小売店舗の品出しにフォーカスしたロボット「Armo」は、サイネージや大型POPなどのリテールメディアや、欠品検査を行うための撮影機器を接続することで、マルチユースに活用できます。店舗にロボットが導入されることで人々の行動や社会はどう変わるのか、株式会社MUSEのCEO笠置泰孝さんに伺いました。

ミニマムながらマルチな使用が可能

ストアロボット「Armo」はミニマムな設計でありながら、マルチユースが可能な点が大きな特徴です。配膳ロボットや配送ロボットなどの特化型ロボットは、それ自体の機能は優れていますがマルチユースには必ずしも適していません。「Armo」はロボット自体をコンパクトかつ低コストに設計し、複数の拡張ユニットに接続することでさまざまな業務で利用できます。

一つの店舗に多種多様なロボットが導入されると、顧客は落ち着かず、店舗の統一感も損なわれます。その点、「Armo」はベースとなるロボットを提供し、ユニットは自由にカスタマイズできるので、店舗に合わせたキャラクターやデコレーションを施すこともできます。

搬送ユニットを取り付けることで、バックヤードと商品棚の間の搬送を自動化します。さらに、商品の案内サイネージを接続して買い物客を誘導することで買い物体験の向上に貢献したり、大型POPとしてリテールメディアに利用することも可能です。

人手不足が続く小売業界では、品出しによる欠品のタイムリーな補充や売り場管理ができず、売り上げロスが発生することがあります。撮影ユニットを接続した「Armo」が売り場を巡回することで、リアルタイムな欠品検知や商品の補充が可能になります。

また、「Armo」が収集した売り場の画像データは、売り場画像可視化サービス「Eureka Platform」に蓄積されます。このデータは、本部やメーカー、卸会社と自由に共有できるため、実店舗に足を運ばなくても正確な情報を把握でき、売り場の課題解決にも貢献します。小売店舗から得られる実データは一次データとして重要です。またAI時代においてロボットが重要なプレイヤーになるという見通しを立てています。

海外にも大きなポテンシャル

「Armo」の導入によって、品出し作業の工数を30%削減できると見込まれています。また、マルチユースによりROI(投資回収率)が5倍になると試算されており、既に国内の先行導入企業で実証実験が進められています。笠置さんは、単に導入実績を増やすのではなく、1社1社の企業と共に成長できるようなコミットメントを進めていきたいと語っています。

北米の小売業界では、欠品検査のための撮影ロボットの導入が始まっていますが、品出しなどのマルチユースロボットはまだ普及しておらず、大きなビジネスチャンスがあります。2024年1月には小売業界の世界的展示会「NRF2024」に出展し、2024年中にはアメリカに拠点を置く予定です。

現場をよりクリエイティブに、よりプロダクティブに

MUSEは「ロボットで世界の人々に、インスピレーションを。」をパーパスに掲げ、店舗に最適化したロボットで、人とロボットが共存できる社会の実現を目指しています。

笠置さんは「ロボットが人の仕事を奪うのではないか、結局は人間が疎外される社会になるのではないかという危惧もあります。しかし、私自身は人間が主体となる社会に貢献したいと考えています。ロボットによって人間がインスピレーションを得て、よりクリエイティブでプロダクティブになることを願っています。具体的には、ロボットに使われるのではなく、ロボットを活用した新しいオペレーションや創意工夫が現場から生まれる社会にしたいのです」と語ります。

これからの10年で、日本のあらゆる店舗でロボットが品出しを行い、店員が明るくクリエイティブに働く光景が当たり前になるでしょう。また、ロボットの活用により、小売業界の人手不足が解消されるだけでなく、買い物客の店舗体験も向上します。さらに、売り場データなどの資産が大きな付加価値を持つようになることが期待されます。

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