DAOやブロックチェーンは契約や場所にとらわれない新たな社会構造を創造する力を持っています。DAOを活用して社会・文化的価値の高いものを正当に評価し、持続的に挑戦可能にするプロジェクトを手掛けているFRAME00(フレームダブルオー)株式会社。同社代表の原麻由美さんとCTOのaggreさんに創業の経緯やDAOの利点について伺いました。
マーケティングではなく、マーケットそのものの課題を解決する必要性
FRAME00は2015年に創業した会社で、2018年という早い時期からWeb3サービスに参入しています。代表の原さんは、メーカー系ベンチャー企業にて新規事業の立案を担当した後、2011年に独立し、ソーシャルメディアマーケティング領域の会社を起業しました。
事業を行う中で、伝統建築の修復を手掛ける企業からソーシャルメディアの力で後継者の育成を図れないかという相談を受けました。その背景には、文化的価値の高い寺院・宝飾品・国宝の修復といった高い技術を有していながら、売り上げが高くないという課題がありました。
修復企業の当時の売り上げは、当時人気だったあるソーシャルゲームを手掛ける企業の12分の1ほどでした。原さんはこの技術者たちが過小評価されている現状を打破すべく、当初は支援コミュニティーの作成やメディアの運用などを考えました。しかし、建築修復のマーケット自体にお金が集まっておらず、マーケティングの問題ではないため、既存のマネタイズ手段では解決策を見いだすことが難しかったのです。
そこで、現在FRAME00でCTOを務めるaggreさんに相談を持ちかけました。aggreさんはWebやオープンソース領域に秀でたエンジニアで、一般的にオープンソースエコシステムがあまり評価されていない現状と併せて解決できないかと考えました。
社会性が高く、収益性が低いものを持続可能にするソリューションとして、2人はDeFi(分散型金融)に目を付けました。DeFiはブロックチェーンを活用した技術で、P2P(Peer to Peer)で価値をキャプチャリングし、循環させる仕組みを作ることができます。
このDeFiを活用したソリューションを実現するため、FRAME00は設立されました。分散型金融の仕組みをクリエイターに適用させ、一人ひとりが銀行になっているような状態を構築したのです。
DAOとクラウドファンディングの違い
プロジェクトは、自律分散型コミュニティーのDAOとして運用されます。DAOと比較されることが多い仕組みにクラウドファンディングがありますが、いくつか異なる点があります。
まず、DAOでは、支援者が応援したいプロジェクトに預けたお金がブロックチェーン上で運用され、利子が発生します。これによって資金を預け続けることができ、継続的な支援が可能になります。また、支援者はDAOのコミュニティーに入ることができ、プロジェクトメンバーの一員として盛り上げていくことが可能です。さらに、DAOメンバーだけが保有できるNFTも発行されるなど、クラウドファンディングのようなモノによるリターンだけにとどまらない権利を得ることができます。
DAOのコミュ二ティーでは貢献度合いに応じて権利を比例配分する仕組みとなっており、意思決定もワンマンでなくメンバー全員で行います。この仕組みにより、それぞれの貢献に応じた報酬を受け取りながらコミュニティーを盛り上げていける点がDAOの大きな特徴です。FRAME00では、これらのメリットを活用したプロジェクトを提供しており、寺院や文化財の支援を行う「寺DAO」に先行利用されています。