産業用ドローンは空撮による測量や機器の点検業務、配送などで活用が期待されています。株式会社エアロネクストは独自の特許技術で産業用ドローン市場を創造することを目的に創業されました。同社代表取締役 CEOの田路圭輔さんに、起業の経緯や特徴的なIP経営などについて伺いました。

起業家としてドローン市場の可能性に魅力を感じた

大学卒業後、電通に入社した田路さんは、31歳で電通と米国ジェムスター社のジョイントベンチャーの経営者となり、日本初の電子番組表「Gガイド」サービスの普及・市場化を実現しました。今や当たり前にテレビに搭載されている番組表の立上げを行う中で、ライセンスビジネスの面白さを知りました。1999年から2017年まで、18年間経営に携わる中で、ライセンスビジネスの経験を積んだ田路さんは、社長を退任後、電通を離れて新たなチャレンジをしようと決めました。

社長を退任する少し前に、個人投資家の千葉功太郎さんから、ドローンスタートアップに特化した投資ファンドDRONE FUNDを設立するために、知財に関して教えてほしいと頼まれたのが、ドローンについて知ったきっかけでした。

多くの人が思い描くドローンのイメージは、中国の大手ドローン開発企業DJIが販売するファントムのような「コントローラーで操縦するカメラ付きの機械」でした。一部ではドローン配送の実証実験も行われていましたが、機体構造が30年前から変わらないまま物流用途にドローンを転用することに対して違和感を抱きました。

従来型の、カメラ付きドローンの機体で重要なのがホバリング(機体を空中停止する技術)です。安定してホバリングできるように機体構造を最適化されたドローンに対して、荷物を積み横移動したら重心が不安定になり落下リスクが高まります。ドローンは根本的な機体の構造を変えなければ物流には適さないし、これ以上の劇的な進化は望めないと考えました。

エアロネクストはバルーン空撮のエキスパートである鈴木陽一さんが創業した会社で、2011年から自作ドローンで空撮を開始し経験を積む中で機体の重心制御の重要性に気づき、画期的な機体構造設計技術を発明しました。この機体構造設計技術「4D GRAVITY®」は飛行部と搭載部を分離して荷物が傾きの影響を受けないようにする技術です。田路さんはその技術に可能性を感じ、創業間もないエアロネクストに参画しました。

スタートアップに適したIP(知的財産)経営

エアロネクストでは、知的財産を軸としたIP経営を行っています。従来型の経営モデルはヒト・モノ・カネを動かすのが基本ですが、特許をはじめとした無形資産やブランドを価値に変えていく経営を目指しました。その一番のポイントが特許で、多くの特許を作るのが経営のベースです。

そのため、エアロネクストに参画して最初の1年はひたすら出願していました。現在は約400件の出願中で、約150件が特許成立しています。ドローンに関する特許出願数ではDJIに次ぐ第2位(日本企業で1位)です。

独自の「わらしべ長者」的ビジネスモデル

エアロネクストのビジネスモデルは、5層構造のピラミッドになっています。特許が一番下の土台で、その上に技術、その上に製品、その上にサービス、さらに頂点にプラットフォームと位置付けています。貧しい若者が1本のわらを拾い、次々と価値が高いものに交換していく「わらしべ長者」という昔話がありますが、同じように特許の価値を技術に変え、それを製品に変え、次々と価値変換を繰り返しながら価値を最大化していくのが特徴です。

資本がなくても頭脳で勝負できるIP経営はスタートアップに適したモデルです。特許は早く出願した者勝ちなので、市場が大きくなってから大企業が入ってきても特許は奪えないという強みがあります。そのためスタートアップが市場で戦う際には特許を軸に置くのは合理的です。

画像: 【次世代ドローン】4D Gravity™搭載「Next」シリーズ www.youtube.com

【次世代ドローン】4D Gravity™搭載「Next」シリーズ

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