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入社年次が同じ1981年ということで、初対面にもかかわらず一気に打ち解けたオムロン 竹林一、キャナルベンチャーズ 保科剛。デジタル領域で共通の知人も多く、終始笑顔の絶えないダイアローグとなりました。
オムロンで新規事業開発や事業再生にたずさわってきた竹林。最近もっとも力を注ぐのが、起承転結の「承」を育てる人材育成モデルの開発です。
「起承転結の人材」とは、下記のような人を指します。 起:0から1のアイデアを発想できる人 承:0から1のアイデアを具体的にビジネスデザインし10以上にする人。 みんなが納得できるストーリーを創る人 転:10を1000以上にする人。 詳細な事業戦略を策定する中でKPIを設定し、リスクを最小化、事業を拡大する人 結:10を1000以上にする中で、現場を守り、やり続けてくれる人。
竹林は「起承」を忍者、「転結」を武士に例えます。武士は失敗したら切腹が待っています。だからリスクをなるべくとらない。忍者はミッションが達成できなくても、必ず帰って 次の為に状況を伝えないといけない。トライ&エラーの世界。
「起承」はスタートアップ企業のメンバーに多く、「転結」は大企業に多い人材です。 「起承」は創業者タイプ、「転結」は番頭さんタイプと言ってもいいでしょう。
どちらかが良い悪いではなく、それぞれ役割があります。スタートアップは新たな発想でイノベーションを生み出し、大企業は拡大するための仕組みを持っています。保科も「お互いを否定してはいけない」と同意します。
いま、企業側に「承」の人材を増やすことが直近の課題だとする竹林。「起承」「転結」の壁を乗り越え、大企業とスタートアップ企業をつなぐ存在になるからです。ただし「承」が「転結」の中にどっぷりいると、短期的な成果を求められるために、積極的にリスクをとって活動することができません。大企業に所属していながらも、「出島」のような動きやすい環境を作ることも必要です。
スタートアップ側の「起承」は、作ったサービスがどのように使えるか、いかに体系化するかが苦手なケースが多い。ここは、大企業にいる「承」がフレームワークを描く支援をすればよい。「承」には、新たに生まれたものや既存の仕組みを再体系化したりデザイン化したりする力が必要です。デザインとはいえ、課題解決をベースにしたデザイン思考というより、大局観に立ったグランドデザインを描ける力が求められます。
さらに、周りを巻き込むストーリーテリングがあれば、大企業の「転」の力を使って拡大できるだろう、と竹林。むしろ大きな企業が入ることによってユニコーンの誕生、ひいては日本の未来の柱となる次の産業が生まれることにつながるのです。
(*敬称略)