レストラン情報・予約アプリの「日本美食」は、TakeMeにブランド名を変更し、マルチ決済サービスのプラットフォームとして導入数は5万店を超えました。今後の展望やアフターコロナへ向けた取り組みについてTakeMe株式会社 代表取締役社長の董路さんに伺いました。

飲食店向けアプリから、あらゆる場所へ「連れていく」グローバルサービスに転換

2016年から中国人をメインターゲットにした「日本美食」というブランドで事業を行ってきましたが、ビジネスが拡大するにつれて飲食店以外で決済サービスとして利用する小売店が増え、中国人以外の外国人利用も増えてきました。そのため全世界の誰が見てもわかるようなブランドとして、2019年3月に社名およびサービス名をTakeMeに改称しました。

TakeMeとは、飲食店向けには「お客様を連れてくる」、ユーザー向けには「レストランだけでなく面白い店に連れていく」という意味を持たせています。飲食という制約をなくしたことで流れが変わり、利用店舗は3万店まで増えました。さらに店舗向けマルチ決済サービスをTakeMe Payとして独立させたことで一気にペイメントのプラットフォームとして成長、現在では5万店まで増えています。日本で登録済みのQRコード決済のブランドは約400あり、世界では約1000あると言われています。そこで2020年7月までに世界の1000ブランド全てを導入することを目標にしています。

目指しているのはユニバーサルな決済プラットフォームです。世界中の全ての国のスマホ決済アプリを持って、世界中の全ての国で使える、グローバルなインフラ構築を目指しています。スタッフは8割が外国人で、日本向けプロダクトを海外に売るのではなく、始めから世界に通用するプロダクトを意識して開発しており、必ず世界で通用すると信じています。

アフターコロナはECとリアル店舗の位置づけが逆転する

アフターコロナの世界を想像するにあたり、2003年SARS(重症急性呼吸器症候群)流行時の中国の動きが参考になります。この年にECサイト「淘宝(タオバオ)」が誕生し、SARSによって中国のEC成長のペースが加速しました。当時世界一のEC事業者はAmazonでしたが、今ではタオバオが世界一になりました。

それを踏まえると、新型コロナウイルス終息後はECだけでなくオンラインとオフラインの融合も進んでいくはずです。中国のアリババグループが提唱するニューリテールとは、リアル店舗がモバイルやデータテクノロジーを活用して新しい顧客体験を提供することですが、これがアフターコロナでは顕著になると予測しています。

現在日本のEC化率は10%未満ですが、今回強制的にオフラインでの経済活動ができなくなったことで、多くの店舗ではビジネスの転換が求められています。例えばスーパー、デパートやレストランでは、オンライン注文とデリバリーによって家で商品を体験できるようにする動きが進んでいます。これは今後の大きな流れとして、日本でデジタルエコノミーが活発化するチャンス、デジタルシフトが進むチャンスだと感じています。またそれに伴いデジタル決済も加速すると考えています。

TakeMeとしても、この流れを逃さないように2020年5月には店舗のデリバリー用プラットフォームをリリースする予定です。個人商店では配達事業者と契約するのは手間がかかるので、配達事業者とつなぐインフラとして手軽にデリバリーサービスを利用できるようにします。

TakeMeは自分たちのことを「Payment as a Platform(プラットフォームとしての決済)」と呼んでおり、プラットフォームの中で店舗向けの機能を徐々に拡張しています。多くの人に利用してもらうことで集めたデータはビッグデータとしても利用できるようになり、そこからさらにAIと組み合わせた活用も視野に入れています。決済を軸に、そのデータを活かしたビジネス展開を目指します。

画像: マルチ決済サービス「TakeMe Pay」 www.youtube.com

マルチ決済サービス「TakeMe Pay」

www.youtube.com

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