenerative AIとは一線を画す、パーソナルなデータから生まれる個のAIを生み出すことへ挑戦をしています。それは、自分さえも気づかない自分自身の深い内面部分までも理解し、自分のことを最も思ってくれて、真の支援をしてくれるパーソナルAIです。今後、真の自分を知るための日常の脳波データの蓄積が可能となれば、想像を超える自分だけのAIが誕生するでしょう。

駒木)非常に興味深い話ですね。自分のことを最も思ってくれて真の支援をしてくれるパーソナルAI。もはやドラえもんも漫画の世界だけでなく、現実社会で実装されてきそうな予感がいたしました。最後に何か伝えたいことがあればぜひお願いします。

馬場)CyberneXは、脳情報活用前提社会を創るために、人類のコミュニケーションをさらに前進させる新しい取り組みに挑戦し続けていきます。CyberneXの挑戦に共感いただける方、脳情報を活用して世の中を変えていきたいという思いをお持ちになった方、ぜひ一緒に未来を切り開いていきましょう!

駒木)馬場さん、最後に非常に熱いメッセージ、ありがとうございます。CyberneXの取り組みがウェルビーイングの新たな扉を開き、そこから広がっていく新しい未来の世界が垣間見えた気がします。これからのCyberneXのさらなる活躍を期待しております。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

画像: XHOLOS Ear Brain Interface Prototype Demo www.youtube.com

XHOLOS Ear Brain Interface Prototype Demo

www.youtube.com

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