「日本からワーキングプアをなくす」をミッションに、株式会社Compassはオンラインキャリア相談とキャリアマッチングサービスにより、中低所得者層の就労支援・定着支援を行っています。
代表取締役社長の大津愛さんに、自治体の就労支援のDX化や今後の事業展開について伺いました。
「日本からワーキングプアをなくし、誰もが夢を見られる社会を実現する」
Compassでは、国家資格を持ったキャリアコンサルタントによる無料LINE転職サービス「CHOICE!(チョイス)」と、その後AIでキャリアマッチングを行う人材マッチングサービスを、低中所得者層に特化して提供しています。
一般的な人材紹介会社では入り口は求職者ですが、そのちょっと手前で悩んでいる方も含めて、自治体を通して働きかける仕組みが、Compassのビジネスモデルの特徴となっています。
自治体の就労支援施策としてはワーキングプアというくくりではなく、「氷河期世代」「ひとり親家庭」「非正規労働者」「ヤングケアラー」「女性の再就職」などに対する専用のプロダクトやサービスを開発しています。神戸市、堺市、宝塚市など、これまでに8つの自治体向けにさまざまな就業支援サービスを提供してきました。
入り口はさまざまですが、入ってきた方々は自由に悩みを相談して、転職しようとか、仕事を辞めないとか、いろいろな決断に至って、その中で転職を希望された方にはAIを使ったりしながらマッチングを行い、地元の企業に紹介するサービスです。
独自開発AIとキャリアコンサルタントの融合でミスマッチを防ぐ
CompassはAIとヒューマンタッチ(人)を融合させ、ITと人の力の両方を最大限に生かすことで、ジョブホッピングを続ける人やワーキングプアをなくすことをミッションにしています。
カウンセラーとしては、キャリアコンサルタント国家資格保持者が、正規雇用や業務委託も含めて百名弱が登録しています。オンラインを中心としたキャリア相談の後に、相談されたユーザーに合った職業を紹介するという仕組みです。
その仕組みを全部労働集約でするのではなくて、自社開発のAIを活用しています。学歴や職歴など、今までの職業マッチングで使われる項目ではなくて、パーソナリティーや職業価値観などをLINEチャットボットで最初に登録いただいて、そこから診断します。登録企業の情報と合わせて何パーセントぐらいマッチするかを、マッチングアプリのようなイメージで表示させる仕組みで、キャリアカウンセラーの肌感覚を教師データとしたAIを作っています。
Compassでは紹介手数料ではなく、定着支援料として年収の15~25%を企業にお支払いいただいています。紹介した人材を半年間サポートして、カウンセラーに自由に相談してもらえるようにして、その方々が離職しないことによってキャリアアップして、企業にとって有能な人材、必要な人材になっていくことから、定着支援料としています。
GovTechでムーブメントを広げワーキングプアをなくす
今までの人材紹介ビジネスでは、コーディネーターが営業でもマッチングでも張り付いていましたが、すべてが労働集約型ではないところが、Compassの新しいコアバリューです。チャットボットを使ったり、マッチングの選定をAIに担当させることで、コストを下げることができます。
また、広告で人を集めるのではなく、相談ユーザーという形で悩んでいる方が流入する仕組みを自治体とも連携して作っています。自治体の就労支援をDX化する取り組みとして、それぞれの自治体にヒアリングして、その要望に応じた機能を独自開発して提供している点もマネタイズの大きなポイントとなっています。
今後も、相談を軸としたキャリアカウンセリングのプラットフォームとITテクノロジーを組み合わせて、地方の労働市場の問題を解決することに取り組んでいきます。
さらに、相談のプラットフォームで得られたデータを生かして、教育や住居面での適切な相談、マッチングのプラットフォームを新たに作るなどして、負の連鎖を断ち切っていくことを目指しています。もちろん全部自社で行うのは困難なので、自治体や商工会などと連携して、さらに地元の金融機関とも連携して、みんなでムーブメントとして広げていこうとしているところです。