個人向けに開発された音声グループコミュニケーションプラットフォームBONXは、2018年から法人向けサービスも開始し、音声を活用した業務改革、新しい働き方の実現を目指しています。戦略や今後の展望について株式会社BONX 代表取締役の宮坂貴大さんに伺いました。
音声による新たなコミュニケーション体験をビジネスの場でも
最初は個人ユーザー向けにサービスを提供していましたが、2018年から法人向けにBONX for BUSINESSを開始しました。スマホを使って30人までの音声グループコミュニケーションを簡単に実現します。1アカウント当たりの月額サブスクリプションモデルで、イヤフォンは別途購入またはレンタルする方式です。
海外ラグジュアリーブランドをはじめ、デパート、カーディーラー、スーパーなど、小売業を中心に200社を超える企業に導入されています。さらに雪山のような過酷な環境でも使用できるハードウェアが評価され、大手ゼネコンからも発注され始めています。現場で働くクルー(スタッフ)がBONXの主なターゲットです。クルーといっても幅は広く、小売スタッフから建築現場の作業員、病院の看護師、介護スタッフ、倉庫スタッフなど、業界は多様です。
世の中の流れとして、音声認識テクノロジーに対する期待値が高まっていると感じています。仕事だけではなく日常生活でもスマートスピーカーやスマホの音声アシスタントのようなサービスに触れる機会が増えてきており、仕事でも音声を使ってもっと便利になるのではないかと考えているのだと思います。その一方で、SlackやChatworkのようなテキストチャットのコミュニケーションが増えているオフィスと異なり、声のやりとりがメインの現場で具体的な音声ソリューションを導入しているところはわずかです。
新たな取り組みとして、2019年8月にbonx.ioを発表しました。法人向けBONXと各企業が利用している業務アプリケーションとを連携するサービスで、音声を活用した業務改善を目的としています。例えば介護の現場でBONXと介護記録システムとを連携させ、スタッフが高齢者にどのような対応を行ったのかを音声で記録することができます。
音声ソリューションを通じて新しい働き方を作りたい
私たちは音声コミュニケーションを足掛かりに、音声認識や音声合成などの音声関連技術を活用してできるソリューションを増やしていきたいと考えています。目指しているのは、「世界で最も多目的な現場クルー向けコミュニケーションプラットフォーム」です。業界が多様であるということは、それぞれの現場で必要なソリューションが違うということです。
病院だったらナースコールのシステムと、物流倉庫であればピッキング情報との連携が求められます。どの現場かによって必要なデータや機能が異なるので、多目的で使える強固なシステムを軸に、bonx.ioを活用してさらに音声ソリューションを拡大していきたいと考えています。
将来的には、音声ソリューションにより新しい働き方を創出したいという思いがあります。ビジネスチャットによってコミュニケーションの方法だけでなく働き方そのものが変わったように、BONXによって現場で新しい働き方を作っていきたいと考えています。