AI技術の進化が加速する中、創業から4年を迎えたTieSetは、AIの社会実装を推進し続けています。創業当初はAIに対する市場の理解が十分ではなく、主にコンサルティングや開発業務から事業を始めました。そこからプラットフォーム開発へとシフトし、現在は医療や自動運転など、具体的なユースケースに応じたソリューション提供に注力しています。

市場の未成熟からSaaS型プラットフォームへ

2020年の創業当初、TieSetが直面した課題の一つは、AIという概念自体が市場で十分に認知されていなかったことでした。「AIって何ですか?」と聞かれることが多く、コンサルティング業務を中心に事業を進めざるを得ない状況が続きました。プロダクトも未完成で、方向性を模索する段階でした。

その後、アルゴリズム開発や実証実験を重ね、技術の有用性を実証するフェーズへと進みました。しかし、この時点ではまだ、プロジェクトごとに個別対応をする必要があり、スケールしづらいビジネスモデルでした。

「このままでは成長が頭打ちになると感じ、SaaS型のプラットフォームへシフトしました。この決断が、現在のTieSetの事業基盤を築く重要な転機となりました」と振り返ります。この方向転換により、顧客ごとにゼロから開発するのではなく、共通のプラットフォーム上で汎用的なAIソリューションを提供できるようになり、事業の拡大が加速しました。

日本市場の特徴とユースケース

日本市場には、グローバル市場とは異なる特有のハードルがあります。特に、オンプレミス環境の根強い利用と高いデータセキュリティー意識が影響し、クラウドベースのAI活用が進みにくい状況があります。しかし、この特性を踏まえた適切なソリューション提供によって、市場への適応と成長の可能性が広がります。

例えば、医療分野では極めて高い精度が求められます。80%の精度では不十分とされ、99%以上の精度が要求されるケースも少なくありません。医師法の観点から、医療行為は医師のみに許されているため、AIは精度の高さと共に医師の意思決定を支援できるかどうかが重要になります。

また、自動運転の分野では、単なる制御技術だけでなく、人間とのインタラクションが求められます。ドライバーのストレスレベルを考慮した設計が注目されており、車両制御の正確性だけでなく、乗員の快適性やストレス管理も重要視されています。AIはこうした「人間らしさ」を取り入れた最適化にも活用されつつあります。

上記のようなユースケースでは、データが各所に散在しており、集約が困難である一方で、高精度なAIモデルが求められます。こうした環境において、連合学習を活用するSTADLEは、データを一箇所に集約することなく学習を行い、高い精度を維持しながら日本市場のニーズに適応できるソリューションを提供します。

AIの社会実装に向けた取り組みと課題

TieSetは、各ユースケースの特性を分析し、パートナー企業と協力しながら解決策を提供することで、AIの社会実装を加速させています。高度な技術も、現場で活用されなければ意味がありません。実際に使う人が価値を実感できることを重視しています。また、AIの開発から運用までのプロセスに関する啓蒙活動にも力を入れています。

AIの社会実装を進めるうえで、意思決定の透明性と説明性が求められています。「ブラックボックスAI」ではなく、判断理由を明確に示せる仕組みが必要です。また、「MLOps(Machine Learning Operations)」の概念が急速に普及する中、AIを本番環境で運用していくには、継続的な学習による精度向上に加え、モデルの監視、プライバシー管理が不可欠であり、「ModelOps(Model Operations)」の導入が鍵となります。つまり、AIの倫理とガバナンスを確立し、倫理基準に沿った運用が求められます。今後さらにAIが普及するには、テクノロジーの向上だけでなく、各社の倫理基準や運用方針に適したModelOpsの構築も不可欠です。

AIの未来とTieSetの展望「インテリジェンスの時代」へ

Nakayamaさんは、単に大量のデータを収集するだけのビッグデータの時代から、データから価値を生み出すインテリジェンスの時代になっていると考えます。つまり、データから得られる洞察やモデルにこそ価値があります。

画像: AIの未来とTieSetの展望「インテリジェンスの時代」へ

エッジでのデータ処理能力が飛躍的に向上しているため、クラウド環境にデータを集約せず、エッジでAIがデータ処理するトレンドも生まれています。今後想定されるロボティクスの普及もエッジでのデータ処理を加速すると考えられています。

「長期的には、AIが人々の生活に本質的な価値を提供し、社会を変革する未来を目指したい」とNakayamaさんは展望を語ります。その未来の実現に向け、TieSetは積極的な挑戦を続けています。

This article is a sponsored article by
''.