日本で働く外国人や、海外に住む日本人の中には、「相手と言葉が通じなくて困る」という経験をする人々が少なくありません。この課題に対処するために生まれたのが、遠隔通訳アプリ「Oyraa(オイラ)」です。Oyraaを提供する株式会社Oyraa創業者、コチュ・オヤさんに、なぜ日本で起業することを決意したのか、そしてサービスの特長についてお聞きしました。

「個人が通訳サービスを利用できない不便」を解消するために起業

トルコ出身のコチュさんが日本で株式会社Oyraaを起業したのは2017年3月のことです。トルコではなく日本を本拠地に選んだ理由について、「日本に住んで、そして日本で起業したかったから」だと言います。実際に日本が大好きなコチュさんは帰化手続きを経て日本国籍を取得しています。

トルコの大学で電子通信工学を専攻していたコチュさんは、同級生のほとんどがインターンシップ先としてトルコ内の企業やヨーロッパやアメリカなど選択肢がある中で、未知で面白そうな日本を選びました。半導体に関心があったことから、滋賀県にあるオムロンの工場へ研修生として参加しました。日本語が全くできなかったコチュさんですが、工場の人たちは丁寧にサポートしてくれて、週末になると京都などの観光スポットを案内してくれました。

そこでの経験から日本の文化に興味を持ち、日本に行きたい一心で東京大学大学院へ進学するに至ります。そして在学中には専門分野だけでなく、経済や経営といったビジネス分野へも興味範囲を広げていき、卒業後は外資系の大手コンサルティング会社へ就職しました。「個人でも気軽に使える翻訳アプリ」というビジネスアイデアは、そのときに生まれたものです。

Oyraaの創業経緯と課題解決への取り組み

コンサルティング会社で働いていた時期、日本語が得意ではない外国籍の友人から、仕事中にヘルプの電話が入ってきました。市役所や病院、Wi-Fi設置の手続きや宅配便の不在配達など、さまざまな手続きに困って通訳してほしいというものでした。このような日常的な言語の壁に直面し「どうして困ったときに利用できる通訳サービスがないのだろうか」と感じるようになりました。

個人でも利用できる通訳サービスを探したところ、さまざまなハードルが存在することがわかりました。まず、通訳サービスを利用するためには事前に予約が必要であること。さらに時間単位では依頼できず、たとえ1時間だけの通訳を依頼しても半日分の費用として数万円が発生してしまうことがわかりました。

数多くの通訳会社があるにもかかわらず、個人が利用するにはハードルが高く、また緊急時に対応できないという不便さも感じたコチュさんは、通訳者とユーザーをつなぐマッチングプラットフォームを構築すれば解決するのではないかと考えました。そこでビジネスプランを組み立てて、コンサルティング会社を退職し、Oyraaを創業しました。

マッチングプラットフォームであるOyraaでは、利用者と通訳者が同じ場所にいる必要がありません。地方に住む通訳者が都心の利用者の依頼に対応することも可能です。さらに、通常は課題となることが多い時差を逆手に利用して24時間いつでも対応できるプラットフォームになっているのです。

利用者の「今すぐ!」ニーズにリーズナブルな料金で対応

Oyraaは、利用者が必要なときに必要な時間だけプロフェッショナルな通訳者に依頼できるアプリです。利用者は病院や役所など急に通訳が必要な時にすぐ依頼することが可能です。事前の予約が必要となる既存サービスとは利便性が全く異なり、必要な時に最低限の料金で言語の壁を越えてコミュニケーションを図ることができます。使い方も非常に簡単で、当事者同士に通訳を加えた複数人でオンライン通話やチャットを行うことができます。オンライン会議の形式で、電話回線を使用しないため、高額な通話料金はかからず、利用した分だけ1分単位で課金されるのが特徴です。現在は153言語をサポートしています。

ユーザーの約半数は日本に住む外国人です。あるアメリカ人留学生は、マイナンバーカードの発行日確認、インターネットの設備工事の申し込み、ガスの支払い確認など、1~2カ月おきに利用しています。1回に利用する時間は数十分で、費用を抑えつつ継続的に利用できることが魅力です。

一方で、海外在住の日本人の利用も1割程度あります。家族と共に海外へ転勤にする際に、生活に必要な手続きを行うためにOyraaを利用するケースがあります。また意外なのは、国内に住んでいる日本人が利用するシーンも比較的多いことです。例えば、以前海外の支社に駐在していたビジネスマンが、海外で作った銀行口座の手続きのため現地のカスタマーサポートへ電話するために利用するケースや、海外のECサイトで注文した商品が届かないため現地企業に問い合わせする目的で利用するケースもあります。

Oyraaは、医療やITなど41種類の専門分野に特化した通訳者を2000名以上揃え、迅速なマッチングを実現しています。一般的な機械翻訳ソフトやツールと異なり、その場の状況や背景に応じてより正確で踏み込んだ柔軟な対応が可能です。さらに、2023年7月からは個人向けサービスに加えて法人向けサービスを開始しました。

(後編へ続く)

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