訪日外国人数が3000万人を超え、拡大するインバウンド需要に対して新たなビジネスにチャレンジする企業が増えています。宿泊管理システムの提供および自社ブランドによるホテル運営を行なっている株式会社SQUEEZE 代表取締役 CEOの舘林真一さんに創業の経緯を伺いました。

起業のきっかけは成功体験

SQUEEZE(スクイーズ)は、宿泊関連のソリューションを提供するスタートアップです。もともとは民泊施設の運営からスタートし、そこで培った運営管理ノウハウとシステムを他のホテルや宿泊施設に提供しています。

起業のきっかけは、両親が経営していた賃貸住宅を民泊施設として個人的に運営した経験でした。大学卒業後にシンガポールへ渡り、旅行関連企業のトリップアドバイザーで日本企業向けにインバウンドの広告運用や集客サポート支援を担当していた私は、2013年頃から訪日旅行者向けの広告が増え、インバウンドの波が来始めたことを実感していました。

同じ時期に、北海道に住む両親が経営する旭川のアパートが高い空室率で困っていたことから、まだ国内では知名度が低かった民泊仲介サービスのAirbnb(エアビーアンドビー)に部屋を登録することを思いつきました。すぐに宿泊客が滞在できるようアパートの空き部屋に家具を入れ、物件情報や写真を両親に準備してもらってAirbnbに掲載したところ、予想以上の利用がありました。宿泊客は台湾、タイ、韓国など、すべて外国人でした。

ここで得た気付きは2つあります。1つは、不動産の価値とは、ターゲットを変えることで付加価値を上げることができるということです。アパートの空き部屋を、賃貸住居として貸し出すと契約が埋まらなかったのに、インバウンド旅行者向けとして民泊サイトに露出した途端に利用者がつき、従来の家賃収入の5倍近くの収入を得ることができました。もともと賃貸住宅用だった部屋を外国人旅行者向けにするだけで付加価値が付き利用されたことが、「価値を違う価値で埋める、詰め込むことができる」と思った最初の体験でした。

もう一つは、宿泊施設を現地にいなくてもリモートで運用できることです。シンガポールにいながら予約対応や部屋の運用、業者の手配などを行い、両親は外国語ができないので、英語での対応はすべて私が代わりに行いました。Airbnbのアプリや電話で海外とのやりとりができるうえ、施設清掃の管理はLINEやSkypeなどのメッセージアプリで業者に委託できました。

将来的にインバウンドの需要が高まることはわかっていたので、民泊運営の経験を仕組み化すれば遊休資産も含めて新たな価値を創造できると思い2014年にSQUEEZEを創業しました。

民泊運営から、培ったノウハウや管理システムを外販するモデルへ

起業してから1年余りは民泊物件を運用して収益を上げるビジネスモデルでした。しかし、物件数が増え管理が煩雑になると、部屋の清掃ができていない、宿泊客への連絡ミスが起こるなどのトラブルも増えていきました。効率的な運営を考えたときに手作業での管理には限界であると感じましたので、自社で物件の管理システムを開発しました。その後数年間で、この業界ではおそらく圧倒的に数多くの物件を運用し実績やノウハウを蓄積していきました。

変化が起きたのは、2017年に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)です。民泊新法によって認可が下りる物件が激減し、個人での運営が難しくなりました。同時に地域ごとに施設を管理する運営会社が増えたことを受け、施設清掃の手配や予約管理などの業務を管理するシステムがあれば必ず利用されるであろうと見込んで、自社開発したシステムをSaaS化して「suitebook」として提供を開始しました。それに伴い自社のビジネスモデルも、民泊施設の運営代行から自社ブランドによる宿泊施設運営や宿泊業界向けの運営ソリューション提供へと転換しました。

「SQUEEZEでは、事業拡大に伴い、共に働いていただけるメンバーを募集しています」
https://squeeze-inc.co.jp/recruit/

This article is a sponsored article by
''.