人事領域にクラウドやビッグデータなどの先進技術を活用し業務を高度化・効率化するHRテックが拡大しています。国内で高いシェアを持ち注目が集まるクラウド人材管理システム「HRBrain」を開発・提供する株式会社HRBrain 代表の堀浩輝さんに、起業の経緯やサービスの強みについて伺いました。
成長市場×自分の経験を活かせるのがHRテック領域だった
2016年にHR分野で創業することを決めたのは、HRテックが成長市場であったことと、前職のサイバーエージェントにおけるAmebaの事業責任者としての経験から、より良いシステムを開発できると思ったからです。
HRBrainは、クラウド上で人事評価や人材データを一元管理できるSaaS型の人事評価システムです。人事評価の目標設定から評価までのプロセスは手作業が多く、人事担当者や管理職にとって大きな負担になります。その課題を解決するために人事評価の集計作業を自動化し共有できる機能や、社内の他のデータと掛け合わせて分析できる機能を提供しています。
現在、国内で人事評価クラウドという領域においてはHRBrainが一番シェアを持っています。使いやすいUI/UXのサポートの手厚さが強みで、数々の賞も受賞しています。クライアントはIT系企業が4割ほどを占めますが、残りは規模や業界を問わず幅広く利用されています。
人事評価制度をクラウド化するメリット
中小企業では人事評価制度そのものがないところも多く、HRBrainを導入することで最初からクラウドベースで人事評価制度を構築できます。また、人事評価制度があっても整備がされていない場合や、紙・Excelで管理している会社に対しては、現在の運用を変えずに効率化できる点がメリットになります。
さらに、目標や評価を見える化することでスタッフの目標達成意欲が高まる点も大きな導入メリットです。HRBrainにより評価プロセスが明確になるためスタッフもきちんと目標を記入して提出するようになり、目標設定からフィードバックまでのループ、サイクルがしっかりと回るようになります。
社会が変化するスピードが上がっている中で、4月に目標設定して9月末に振り返るというようなサイクルには、もはや妥当性がないことに多くの企業が気づき始めています。HRBrainは月次で評価を行い、上司と目標設定やフィードバックを反映する使い方ができるようになっています。
またスタッフのスキルや経験値などの情報を組織で一元管理し戦略的に活用するタレントマネジメントに対するニーズも高まっており、その点でもシステム需要が増えてきています。まだ多くの企業では何から始めればいいか、何を重要な指標として追いかけていくべきかがわかっていない状況にあって、HRBrain導入のメリットは大きいでしょう。
コロナ禍でクラウド化がより加速する
HRテック、または広く言うとSaaSビジネスは、今でこそ脚光を浴びていますがHRBrainを創業した4年半前は全く状況が異なりました。しかし、今後の日本の労働市場およびクラウド化の普及を考えたときに間違いなく市場が伸びるという自信がありました。現在は、当時予想した以上に多くの企業から引き合いがあり、また導入されています。コロナ禍にリモートワークが広がったことで速度が速まった印象です。
最近では米西海岸が発祥の目標管理フレームワークOKR(Objectives and Key Results)が注目されるなど、人事評価における目標設定方式も非常に多様化しています。SaaSとしては異なる方式に対してどれだけ汎用性のあるプロダクトにしていくかが重要で、できるだけ多くの会社に使ってもらえるように積極的に人事関連の情報収集を行いながら、最大公約数を取るかたちで改善を続けています。