2021年 2月24日(水)、キャナルベンチャーズ主催のオンラインイベント「Digital Transformation Webinar Zero~VUCA時代における働き方~」を開催いたしました。VUCAとは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)を意味する言葉です。これらの要因により予測が難しい中で、今後人々の働き方はどのように変わっていくのか、人材のパフォーマンスを最大化していくためにはどうしたらよいか、組織の成果を飛躍的に高めるリーダーとはどのようなものかを議論しました。

データと事例から未来の予兆を導く「未来予報」

画像1: 未来の姿から10年後の働き方を考える~「DT Webinar Zero」開催報告(1)
画像2: 未来の姿から10年後の働き方を考える~「DT Webinar Zero」開催報告(1)

最初に、未来予報株式会社 代表取締役 宮川麻衣子さんが、基調講演「未来の予兆から10年後の働き方を考える」を行いました。

未来予報は、データや事例に基づいて50年先の未来を見通した上で、5~10年先の超近未来のビジョンを発信する戦略クリエイティブ・デザイン会社です。またアメリカ最大級のクリエイティブビジネスのカンファレンス「サウス・バイ・サウスウエスト」の日本オフィスも兼ねています。

単なる技術についての記事を読むだけで未来を想像するのは難しい。同社ではデータを鵜呑みにするのではなく兆しを読み取り、考えて、詳細なことを思い浮かべて未来のビジョンを組み立てていきます。具体的には5~10年後に現れるであろうペルソナをまず考えて、そこから逆算して必要なサービスやプロダクト、組織や仕組みを考えていきます。

両極端の価値観を両立させる「ゆらぐ人たち」が働く未来とは

2030年に主流になると考えている若者の姿は、「ゆらぐ人」であるという仮説を立てています。これは一人でいたいけれど誰かと共有したい、健康にこだわりたいけど健康よりも今を楽しみたいなど、無尽蔵にある選択肢の中で、両極端なことをどちらも実現したいと考える若者像を定義したものです。

ゆらぐ人たちに向けたサービスの例として、サイレントディスコがあります。これはフロア全体で爆音の音楽を楽しむ通常のディスコと異なり、静かなフロアでワイヤレスヘッドフォンをつけて各々が音楽を楽しむイベントです。一人ひとりが違う音楽を楽しみたい、誰かと楽しい時間を共有したい、という両極端のニーズを両立させているサービスの一例です。

では、こういった特性を持つ人たちが働く未来はどう変わっていくのでしょうか。宮川さんはオフィス用品メーカーのコクヨと未来の働き方を共同研究した経験から、「10年後は自分の望む生き方を考えてから仕事を探すようになる」という方向性を挙げました。そして先が見えないVUCAの時代には、改めて自分が何をしたいか、どうやって発信していきたいかを明確にすることが重要になるとして、2030年の働き方予報を事例として紹介しました。

「自分を見つける」という視点では、将来の可能性と不安について向き合う手段としてVRによるリアリティのある職業体験や、放課後活動の推奨、複業を前提としたセット就職を支援する企業が増加すると予報しています。

また「自分と働く」という視点では、就職活動で業界の動向を把握する目的で広く行われている業界サーチに代わり、企業のビジョンや方向性を把握するためのポリシーサーチへと変わっていくと予報しています。企業文化や働き方が自分とマッチするかを知ることは、仕事のミスマッチを防ぐことにもつながります。さらに働き方が変わることで、プロジェクトで3カ月働いた後には長期休暇を取るというようなライフスタイルも増えていくと予報しています。

これから求められるリーダーは、「いつも正直でいられる人」

働き方と同じように、これから求められるリーダー像も変化していきます。同社では2020年に発表した10の予報の一つとして「変わる、ビジネスヒーロー像」を挙げました。

ここ数年、SNSでユーザーデータの一部が不正に収集され悪用された事件やプライバシー侵害に関する内容が社会的に問題になっています。「便利やお得」なサービスの裏で、知らない間に個人情報が取得・利用される状況に懐疑的なまなざしが向けられています。世界をけん引するリーダー企業として、利便性や収益性を追求するだけではなく、情報の透明性、データの公平性を重視した上で、即決断できる倫理観を持ったリーダーが必要です。そしていつも正直でいられる人こそが、若い世代に受け入れられるリーダー像だと指摘します。

最後に宮川さんは、「予測ができない未来だからこそ、未来志向へのマインドセットが必要だと思っています。インプットをたくさんしていただいた上で、ぜひ自分の欲しい未来、作りたい未来という自分なりの仮説を持ってもらうと、VUCA時代を生きる上で指針になると思います」と締めくくりました。

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