

オンライン商談の増加に伴い顕在化した課題を解決するツールとして誕生したのが、対話データAIプラットフォーム「ailead」です。「ailead」は、オンライン商談で生まれるコミュニケーションデータを活用し、企業の人材育成や組織の生産性向上を支援してきました。株式会社ailead 代表取締役社長の杉山大幹さんに、起業家としての原点から現在のaileadが生まれるまでの背景を伺いました。
自社の課題から生まれたAIオートメーションツール
杉山さんは大学1年生だった2013年から、ベンチャーキャピタルのEast Venturesでアソシエイトインターンとして活動を始め、リサーチや出資先支援に携わってきました。2015年には、メルカリの新規子会社立ち上げに初期メンバーとして参画し、事業開発や組織づくりなど幅広い業務を経験しました。最若手として大きな挑戦に関わる中で、社会的インパクトのある事業を生み出すことの意義や面白さを強く実感したといいます。
こうした経験を通じて、自らの手でビジネスを立ち上げたいという思いを抱くようになり、2017年8月に創業し、ディープラーニングやGAN(敵対的生成ネットワーク)1といったAI技術の進展を背景に、AIオートメーション領域へと事業の幅を広げていきます。
しかし、事業転換を進める中で世界はコロナ禍に突入しました。クライアントであった大手小売企業や化粧品メーカーも厳しい環境に置かれ、スタートアップへの投資余力は低下します。そうした状況の中で、新たな柱となるプロダクトとして開発されたのが「ailead(エーアイリード)」でした。自社でもリモートワークを行う中で、営業チームの構築やマネジメント、新入社員のオンボーディングがうまく機能しないといった、非対面環境特有の課題が浮き彫りになりました。これらを解決するプロダクトを作ろうとしたことが、「ailead」誕生の出発点となっています。
対話データを組織の資産に変える、生産性向上プラットフォーム
「ailead」は、企業の業務効率化と生産性向上を支援する対話データAIプラットフォームです。オンライン会議の録画データをAIがテキスト化し、内容を分析することで、チーム間の情報共有を円滑にします。セールスイネーブルメントを支援するプラットフォームとして、大手人材紹介会社、不動産会社、広告代理店など400社以上の企業で導入されています。
ZoomやTeamsといった特定のアプリケーションを問わず、オンライン会議の動画を収集できる点に加え、対面(オフライン)での会話やIP電話など、企業内で発生するあらゆる対話データを統合できるのが特徴です。さらに、蓄積されたデータをAIが分析・構造化し、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)への入力を自動化します。
ZoomやTeamsに備わる文字起こし機能が個人の生産性向上に寄与するのに対し、「ailead」は組織内に分散している商談データを統合して業務プロセスを自動化することを目指しています。単なる記録にとどまらず、組織全体の生産性向上を目的としたプラットフォームです。

圧倒的なデータ収集能力とカスタマイズ性が「ailead」の強み
「ailead」の最大の強みは、圧倒的なデータ収集能力です。特許取得済みの独自データ収集基盤を備えており、オンライン会議の主催者(ホスト)でなくてもデータを取得できます。取引先から送られたリンクでオンライン会議にゲスト参加する場合、データ取得が制限されるケースも少なくありませんが、「ailead」はプラットフォームを問わず、対面や電話のデータまで含めて一元的に蓄積することが可能です。
また、企業ごとの業務フローに柔軟に対応できるカスタマイズ性の高さも大きな強みです。多くのSaaSが「ツールに業務を合わせる」運用を前提としているのに対し、「ailead」は企業ごとに異なる業務プロセスやカスタマイズ項目を設定できるようになっていて、ツール側が適応できる仕組みを備えています。
例えば、CRMとして多くの企業で利用されているSalesforceの場合は、あらかじめ用意されている標準項目に加えて、企業ごとにカスタマイズした独自項目を設定しているケースが多く見られます。それに対して「ailead」では、Salesforce上の独自項目に対して「ailead」側で抽出したどのデータを紐付けるかを柔軟に設定できるようになっています。つまり、既存のシステムを変更することなく、データ入力の自動化もできます。
その結果、営業担当者は煩雑な入力作業から解放され、本来注力すべき顧客対応や提案活動に集中できるようになります。さらに、AIによる自動入力によって、企業が求める基準に沿った正確なデータを継続的に蓄積できる点も、大きな価値となっています。
こうした一連の仕組みは、単なるAI活用にとどまらず、対話データの取得から整理、入力、活用までを自動でつなぐ「AIオートメーション」として設計されています。aileadは、現場の判断や行動を支える業務プロセスそのものをAIで再構築することで、組織の生産性向上を実現してきました。
(後編に続く)
- GAN
Generative Adversarial Network(敵対的生成ネットワーク)
2014年にIan Goodfellow氏らによって提案された深層学習モデルの一種。 ↩︎



