インバウンド観光の伸び全国1位の青森県。青森観光連盟のトップを務める高坂氏のスピード感と行動力は、スタートアップやべンチャー・キャピタルからも注目を集める。
 
高坂氏は大学で建築・都市工学を学んだのち、青森県庁に就職し、建築技師として県の施設建設に関わった。その後、大手広告代理店に出向してマーケティングの基礎を学び、1991年に県に戻ってから産業政策などの企画立案に携わるようになる。
 
一昔前の地方の産業政策といえばどこも企業誘致だったが、経済のグローバル化が急速に進む中で、日本のメーカーは製造拠点を次々に海外へ移転するようになり、非常に厳しい状況が続いた。
 
2002年に、再生可能エネルギーに関わるようになる。ここが高坂氏の今に通じる行動指針の礎となった。「やるなら誰よりも早く、誰もやっていないことを」。
 
風力発電をはじめとした当時の再生可能エネルギーは、スタートアップのサービスのようなものだった、と高坂氏は振り返る。多くの人は半信半疑。そんな中、電力会社の協力も得ながら青森県は再生可能エネルギーに注力し、最先端のエネルギー関連技術を実証できるフィールドを提供した。
 
すると、この分野に参入したいスタートアップ、大手企業の新規事業部門担当者が続々と青森県を訪問するようになった。「エネルギーで新しいことをやるなら青森だ」と。
 
「観光分野でも同じことをやっている」と高坂氏は語る。
 
海外からの観光客の流れが、東京、大阪、京都というゴールデンルートから地方へ向かい始め、ひと頃の爆買いも一段落して消費はモノからコトへとシフトしていると言われている。しかし、地方ではいまだにしっかりとした受け入れ態勢ができていないのが現実。
 
iPhoneが誕生してから10年。人々のコミュニケーション手段は激変した。ソーシャルメディアを活用して観光客自らがどんどん情報を発信し、人々は身近な知人の発する情報に信頼を寄せる。
 
多くの情報が氾濫する中で、情報拡散の原動力となる魅力的なコンテンツの発掘・磨き上げはもちろんのこと、どこでも通信できる環境や安心して買い物ができる決済環境の整備が急がれる。
 
地方の観光の足りていない部分を、スタートアップのもつスピードとマーケットインの柔軟なサービスで充実させつつあるのが青森県である。「やるなら誰よりも早く、誰もやっていないことを」である。

画像: 【やるなら誰よりも早く、誰もやっていないことを
~急成長する青森の観光を牽引】
第1回digital transformation(開催 2/27、企画・主催キャナルベンチャーズ)インタビュー vol. 2青森県観光連盟 専務理事 高坂幹氏

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