約238カ国に200万人以上のユーザーを誇る人気英会話アプリ「fondi(フォンディ)」。最近では、大学や企業との連携も活発に行っています。代表取締役CEOの野原樹斗さんに、fondiの成長の背景と今後の展望について伺いました。
経済成長が著しい国の若者から支持を得る
fondiのサービスの対象は、英語のネイティブスピーカーではなく、英語を学習中の人たちです。英語の基本的な文法を理解し、英語で言いたいことをゆっくり間違いながらでも伝えられる程度のスキルを持つ学習者です。いわば、スピーキングの実践を積み、自信をつけるための場として提供されています。
国別の利用者を見てみると、日本の割合は2%以下ですが、インドネシアが25%を占め、インド、バングラデシュ、パキスタンがそれぞれ10%、モロッコ、アルジェリア、エチオピアが5~7%ずつです。各国では現地のスタッフと業務委託契約を結び、共同で事業を展開しています。
利用者が多い国の共通項としては、経済成長が著しく、外資系企業が増えていることが挙げられます。そのような環境では、英語でのコミュニケーション能力が高いと仕事のチャンスが広がります。自分のキャリアプランを見据えて、英語を話せるようになりたいと考える若者から支持を得ています。年齢層のボリュームゾーンは18歳~30歳で、大学生からファーストキャリア、セカンドキャリアを歩み始めた若者です。男女比はほぼ半々で推移しています。
スピーキング練習ができる場所を低コストで提供
英語の無料学習ツールは数多くありますが、実際のところ、それだけではなかなか話せるようにはなりません。英語を話す能力を身に付けるには、会話の実践が必要です。しかしながら、オンライン英会話などは高額なレッスン料がかかります。
英語を学ぶ意欲は高いものの、実践の機会が少ない人たちに向けて、fondiは学んだ英語を実際のコミュニケーションで練習できる場を、低コストで提供しています。料金は国ごとに異なりますが、日本では月額1950円です。また、無料アカウントでも、15分ごとに広告を視聴することで、無制限に利用できます。
オンライン英会話サービスの多くは予約が必要で、利用時間も限られています。その点、fondiはアプリを立ち上げればいつでも誰かと出会うことができて、気の合う仲間との会話を無制限に楽しめます。また、アバターを使用するため、顔が出る抵抗感もなく、家で普段着のままリラックスして利用できるのも人気の理由の一つです。
英語が伝わったという成功体験を多くの人へ
fondiのおかげで、英会話の実践練習のハードルが下がり、「英語が通じた」という成功体験が自信につながったという声を多く聞きます。自信がつくことで、さらに積極的に会話を楽しむようになり、仲の良い友人もでき、学習効果が高まります。なかには、fondiを通じて出会い、国際結婚に至ったカップルもいます。
さらに、fondiは、大学や企業向けにカスタマイズした独自サービスの提供も可能です。例えば、業界や事業者ごとのニーズに合わせたAIとのロールプレイングを通じて、英会話の実践練習を行えます。英会話スクールでも、実践の場として導入のニーズがあります。現在までに2校の大学と6つの企業・組織が提携しています。今後も2社との新規事業案件が進行中です。
将来的には、英語を使ってさまざまなことを学べるバーチャル大学のような場に発展させることを目指しています。世界中どこにいてもfondi内のコミュニティとつながり、人と出会い、学び合う場として楽しんでもらえるサービスにしていきます。
人と出会い、学び合える場として発展させていく
初心者でも安心して楽しめるよう、さまざまな工夫がされています。例えば、他の利用者の英語学習をサポートするファシリテーター制度を導入し、積極的に会話を盛り上げるユーザーが増えています。ファシリテーターたちは、定期的にディスカッションイベントを開催し、学習の場を活性化させています。
今後は、ファシリテーターを英会話学習のパートナーとして認定し、希望者とのマッチングを通じて、彼らがfondi内で収益を得られる機会を提供することを目指しています。また、利用者のfondiへの貢献度をキャリアの一部として活用できるようにし、社会活動や受賞歴のように履歴書に書ける仕組みも検討しています。
企業のミッションとして、「“らしさ”を揺るがす」という理念を掲げています。誰もが自国の文化や習慣に縛られることなく、自分らしい人生を選択できる世界を創りたいという思いです。他国の人たちとの交流を通じて、異なる価値観を手軽に体験できるツールがfondiであり、英語学習にとどまらず、さまざまな学びの場としての成長を続けていく可能性を秘めています。