2016年に米国シリコンバレーで創業した住宅販売のスタートアップのHOMMA。なぜこのタイミングで起業したのか、また住宅版テスラともいわれる先進的なモデルの今後についてFounder & CEOの本間毅さんに聞きました。

自分にしかできないことで、世の中に貢献していきたい

本間さんが大学に入学した1994年はインターネットの商用利用が始まった時期でした。幼い時から経営者であった母方、父方双方の祖父の姿を見て経営に興味を持っていた本間さんは、インターネットに可能性を感じて何かビジネスをしようという思いがありました。そして大学2年生のときに自宅マンションの一室でWebサイト制作会社を起業し、5年で社員約50人規模まで成長させました。

その後事業の営業権を別企業へ譲渡した後にソニーへ入社。ソニーのネットビジネス部門がアメリカに子会社を作ったタイミングで30代で渡米し、4年間、電子書籍リーダーの戦略を担当しました。その後、楽天が電子書籍リーダーとコンテンツを販売するKoboを買収した時期に楽天に転職。koboの日本導入やデジタルコンテンツ系の戦略を担当した後、シリコンバレーを拠点に新規ビジネスの開発を行いました。

シリコンバレーでは、民泊プラットフォームのAirbnbや配車アプリのUberなど、社歴が10年に満たない若い企業が次々と社会を変えていくのを見てきました。そして有名なスタートアップのコアメンバーと会って感じたのは、彼らは確かに優秀だが決してスーパーマンではなく普通の人だということ。最初の起業で苦労した経験があったので、もう起業はしないと思っていましたが、そのうちに何か新しいビジネスで社会を変えられるのではないかと思うようになりました。

アメリカで生活している中で不満に思っていたのは、これだけテクノロジーが進化しているのに住宅だけは進化せずに昔から変わらないということでした。当事者であるアメリカの人にとっては普通のことで問題だとは受け止められていないことも異文化からきた人間からするといろいろ気が付いたりします。日本とアメリカの両方の住宅事情を把握している自分が新しいビジネスで問題を解決すべきだと感じて2度目の起業をしました。若い頃は自己実現を目的にした起業でしたが、今回は自分にしかできないことをやって世の中の役に立ちたいという思いからの起業でした。

将来的にはコミュニティ、まちづくりのデザインまで

HOMMAでは、まず築50年の住宅を買い取ってフルリノベーションした実験住宅「HOMMA ZERO」を完成させ、オフィス、見学用として使用しています。現在は、2軒のプロトタイプ住宅「HOMMA ONE」を建築中で、2020年1月にお披露目する予定です。その次は10軒以上を建築する「HOMMA X」を、その先には100軒規模で建築しコミュニティを作り出す「HOMMA 100」へとプロジェクトを拡大していく予定です。

「私たちが目指しているのはまちづくりのグランドデザインまで手掛けることです。」と本間さんは語ります。住宅を100軒建設することで、例えばドローンで配達したり自動運転の車両以外は進入禁止にしたりなど、街並みやコミュニティまで自分たちで作ることが可能になります。例えば、各家庭の玄関に設置している防犯カメラの映像を共有して街全体のセキュリティレベルを引き上げることや、ドローンによる配達でより利便性を高めることで生活に直結するイノベーションを起こすことを目指しています。

そして本来の意味での未来の街、スマートタウンを作っていくというのが中期的な目標です。さらに中古住宅のスマート化や日本企業と業務提携して日本へ進出することも視野に入れています。

HOMMA

画像: HOMMA ZERO introduction (full) www.youtube.com

HOMMA ZERO introduction (full)

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