アーティスト情報・チケット見逃し防止アプリ「Freax(フリークス)」を開発・運営する株式会社Spectra(スペクトラ)は、継続的にアーティストとファンがつながる場の提供を目指しています。代表取締役の浅香直紀さんに起業のきっかけとアプリの狙いを伺いました。
大手企業の看板ではなく、自分の力を試したくて音楽分野で起業
音楽が好きで、高校時代から大学までずっとバンド活動を行っていた浅香さんですが、就職活動をする中で音楽や歌手に携わる仕事をすることの難しさを感じました。そこで、卒業後の進路として関心を持っていたIT分野であり、インターンとしても既に仕事をしていたメルカリに2016年に新卒で入社しました。
メルカリを選んだ理由は、もちろん自分も使っていたということもありますが、とにかく消費者向けで強いサービスを作っている点に魅力を感じたためです。音楽業界はライブや現場の声などリアルの場が関わる比率が高く、インターネットで課題解決できる範囲は多くないと感じていました。逆にメルカリではアプリを通じてモノを売買するのが中心なので、インターネット上で完結する部分が多く、そこに可能性を感じました。この勢いはさらに広がると思いましたし、自分自身としても優秀な人と働けるので成長機会になるという思いもありました。
メルカリではアプリ関連の業務に携わったのち、新規事業を専門に行う子会社ソウゾウに立ち上げメンバーとして参加し、メルカリアッテ、メルカリメゾンズなどの新規アプリを企画開発するプロデューサーとして携わりました。リリースしたアプリの評判は良く達成感が得られた一方で、「もしメルカリの看板がなく自分の力だけでアプリをリリースしたらここまでユーザーに受け入れられただろうか?」という思いが生まれました。
それがきっかけで、自分の力を試す意味で副業としてスタートアップのコンサルティング業務などを行うようになり、起業を意識するようになりました。徐々にその思いは強まり、高校時代のバンド仲間でCDやMV制作経験もある後輩と一緒に音楽に関わるビジネスを行うスタートアップを2018年3月に創業しました。
音楽好きをターゲットにファンの課題解決メディアを開発
創業して半年ほどは「好きなアイドルの情報がネット上で分散されていて収集に手間や時間がかかる」という課題感に対して、アイドルファン向けの情報配信サービスを開発・運営していました。フォローしたアイドルの新着情報をLINE上で受け取れるサービスや、握手会やチェキ撮影会でアイドルと話した内容を会話風に記録できるサービスなどの経験を踏まえ、ターゲットをアイドルファンから音楽好きに広げ、2019年にアーティストの最新情報やライブ情報を受け取れる現在のサービスに転換しました。
最近はCDなどのパッケージで音楽を購入する人は減り、定額制で音楽を楽しむストリーミングサービスが主流になっています。そのためFreaxではApple MusicやSpotifyといったサービスと連携し、お気に入りのアーティストのチケット情報をプッシュ通知で受け取れるようにしました。またアーティストのライブ映像や最新情報も見つけることができる音楽情報メディアとしての性格も持っています。
Freaxを「ファンとアーティスト・事務所をつなぐメディア」として位置付け、継続的にアーティストとファンがつながる場の提供を目指しています。ユーザーとの強い消費接点を作ることで、今後はメディアを軸としてアーティストのプロモーションやブランディング支援を行う事業者のパートナーとして音楽業界を支援していきたいと考えています。