少子化が進み経営が厳しくなる保育園では、さまざまな業務効率化が求められています。株式会社sketchbookは、保育園の給食運営支援としてミールキット配送サービス「baby’s fun!」を提供しています。保育園給食に特化した「baby’s fun!」誕生の経緯や特徴について、代表取締役の多田出昇さんに伺いました。

「作ってあげたいけど作ってあげられない」お母さんたちの悩みが見えてきた

経営者であった祖父を見て育った多田出さんにとって、起業するという選択肢は身近なもので、高校卒業後にアメリカへ留学して起業の意思をさらに強めました。建築デザインや飲食などのビジネス経験を経て、2006年に弁当・ケータリングの会社を創業し、Googleの社員食堂運営に携わるなどの経験を積んでいきました。

今のビジネスを始める転機となったのは、2014年に娘が生まれて離乳食を作る奥さんの負担を軽減できないかと考えたことでした。また娘にも安全でおいしいものを食べさせたいと思ったことも影響しています。食は体を作るためにとても重要で、娘の離乳食作りをきっかけにあらためて食の大切さを認識したそうです。

「多くのお母さんは、子どもに手をかけてご飯を作ってあげたいという気持ちを持っています。でも共働きで時間が取れない、ワンオペで手が回らないなどの理由で、調理に手間や時間をかけられないのが現状です。「作ってあげたいけど作ってあげられない」という悩みに寄り添って開発したのが、厳選した国産素材にこだわった離乳食のミールキットでした。」

離乳食は、月齢に合わせて固さや食材の大きさを変えたり栄養素を考慮したりと多くの手間と時間がかかります。温めるだけで高品質な離乳食が出来上がるミールキットは周りからも好評で、事業としての成長性が感じられました。

「食育ができる」給食運営を可能にするサービス

BtoCからスタートし、2019年からは保育園給食向けのBtoB事業として、ミールキット配送サービス「baby’s fun! (ベビーズファン)」を開始しました。この事業に注力するためにケータリング会社を休止して、2020年7月に新たなスタートアップとしてsketchbookを立ち上げました。

「baby’s fun!」は、調理の効率化を支援する保育園向けのミールキット配送サービスです。園で作成した献立に合わせてカット済み食材を配送することで、調理の時間やコストを50%縮減できます。

画像: 「食育ができる」給食運営を可能にするサービス

保護者は保育園を選ぶ時に給食を重視しており、「食育ができる」給食運営が求められています。保育園は、「baby’s fun!」を利用することで、調理作業を効率化し、行事食や食育に時間が使えるようになります。

コロナで加速する少子化、求められるコスト削減…保育園を取り巻く状況の変化

事業開始当初、保育園の担当者からは「こんな楽をするような商品はうちでは使えない」と言われることもあったそうです。しかし、数年間で保育園を取り巻く状況は徐々に変わってきました。

2016年に「保育園落ちた日本死ね」という投稿が話題になった頃は数万人規模の待機児童がいましたが、現在は規制緩和で保育園数が増加し、待機児童の問題はほぼ解消されました。逆に、少子化の影響で保育園の受入数よりも児童数が減少して定員割れが起きる「保育の2025年問題」が迫っています。この問題は新型コロナウイルス感染症の影響で2025年より早まるとみられており、数年後には定員割れによる収入減で経営が悪化する保育園が増加すると予測されています。

さらに政府は2023年、配置基準の見直し案として保育士1人が担当する児童数を1歳児は6人から5人に、4~5歳児は30人から25人に減らす方針を発表しました。これにより新たな人材確保が必要となった場合、採用コストが上昇し保育園の経営を圧迫するリスクが生まれています。

このように少子化が進み経営が厳しくなる保育園では、「競争力を獲得して選ばれる園になること」と「効率化を実現してコストを削減すること」が求められています。また保育園で働いている保育士さんたちが辞めてしまうケースも増えています。

sketchbookでは、『「子ども」と「子どもに関わるすべての人」をHAPPYに!』というビジョンを掲げ、子どもを中心に、両親、保育園の先生、地域住民まで、あらゆる人がHAPPYになる世界を描いています。多田出さんは、「単に商品を売るのではなく、HAPPYを提供していきたい。給食運営の効率化サービスを通して、保育園業界をITの力で変えていきたい」と考えています。

(後編へ続く)

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