日本初の生鮮食品の早朝宅配サービス「モーニング・エキスプレス」を展開する株式会社カノエは、新聞配達や牛乳配達のような早朝ルート宅配をリノベーションし、これからの社会を支える新しいインフラに育てることを目指しています。共同創業者である原佑理子さんと間部秀規さんにビジネスの現状と今後の展開を伺いました。

「早朝ルート宅配」は社会貢献にもつながる

一般的なデリバリーサービスは店舗から顧客に直接商品を届けるピストン宅配方式ですが、「モーニング・エキスプレス」は新聞配達や牛乳配達のようなルート宅配方式です。あらかじめルートを決め、ルート上の宅配先の密度を高くすることで安価に効率良く宅配ができます。

現在の多くの宅配便は2時間刻みや1時間刻みの時間指定が一般的であり、同じエリアでも異なる時間指定があるため、複数回に分けて配達する必要があります。このような再配達や時間外労働は大きな問題となっています。「モーニング・エキスプレス」は夜に全部の注文をまとめて、渋滞のない早朝に配達します。荷物全体の移動距離が減るのでCO2の排出量も減り、ドライバーの負担も減ります。配達時間は朝の4時から7時の早朝労働にはなりますが、残業はできない仕組みなので十分な休憩時間を確保できます。

間部さんは「モーニング・エキスプレス」によって、生活者の行動変容を促したいと考えています。つまり、自宅に生鮮食品や日用品が配達されるというニーズは10年後にはさらに高まるはずです。だからこそ、毎朝、日常の買い物が届く便利さを生活者のマインドに植え付けられるかを意識しています。

現状は、1号店のある池尻大橋の拠点から半径4キロのエリアがメインですが、江東区の大型マンションエリアにもトライアルで展開しています。そうしたエリアでは、周囲にスーパーがないとか、大型スーパーはあるけど美味しいパン屋がない、または下まで降りることが大変という不便な状況があります。目黒区・世田谷区などとの住環境や住人属性の違いによるニーズの違いを検証しています。

全国展開で生活者に寄り添う新しいインフラになりたい

コロナ禍でUber Eatsが市民権を得ましたが、ギグワーカーを活用してスキマ時間に届ける仕組みによって、料理のデリバリーという領域を超えて、社会のインフラを変えたと原さんはみています。また、食事のデリバリーとは利用者の属性が違っていて、Uber Eatsは20代の単身者と相性がいいが、「モーニング・エキスプレス」は40代以降のファミリー世帯や単身者、そしてシニア層での継続率が高くなっています。

ターゲットにフォーカスすることが何よりも重要で、それに合う商品選定と集客をして、リピート率を上げて、単価と頻度を上げていくことで成長していきたい。例えばミールキットを取り扱えば、客層も大きく広がることが予想されます。

次はお客様の属性が似通っている近隣エリアで2号店を立ち上げ、それ以降はフランチャイズにして拡大していきたい。コンビニエンスストアが50年前にフランチャイズでどんどん伸びていったように、生活者に寄り添うインフラになりたいと考えています。

フランチャイズのパートナーとしては、朝の宅配を長年やっている新聞販売店や牛乳販売店と組むことができると、サービスインまでのスピード感や失敗の確率を低くすることができます。統計データからわかることもありますが、リアルな肌感覚でわかることはやはり強い。例えば高齢者が多い地域なので、お米や油のような重たいものを前面に出すというような商品選定ができます。

新しい朝の顧客体験を作っていきたい

原さんと間部さんは、首都圏でフランチャイズ展開を行い、今後2、3年で生鮮食品が朝届く光景が話題になるような活気ある状況を作りたいと考えています。その時点において、取引ボリュームと商品の種類が増加し、精肉や鮮魚なども取り扱われるようになり、日常の買い物を100%「モーニング・エキスプレス」に頼むことが可能になるでしょう。また送料を一律330円に抑えることで、デリバリーを利用する層が広がります。

「食事のデリバリーは全員使えるわけではない、朝のルート配送で手に取り安い設定にできたら、豊かな人がより豊かではなく、普通の人が便利になる世界が実現できる」と原さんは言います。生活者が便利さを享受できるサービスを提供し続けることで、インクルーシブ社会に貢献したいと考えています。

「明日の朝は妖精さんが朝ごはんを届けてくれるよ」ってお母さんが小さなお子さんに言って、実際に届いたので喜んで食べましたというお客様の声もあります。「モーニング・エキスプレス」によって、新しい朝の顧客体験を作っていきたいと原さんは目を輝かせます。

「物流の合理化を追求していくと、食事が統一化されていくことになりかねない。多様性にも配慮して、地域食材を大事にしていきたい。お客さんサイドだけじゃなくてサプライヤーからも応援していただけるようにしていきたい」と間部さんがさらなる抱負を語ってくれました。

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