世界中の人々の役に立つ事業を創り続ける~ailead(後編)

ailead 代表取締役社長 杉山大幹

対話データAIプラットフォーム「ailead」は、主に営業組織の強化を目的として企業に導入されてきました。しかし、現在では採用面接や育成面談、1on1などのコミュニケーションを軸とする人事・HR領域へと事業範囲を広げています。新たな領域へと事業を拡大した経緯や今後の展望について、株式会社ailead 代表取締役社長の杉山大幹さんに伺いました。

営業向けの商談分析から人事・HR領域へ

2021年7月に対話データAIプラットフォーム「ailead(エーアイリード)」のβ版をリリースし、その後、利用企業は400社を超えるまでに拡大しました。2025年3月には、さらに多くの方にサービスを知ってもらえるように、サービス名と社名を統一し、株式会社aileadへと社名を変更しました。aileadという名称には、「AIを通じて、ユーザーをより良い方向にリードする」という想いが込められています。

商談データから必要な情報を抽出して、CRMやSFAなどのシステムへ自動入力できるようになると、顧客情報管理や人事・採用評価の自動化にも応用できます。実際に「ailead」では、2025年から同社の強みであるコミュニケーションデータの可視化・分析技術を活かし、人事・HR領域へ本格的に参入しています。プラスアルファ・コンサルティングのタレントマネジメントシステム「タレントパレット」と連携し、採用面談内容をAIが要約して評価をフィードバックする機能の提供を開始しました。

この機能により、従来の採用現場で課題となっていた評価基準のばらつきや、面談者による評価バイアスを抑制できます。さらに、採用面接で得られたデータを入社後の配置や育成に活用するなど、人事領域においても対話データの価値を最大化する構想が進んでいます。

また新たな取り組みとして、博報堂DYグループと共同で新卒採用選考プロセスの自動化にも着手しています。グループワークとオンライン面接で「ailead」を活用し、AIが解析した評価を選考に役立てることで、面接官の作業負荷を軽減するほか、より公平で精度の高い評価を実現しようとしています。

AIが客観的に評価することで意思決定の透明性を向上

2025年末には、商談データを分析し、成約確度や売上予測を可視化する新機能「AI Insight」を実装しました。商談内容をAIが評価し、情報の有用性をスコアとして示すほか、会話の文脈、評価根拠や次に確認すべき項目の表示などを可視化します。こうした情報を経営層が把握することで、売上予測の精度向上や意思決定の透明性向上、商談レビューの効率化などを支援します。

従来の営業や採用の現場では、「今月は絶対決まります」「この候補者は良さそうです」など担当者の主観やバイアスが入り込んだ報告をもとに意思決定が行われてきました。しかし、実際には受注に至らなかったり、採用ミスマッチが発生したりすることは珍しくありません。

「ailead」を導入することで、すべての会話が一次情報(ファクト)として蓄積されます。その上でAIが「予算について十分に確認できていない」「決裁者へのアプローチができていない」といった客観的事実をスコアリングして提示します。これにより、上司や経営者は部下の主観的な報告に依存することなく、事実に基づいた判断を行えるようになります。

杉山さんは、今後の組織マネジメントのあり方は大きく変化していくと見ています。その中心にあるのが、特定の目標に向かってAIが自律的にタスクを実行する「AIエージェント」という考え方です。これまで人が担ってきた評価やフィードバックの一部をAIが自動で担うようになれば、従来の階層型組織に加えて、管理職的な役割を果たすAIが、全体をフラットに統括・管理する組織構造へと移行していく可能性が高いと指摘しています。

杉山さんは、こうしたAIエージェントの進化は、これまでaileadが取り組んできたAIオートメーションの延長線上にあると捉えています。対話データの取得や整理、評価といった業務プロセスをAIが担うだけでなく、次に取るべき行動や判断までを支援・代行する存在へと進化していくことで、組織全体をフラットに支える新しいマネジメントの形が生まれていくと考えています。

ailead資料2-1

「AIエージェントの時代」の到来を見据えたプロダクト開発を目指す

AIエージェントの時代の到来を見据え、杉山さんは「ailead」を社会的インフラへと育てていきたいと考えています。その根底にあるのは、プロダクト開発を一時的な流行や短期的な成果として捉えるのではなく、長期にわたって使われ続ける基盤として設計するという姿勢です。

杉山さんは、プロダクト開発は建築に近い側面を持つと捉えています。後から土台を作り替えることは大きな負担になるため、初期段階から長期的な視点で開発できる体制を整えることが重要だといいます。巨大建築物が長い年月をかけて完成してきたように、企業のコミュニケーションデータを安全に管理し、活用できる基盤を構築するには時間が必要です。その時間をかけるプロセスこそが、結果として大きな価値を生む挑戦になると考えています。

また、短期的な目標としては、チャットインターフェースにとどまらず、企業ごとの課題解決に最適化されたUIの追求にも力を入れていく方針です。ユーザーの業務や意思決定に自然に溶け込むプロダクトを目指しながら、aileadは進化を続けていきます。