「世界中の荷物情報を整理し流通を最適化する」をミッションに掲げる株式会社Logpose Technologies(ログポーステクノロジーズ)は、運送業界向けSaaS「AI配車アシスタントLOG」を提供するスタートアップです。代表取締役CEOの羽室行光さんに起業のきっかけとサービスの特徴について伺いました。

副業として始めたコンサルティング事業

もともと起業志向だった羽室さんは、勉強の意味でコンサルティング会社への就職を考えていました。その中でも多種多様な業態のクライアントがいて、中小企業とも多く関わっている船井総研なら、いろいろなビジネスの構築方法を学べると思い、新卒で同社に入社し、そこで現在の業務につながる物流・交通事業者へのコンサルティングに従事します。中小中堅企業に対するトラック運送業界においては、経営戦略を描くという大きなテーマよりも、マーケティングや採用のオペレーションを解決することが求められるといったことを身に染みて理解したそうです。

船井総研に約1年半勤務しましたが、ユニバーサルスタジオジャパンの再建で知られる森岡毅さんの講演を聴いて、マーケティングでのキャリアを考え始めました。そこから、サイバーエージェントに転職し、AbemaTVの広告事業立ち上げに参画します。毎年多額の投資をしていた時期で、自由に事業づくりができる環境だったので、挑戦したいと思ったからです。

また、サイバーエージェントは副業が許可されていたため、会社に申請してコンサルティング事業を始めました。数学と統計学を用いた戦略策定を得意とする羽室さんは、データサイエンスを軸にした事業を展開したいと考えるようになります。

2020年のコロナ禍に現在の事業につながる転機がおとずれます。船井総研時代に付き合いがあった物流会社の経営者と話す機会があり、コロナで大変な中、「何かお困りごとはありますか?」と尋ねると、「配車を自動化したいができていない」という返事がありました。既存の自動配車サービスはいくつかあるが、「当社の業務は自動化できない」「元々の商慣習や共同配送など、そうした複雑な配車業務に耐えられるようなシステムはまだ存在しない」と聞かされ、やってみようかと考えたのは2020年8月頃でした。

コロナ禍を経て、父親を巻き込んで本格始動

物流会社の課題解決に乗り出した羽室さんは、副業的に解決できる課題だと考えていましたが、物流の未解決な領域であるため、かなり難しいことに気づきました。そこで、長年にわたりビッグデータやAIの研究に携わっている父親(関西学院大学大学院 経営戦略研究科 准教授 羽室行信さん)を巻き込んで開発を進めました。出来上がったアルゴリズムは物流会社から高く評価され、「これが本当にちゃんと動くなら絶対に使いたい」との好意的なコメントをいただきました。

この領域におけるビジネスの可能性を感じた羽室さんは、物流業界について改めて深く調査し始めました。国土交通省や厚生労働省のレポートなどを調査する中で、物流業界の問題の本質が見えてきたことから、自分たちの力で業界課題を解決できるのではないかと確信します。

2020年から自動配車システムの開発に挑戦してきましたが、本格的に物流業界の課題に取り組もうと決断したのは2021年4月で、そのタイミングで現社名に再登記し、本格的に活動を始動しました。

「AI配車アシスタントLOG」の提供開始

既に多くの自動配車システムが存在しますが、日々現場で使用されている自動配車システムはまだ存在していませんでした。そこで、さまざまな制約が存在する複雑な条件下における配車・配送計画を全自動で高速に作成するアルゴリズム「LOG(ログ)」を独自に開発し、LOGを搭載した自動配車管理システム「AI配車アシスタントLOG」の実証実験を2021年6月9日に開始しました。

さらに、実証実験のフィードバックをもとに、配車結果のチューニング、UI/UXの向上など、より一層現場で使いやすくするためのアップデートを行い、運送業界向けSaaS「AI配車アシスタントLOG」を同年12月17日に提供開始しました。

(後編へ続く)

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