物流施設や倉庫の空きスペースを抱える企業と、荷物の保管場所を探す荷主のマッチングサービスを手掛ける株式会社souco。代表取締役の中原久根人さんに、起業のきっかけやサービスの概要について伺いました。

不動産DXの経験を倉庫業界で活かしたい

中原さんは、学生時代に友人と留学サービスの会社を起業しましたが、卒業が危うくなったため離脱し学業に専念します。しかし、当時の仲間がいろいろな道で成功していくのを見て、いつか自分も起業したいと考えていました。

ファーストキャリアは、不動産業界向けシステムサービスの株式会社いい生活で、各不動産会社に物件情報を管理するデータベースをSaaSとして提供、販売していました。ちょうど不動産情報が紙媒体からネットへ移行し始めた時期で、その後も不動産仲介サイトの株式会社iettyなどで、データベース構築やサイト運営に従事しましたが、起業するなら別の業界でチャレンジしたい。

そんなとき、倉庫を探しているという問い合わせを何度か受けました。倉庫業界には、不動産業界が10年前に整えているような仕組みが存在せず、自社の状況さえも電話で確認する作業が日常的でした。

倉庫業界はマーケットサイズも課題も大きく、どういうプロセスで変えていくべきか何となくイメージがつかめたことから、不動産業界でやってきたことが生かせるかもしれないと考えたのが、起業のきっかけです。

縛りを細かくすることで、回転率と単価を上げる

もともと倉庫業は工業団地に土地を持つ地主のビジネスからスタートし、そこに3PL(サードパーティ・ロジスティクス)といわれる包括して物流業務を受託し遂行する物流事業者が併存していました。さらに15年ほど前に、アメリカの不動産ファンドが土地を買って建物を建て、そこに物流会社やメーカーを誘致し、5年10年という長い期間で借りてもらい、利回りを確定してファンドに売却していく、というビジネスが確立されました。このビジネスモデルは現在も堅調です。

今、物流の動きは非常に変化が激しくなっています。消費者の行動も多品種小ロットになり、物流が読みにくい。しかし、契約形態は5年10年の賃貸や所有という形のままでした。一方、不動産はアセットサイズが細かくなるほど利回りが高くなるので、工場を貸すよりもオフィス、オフィスを貸すよりもホテルのほうが1日当たりの単価は上がります。細かくなればなるほど利回りがよくなるのが、不動産全体の性質です。物流業界でも長い縛りを細かくすることによって回転率が高くなり、単価も上がるはずで、そこにチャンスがあるのではないかと考えました。

2016年に起業し、まず空き倉庫と荷主をマッチングするポータルサイトを作りましたが、掲載事業者が集まりませんでした。そもそも短期で貸し借りする文化がなく、そこで生じるリスクや与信、契約書など契約ごとに発生する手間やコストのため、短期契約は敬遠されます。そこをどう簡素化して回転率を上げていくか試行錯誤が続きます。

結局、貸主と借主の相対取引ではなく、すべての取引にsoucoが介在する形を取ることにしました。soucoが発注を出し、一方の契約書に基づいてsoucoと取引をし、与信、請求、入金確認もsoucoが行います。2019年6月に300件だった登録アカウント数は、現在1300件になっています。

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