Carstay株式会社はキャンピングカーのレンタル・カーシェアと車中泊スポットのスペースシェアリングサービス、車両製造など、国内最大級の「バンライフ」事業を展開するスタートアップです。代表取締役CEOの宮下晃樹さんに起業の経緯と、サービスの特長について伺いました。

起業家たちの泥臭く夢を追いかける姿に魅了される

宮下さんは学生時代に公認会計士の資格を取得し、大学卒業後は会計事務所に勤務しました。そこでスタートアップ企業の支援を行う中で、奮闘する起業家たちの姿に刺激を受けたといいます。

「泥臭く夢を追いかけて、IPOに向かって進んでいく姿は、まさに大人の青春のように見えました。人生が一度きりなら、そういう働き方をしてみたいと感じたのが、起業のきっかけです」

会計事務所で3年間働いた後、24歳でフリーランスの会計士として独立し、起業のアイデアを模索し始めました。

「地方の魅力を世界に伝えていきたい」

宮下さんは社会人になってから週末に訪日外国人のガイド活動を始めました。登録ガイドが増え、活動が組織化される中で企業とのコラボレーションが増加し、2016年にNPO法人を立ち上げました。2018年までの4年間で、1200人もの旅行者をガイドしたそうです。

当初、旅行者の関心は浅草や新宿といった都内の人気スポットに集中していました。しかし、地方のお祭りに行きたい、お勧めの温泉地を案内してほしいなど、多様な要望が増え始めたのです。地方への移動手段として車が必要になる一方、現地で泊まれる施設が不足しているという課題に直面しました。

宮下さんは地方での移動や宿泊の課題を解決し、「地方の魅力をもっと世界に伝えていきたい」という思いを抱き、この時、起業のテーマを定めたといいます。

キャンピングカーが地方と世界をつなぐ架け橋に

日本は自動車大国であり、地方には豊かな自然や伝統文化が多く残っています。宮下さんは、移動だけでなく滞在や車内泊も可能なキャンピングカーを活用すれば、地方と世界をつなぐ架け橋になると考えました。

2018年6月にCarstay株式会社を創業し、キャンピングカーのレンタルや、キャンピングカーで宿泊できる場所を予約可能なプラットフォームを提供することを目指しました。当時もキャンピングカーをレンタルする企業はありましたが、予約が電話などアナログな手法に依存しているケースが多かったといいます。そこで宮下さんは、アプリやウェブで簡単に予約できるシステムを構築することで、利用者層を広げられるとビジネスチャンスを見いだしました。

しかし、会計士としてのキャリアを持つ宮下さんにとって、アプリ開発は未知の分野でした。そんな中、NPO時代の知人の紹介で優秀なベトナム人エンジニアを採用できたことが大きな転機となりました。海外からの旅行者をターゲットに、日本語と英語の両方に対応したアプリを開発していきました。

2019年1月には、全国の駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットとして貸し出すシェアリングサービスを開始し、2020年6月にはキャンピングカーのシェアリングサービスを立ち上げました。しかし、2020年4月、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令され、困難な状況に直面します。

コロナ禍で脚光を浴びたキャンピングカー

緊急事態宣言下では、個人利用の売り上げが見込めませんでしたが、医療機関にキャンピングカーを貸し出すという新たな需要が生まれました。この取り組みがメディアに取り上げられ、問い合わせが増えるきっかけとなりました。また、「密」を避ける生活様式に適したキャンピングカーの利便性も注目されるようになったのです。「キャンピングカーが移動手段であり車内泊もできることを、多くの人に知ってもらえるきっかけになりました」と宮下さんは当時を振り返ります。

その後、コロナ禍を乗り越え、キャンピングカーのシェアアプリ「Carstay」は順調に売り上げを伸ばしていきました。「所有を軽視したシェアリングサービスは成功しません。キャンピングカーを通じて、オーナーと利用者双方の体験を良いものにすることが本質だと思っています。職人が魂を込めて作ったキャンピングカーを理解するためには、私たち自身も ものづくり に関わらなければならないのです」と宮下さんは語ります。

こうしてCarstayは、キャンピングカーのDIYができる作業場と工場を整備するという、2つ目の事業を立ち上げました。

(後編へ続く)

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