横浜未来機構、キャナルベンチャーズ株式会社、ライフタイムベンチャーズ合同会社は、横浜市および神奈川県と共催で、2025年1月24日にスタートアップピッチイベント「YOXO FES Demoday in YOKOHAMA-KANAGAWA」を開催しました。
投資家と事業連携を目指す企業が集うピッチイベントで、日本屈指のベンチャーキャピタルと、その推薦を受けた成長ポテンシャルの高いDX・GX領域のスタートアップ10社が登壇しました。
地域特性を活かしたスタートアップの事業拡大とエコシステム発展へ
横浜市と神奈川県は、スタートアップが集積する東京に隣接する一方、全国各地が抱える社会課題や多様なアセットを豊富に有する地域としても注目を集めています。この地域で生まれるスタートアップとの共創やイノベーションは、全国の地域活性化や課題解決にも通じ、寄与できると期待されています。同イベントで新たな協業や投資の機会を創出し、地域活性化や課題解決に向けたイノベーションの促進を目指しているといいます。
また、横浜市と神奈川県は豊富な人材を有しており、地域特性を活かしたスタートアップの事業拡大と、スタートアップエコシステムの発展に力を入れています。これからも、県外から訪れるスタートアップやVC関係者に、横浜市と神奈川県、ならびに関連する企業のスタートアップエコシステムの理解と認知を広げていきたいとしています。
このような背景の中、横浜市と神奈川県にゆかりのあるVCに選ばれた10社のスタートアップによるピッチは賑わいを見せていました。まさに、スタートアップとVC、投資家、地元企業の出会いを創出する活気ある場になっていたといえます。今後もスタートアップのための継続的な開催により、横浜市と神奈川県のスタートアップとエコシステムがさらに発展していくことが見込まれます。
さまざまなプレーヤーが領域を超えて交流

横浜未来機構と横浜市が主催する「YOXO FESTIVAL 2025」は、イノベーション創出に向けたネットワークやコミュニティの形成、次世代を担うイノベーション人材の育成を促進する都市型のフェスです。
今回から新設された企業向けのBUSINESS DAYは、企業やスタートアップ、学校、行政など、さまざまなプレーヤーが領域を超えて交流できるイベントです。「YOXO FES Demoday in YOKOHAMA-KANAGAWA」は、BUSINESS DAYのピッチイベントとして、横浜市西区のTECH HUB YOKOHAMAで開催されました。
ピッチイベントに多彩な10社が登壇
【参加したスタートアップ】(各社代表者の方にピッチ頂きました。)
株式会社Marsdy 武藤大揮さん
株式会社ジーニアルテクノロジー 阿部川明優さん
noco株式会社 堀辺憲さん
株式会社LINEAイノベーション 野尻悠太さん
株式会社MiRESSO 中道勝さん
SUSHI TOP MARKETING株式会社 徳永大輔さん
Sotas株式会社 吉元裕樹さん
株式会社yue 大澤秀征さん
Contrea株式会社 川端一広さん
Qubitcore株式会社 綿貫竜太さん
ピッチイベントは、推薦したVCのコメントとスタートアップによるピッチ、質疑応答の流れで進められました。まずは前半に5社のピッチが行われました。

Marsdyの自動処理+マニュアル融合の法人向け数値管理・更新ソリューション「AutoDate」は、RPAやSaaSツールだけでは完結できない部分のマニュアル処理が可能なため、顧客が求める形でのアウトプットができます。

ジーニアルテクノロジーの監査ツール「ジーニアルAI」は、AIを駆使して書類整理や確認作業などを効率化し、現場の負担を減らすもので、海外展開を進め、世界市場でも十分に存在感を高めています。

Nocoのセルフサポートシステム「ヘルプドッグ」は、専門知識や複雑な設定を必要とせず、直感的な操作でFAQやガイド、トラブルシューティングを集約したヘルプセンターを簡単に構築することができます。

LINEAイノベーションは、放射性物質を燃料とせず、中性子が発生しないFRCミラーハイブリッド核融合炉を開発中で、2030年には発電の実証を見込んでいます。

MiRESSOの低温精製技術によって、核融合発電に必要な中性子増倍材であるベリリウムを安定的に低価格で供給することが可能で、将来的に核融合発電の社会実装と普及に大きく貢献できるだけでなく、一般産業向けにも供給していきます。
社会課題を解決するレベルの高い発表の数々
続けて、後半5社によるピッチが行われました。

NFTマーケティングのグローバルパイオニアSUSHI TOP MARKETINGは、独自技術によりアカウントレスでNFTを配布でき、LINE公式でのNFT配布も好評。今後の展開として、匿名のブロックチェーンウォレットのデータによるトークングラフマーケティングを提唱しました。

Sotasは化学業界で「素材のEコマース」を目指し、同社が提供しているデータベースや化学調査、工程管理のSaaSサービスを紹介しました。

yueは、銭湯が抱える後継者不足や施設老朽化、非効率経営などの問題点を挙げ、サウナのプロデュース業で成功してきた経験から、温浴施設の事業継承とロールアップを行い、FC展開を行うビジネスモデルを紹介しました。

Contreaの医患連携システム「MediOS」は、医師が患者に説明する際にアニメーションを導入したり、問診票や同意書を電子取得したりすることが可能です。患者を巻き込むDXで大規模病院はもちろん、中核病院、規模を問わず、クリニックなどにも多数導入されています。

Qubitcoreは「量子光接続イオントラップQPUで分散量子コンピューティングの未来を開く」と題して、誤り耐性を備えた量子コンピュータFTQCの実現に欠かせない物理量子ビットの高忠実度化とスケーラビリティに貢献する同社の技術を紹介しました。
取組みに共感した多数のスポンサーが参加
Demodayスポンサーには、三菱地所株式会社、EY新日本有限責任監査法人、株式会社ストライク、株式会社横浜銀行、横浜キャピタル株式会社、ESネクスト有限責任監査法人、一般財団法人SFCフォーラムが名を連ね、アワードスポンサーとして株式会社グランストーリーが参加しました。
今回、スポンサー賞に選ばれた企業は、株式会社グランストーリーが提供している新産業創造プラットフォーム「STORIUM」を通じて支援の機会を受けられることになっています。
結果発表で登壇したグランストーリー代表取締役CEOの越智敬之さんは、「起業家の皆さんは社会課題を解決する社会にとってのリーダーであり、そういったリーダーを全力で応援していきたい」と述べ、10社すべての企業がスポンサー賞として支援を受けられることになったと発表しました。この意向に会場からは大きな拍手が送られました。

横浜ならではの懇親会で生まれたつながり
ピッチイベント後には、スポンサー企業の協力のもと、横浜・神奈川ならではの飲食を提供した懇親会が開催されました。横浜ビールをはじめとする地元の名産品が振る舞われ、参加者はビジネスの枠を超えて地域の魅力を堪能しました。こうした場がきっかけとなり、登壇企業同士のつながりが生まれたり、事業会社との新たなコラボレーションの可能性が広がるなど、交流がより一層深まる機会となりました。
また、クローズドなオフラインイベントならではのリラックスした雰囲気の中、スタートアップと投資家、地元企業、支援機関が直接対話し、活発な議論が交わされました。ピッチの内容を深掘りし、具体的な協業の可能性について話し合う場面も多く見られ、単なる名刺交換にとどまらない、実りある関係構築の場となりました。このようなリアルな交流こそが、新たなビジネスの創出につながる原動力となり、今後のエコシステムの発展に寄与していくことが期待されます。
