大垣共立銀行(OKB)は2018年1月、スマホ決済サービス「Origami Pay」を運営する株式会社Origamiへ出資。「Origami Pay」を活用した「OKBスマホ払い(Origami)」の取り扱いを開始しました。すでに岐阜市や大垣市、郡上市などで導入が進み、キャッシュレス化推進の起爆剤となっています。
この事例について、OKB執行役員IT統轄部長の安田次朗さんの話を中心に「スタートアップの背中を少しだけ後押しできる」そして「融資や出資する金融機関が勇気づけられる」報告を紹介します。
契約数に驚き!地銀のパワー
「これほどの数になるのか」。スタートアップのOrigamiは、OKBが獲得する契約数の多さに驚いたそうです。OKBとOrigamiとの連携は2018年2月から、加盟店開拓チームをつくり、3月から実際の営業開拓を開始しました。活動では地域の中小企業などに担当者が訪問し、Origamiのサービスを紹介していきました。開始後の反応は上々で、冒頭の言葉通り、驚くほどの契約数を叩き出しました。
安田さんは「契約申し込みから審査、実際の稼働までのフローを踏まなければならないのですが、そこがパンク寸前になるほど、申し込みが殺到した時期もありました」と振り返ります。OKBでも、この事例がスタートアップとの初めての本格的な取り組みで、特にノルマなどは課してはいなかっただけに喜びも大きかったそうです。
「やはり、Origamiのような東京の会社が突然現れてサービスを紹介するよりも、顔なじみの地銀担当者がカタログを見せる方がより話を聞いてもらえます」と安田さん。
地域に資金を残せる
地域に知られているだけでなく、ほとんどの地銀はシンクタンクのような組織を持っています。地域の情報に詳しい上にこれを分析して渡せるので、スタートアップにとって、また顧客にとってもコンサルとして非常に期待されています。
さらにOKBグループには、決済が可能なクレジット会社もありOrigamiとの相性は抜群だったといいます。Origamiのサービスを使い、グループ内のクレジット会社で決済すれば、地域に手数料が落ち、お金が還流します。地域振興という点でも、今回の事例は非常に良いパートナー関係となったのです。
地銀が今後、どういう形で生き残っていくかについて、安田さんは「顧客にOrigamiのような良いサービスを持って行くことはとても有効な方法です。いかにスタートアップと良いパートナーシップを組めるかが地銀の生き残り戦略だと感じます」と自行の戦略を分析します。
Origami側もOKBとの取り組みを紹介することもあり、聞いた人たちも、「岐阜という地方でできたことなら、自分たちでもできる」と勇気づけられているそうです。