

キャナルベンチャーズ株式会社、ライフタイムベンチャーズ合同会社、横浜未来機構、横浜市(TECH HUB YOKOHAMA)は2026年1月30日、スタートアップピッチイベント「Startup Demoday × YOXO FESTIVAL 2026」を横浜ランドマークホールで開催しました。
本イベントは、最先端技術を体験できる展示イベント「YOXO FESTIVAL」にあわせて開催されたもので、昨年度に続いての実施となります。横浜のスタートアップエコシステムの認知を広げるとともに、スタートアップ、企業、大学などの連携強化や次世代人材の育成につなげることを目的としています。
横浜未来機構会員企業をはじめとする事業会社と、トップティアのスタートアップ、積極的に投資活動を行う投資家が横浜に集結しました。パートナーシップや出資、協力関係の構築の機会を創出し、スタートアップの成長を後押しする場として開催されました。
今回は昨年度よりも規模を拡大して開催され、国内屈指のVCが推薦するディープテックおよびAI/DX領域のスタートアップ13社が登壇しました。
多様なプレーヤーが交差し、新しい経済圏を生み出す
キャナルベンチャーズ株式会社 代表取締役の松岡亮介が開会挨拶を行いました。「Startup Demoday」の特徴について、一般的なスタートアップピッチや地域イベントとは異なり、横浜市および横浜未来機構をハブとして、地域企業、ベンチャーキャピタル、スタートアップが交差する場づくりに重点を置いていると説明しました。

さらに、スタートアップが急成長する過程では、人材・資金・モノが集まり、新たな産業を牽引する力が生まれると指摘しました。キャナルベンチャーズとしても、新しい事業が生まれる様子を外から眺めるのではなく、自らも当事者として新しい経済圏を創出するという意識で、日々スタートアップと向き合っていると語りました。
本イベントにはスタートアップだけでなく、企業やベンチャーキャピタルなど多様なプレーヤーが参加しています。交流を通じて新たな経済圏が生まれる手応えを参加者と共有したいと述べました。多様な視点とリソースが交わることで、横浜から次の産業を形づくる力がさらに強まることへの期待を示し、挨拶を締めくくりました。
企業とスタートアップが連携しやすい横浜の強み
続いて、横浜未来機構 事務局次長の森幸太郎さんが登壇し、スタートアップにとって魅力的な横浜の地域特性と、同機構の役割について紹介しました。
横浜では、みなとみらい21地区に大企業のR&D拠点が集積し、関内エリアにはスタートアップが集まっています。両エリアが近接していることから、企業とスタートアップが連携しやすい環境が整っています。こうした特性を背景に、2021年3月に設立された横浜未来機構は、大企業や事業会社、スタートアップ、行政、教育機関などをつなぐオープンイノベーション推進機関として活動しています。
同機構は、地域課題と先進技術を結びつけて持続可能な未来を創出することをコンセプトに、事業会社の新規事業担当者によるクロストークや会員大交流会、「YOXO FESTIVAL」などのイベントを開催し、産官学民の連携を促進しています。
「YOXO FESTIVAL」は、企業・スタートアップ・アカデミア・個人が一堂に会し、最先端技術や実証実験中のアイデア、ソリューションを出展・発表するイベントです。横浜周辺の技術者有志による「横浜ガジェットまつり」を前身としており、現在では多様なイベントが展開される大規模なフェスティバルへと発展しています。
2025年には企業向けのBUSINESS DAYを新設し、TECH HUB YOKOHAMAでピッチイベント「YOXO FES Demoday in YOKOHAMA-KANAGAWA」も開催しました。2回目となる今回は、会場を横浜ランドマークホールに移し、より多くの来場者を迎えられる体制を整えています。
社会課題に挑むディープテック8社が登壇
スタートアップピッチでは、各社を推薦したベンチャーキャピタルの応援コメントに続いてスタートアップが登壇する形式で行われました。前半のディープテックパートでは、社会課題の解決に挑む8社が登壇し、食品、半導体、ドローンショーなど幅広い分野の取り組みが紹介されました。
今回ピッチを行ったスタートアップは以下の通りです。
【参加したスタートアップ】
- 株式会社Algalex 高田大地さん
- 大熊ダイヤモンドデバイス株式会社 永井悠平さん
- クールフライヤー株式会社 山田光二さん
- 株式会社SUN METALON 瀧澤慶さん
- 株式会社レッドクリフ 佐々木孔明さん
- 超電導センサテクノロジー株式会社 波頭経裕さん
- 日本超電導応用開発株式会社 小島恵太さん
- 株式会社VISION IV 小関智昭さん

沖縄発のAlgaleXは、藻類オーランチオキトリウムを培養し、自社ブランド「うま藻」として商品化しました。強い旨味と高いDHA含有量が評価されており、国内外のレストランで採用されています。食品残渣を活用した培養技術も開発し、未利用資源の循環モデルを構築。藻を活用した持続可能な養殖の実現を目指しています。

大熊ダイヤモンドデバイスは、福島第一原発の廃炉作業でも使用可能なダイヤモンド半導体の商用化を目指しています。高耐熱・高出力といった特性により、レーダー分野で小型軽量化や探知距離の向上が期待されています。原料調達から製造まで自社で担う体制を強みに、宇宙・防衛や次世代通信分野への展開を進めています。

クールフライヤーは、油槽を水で冷却する独自構造により油ハネや油煙を抑える新型フライヤーを開発しました。揚げカスや水分を瞬時に沈殿させる特許技術により油の劣化を防ぎ、コンビニでの実証では油交換周期を2倍以上延長、油使用量も80%以上削減。将来はIoTやSaaSを組み合わせたビジネス展開も視野に入れています。

SUN METALONは、独自の金属加熱技術を用いて切削クズや研磨クズなどの金属スクラップを再資源化する技術を開発しています。分散型プロセスによって不純物混入を抑え、金属本来の価値を保った水平リサイクルを実現。鉄鋼・鋳造・加工メーカーが抱える高品質スクラップ不足や資源効率の課題解決を目指しています。

レッドクリフは、国内最大級のドローンショー企業で、1000機規模の大規模演出を強みとしています。大阪・関西万博の演出にも関わるなど実績を重ね、日本で減少する花火大会やナイトタイムコンテンツ不足といった課題の解決を目指しています。今後は広告や地方創生、IP連携など新たなエンターテインメント分野にも挑戦します。

超電導センサテクノロジーは、量子センシングによる超高感度磁気センサーを開発し、資源・エネルギー分野の探査技術を高度化しています。30年以上の国家研究を基盤に、探査深度や解像度の向上、低環境負荷を実現。金属資源だけでなく石油・ガスや地熱など幅広い用途に対応し、将来的にはデータビジネスへの展開も目指しています。

日本超電導応用開発は、AI普及で増大する電力ロスの解決を目指し、超電導技術の実用化に取り組んでいます。発熱せず大電流を流せる特性を活かした「世界で最も細い超電導線」を開発。さらに材料・加工・冷却の課題を一体化したカプセル型コイルモジュールの開発を進め、省エネルギー化を実現しようとしています。

VISION IVは、日本で唯一ダイヤモンド基盤素材を手がけるスタートアップとして半導体材料を開発しています。ダイヤモンドの高い熱伝導性や硬度を活かし、シリコンを上回る性能を持つ素材の実用化を目指しています。高度なドーピング制御技術を強みに、まずセンサー市場に参入し、将来的にはパワー半導体分野への展開を狙っています。
最新技術で変革を進めるAI/DX企業5社が登壇
後半のAI/DXパートでは5社が登壇し、AIを活用した自動化プラットフォームや人材育成サービス、DX支援など、それぞれの先進的な取り組みと事業の方向性が紹介されました。
【参加したスタートアップ】
- 株式会社amoibe 新條隼人さん
- 株式会社Smart Craft 米野聡純さん
- 株式会社Zevero 本橋宏祐さん
- 株式会社Ur AI Sandeep Yellaさん
- 株式会社ailead 杉山大幹さん

amoibeは、仮想環境で実案件を再現し、AIメンターが伴走するOJT型の人材育成サービスを提供しています。現場の負担を増やさずに実践的なスキル習得を可能にするのが特徴です。さらに、この育成ノウハウを強みに生成AIの品質保証事業にも参入し、AI導入時の試験や評価を担う領域にも事業を広げています。

Smart Craftは、製造業向けにMES(製造実行システム)をSaaSとして提供しています。工程管理や品質管理など、これまでアナログで行われてきた業務をデジタル化し、現場でデータを活用した改善を進められる環境を構築。加工・組み立て系の工場を中心に導入が広がり、生産性向上を支援しています。

Zeveroは英国発のスタートアップで、英国・シンガポール・日本を拠点に事業を展開しています。企業のサステナビリティ対応において負担となる排出量算定やデータ整理、書類作成などをAIで自動化するプラットフォームを提供。担当者の事務作業を削減し、本来の環境施策に集中できる環境づくりを支援しています。

Ur AIは、M&A業務に特化したAIプラットフォームを開発しています。対象企業の資料整理や構造化、競合分析、レポート作成までを一貫して支援。AIが複雑な資料を読み取るための独自変換技術やナレッジグラフ技術を活用し、M&A業務の効率化を実現します。今後は保険や不動産などへの展開も視野に入れています。

aileadは、営業や採用、会議などの対話データを記録・活用するプラットフォームを提供しています。ZoomやTeamsの会話内容から顧客接点の情報を抽出し、Salesforceなどに自動反映。顧客情報管理や営業活動の効率化を支援します。すでに400社以上が導入しており、対話データを基盤とした業務改革を進めています。
横浜から生まれる次世代ビジネスの広がり
最後に、横浜未来機構 事務局長の古木淳さんが登壇し、全13社のピッチを総括しました。
登壇した各社に共通していたのは「社会課題を見いだし、強い意志をもって解決に挑む姿勢」だったと評価しました。横浜には企業、研究機関、投資家など多様なプレーヤーが集まり、スタートアップにとって挑戦しやすい環境が整っているといいます。そのポテンシャルをどのように結び付け、具体的な価値創出につなげていくかが今後の重要な課題になると指摘しました。
また、イベント冒頭でも触れられた「新しい経済圏」の兆しについても言及し、本日の交流を通じてその萌芽を感じたとコメントしました。企業、スタートアップ、投資家など多様なプレーヤーが横浜を舞台に連携することで、新しいビジネスが生まれることへの期待を示し、イベントを締めくくりました。

横浜ならではの交流会で生まれたつながり
ピッチイベント終了後には、登壇者と参加者による交流会が開催されました。会場には地元の飲食が用意され、参加者はリラックスした雰囲気の中で交流を深めました。
登壇スタートアップを囲んで投資家や事業会社がピッチ内容について質問を投げかけるなど、会場のあちこちで活発な対話が生まれていました。ピッチでは語りきれなかった技術の背景や事業展望について議論が広がり、具体的な協業の可能性について話し合う場面も見られました。
スタートアップ、投資家、企業、支援機関といった多様なプレーヤーが直接顔を合わせて対話できることは、リアルイベントならではの魅力です。横浜という場を起点に新たなつながりが生まれ、次のビジネスへと発展していく可能性を感じさせる交流の場となりました。




