英会話学習に特化したメタバースを開発・提供する株式会社fondi(フォンディ)は、2020年5月に英会話アプリ「fondi」のサービスを開始しました。その後、利用者を順調に増やし、現在では約238カ国に200万人以上のユーザーがいます。代表取締役CEOの野原樹斗さんに、起業までの経緯と「fondi」のコンセプトについて伺いました。

「自分は人生をかけて何をやりたいのか」を問い続けて起業へ

野原さんが起業に興味を持ったきっかけは、10代半ばに、起業家が主人公のテレビドラマを見たことや、行きつけの美容室のオーナーから事業拡大について教わったことなどでした。そして次第に、スタートアップや経営者への憧れが芽生えました。

さらに、2015年3月に開催されたスタートアップイベント「スラッシュアジア」に学生ボランティアとして参加し、若い経営者たちと出会ったことも大きな刺激となりました。

その後、野原さんはイギリスの大学に留学し、経営管理学を専攻します。留学先では、ビジネスに対して強い目的意識を持って学んでいる人たちに囲まれ、野原さんも「自分は人生をかけて何をやりたいのか」を自問するようになりました。1年生を終えた夏休みに一時帰国し、新規事業立ち上げのインターンを経験したことで、自分のプロダクトを世の中に出していきたいという思いがさらに強まっていきました。

在学中に留学支援の事業を立ち上げる

大学在学中の2017年、野原さんが初めて立ち上げた事業は、留学経験者と留学希望者をつなぐサービスでした。自分自身が留学先を選ぶ際に、留学エージェントの情報だけではなく、実際に経験者から直接話を聞きたかったという実体験が、このアイデアの出発点でした。具体的には、留学を希望する人が、留学経験者とチャットで相談できるサービスです。

この事業の根底には、「もっと多くの人に留学してほしい」という思いがありました。野原さん自身、留学経験が大きな人生の糧になっているからです。しかし、このサービスは既に留学を決めている人には便利だったものの、まだ留学を漠然と考えている人の背中を押すには十分ではありませんでした。

そこで、2019年に事業転換することを決めました。今度は、簡単な質問に答えるだけで最適な留学プランが提案され、そのプランを実現するために留学エージェントの紹介や、経験者への相談ができるサービスを開始しました。このサービスにより、留学を決める人が次第に増えてきましたが、全体としては従来の留学エージェントを利用して意思決定をする人の割合とさほど変わらないという結果でした。

留学までの意思決定の背景には、家族の意見や留学費用の問題などもあり、情報の伝え方を変えても留学希望者の意思決定は大きく変わらないことがわかりました。確かに、前回よりも手応えはありましたが、留学業界を根本から変えるには至りませんでした。期間を1年間と決めて試行錯誤しましたが、結果は大きく変わらなかったのです。

バーチャル留学をヒントに「fondi」をリリース

これまでの経験を通じて、野原さんはプロダクト開発の面白さと価値創造に魅力を感じていました。留学以外の事業も検討する中で、「実際の留学が難しいなら、バーチャルでの留学ができれば面白いのではないか」というアイデアが浮かびます。これは、英会話は実際に話す機会がなければ使えるようにならないという自身の経験に基づいていました。

2019年9月ごろに事業の方向性が固まり、2020年5月に「fondi」を正式リリースしました。リリース当初は、メタバース内に1つの空間しかなく、同時に利用できるのも12~13人ほどでした。しかし、fondiに常時接続して楽しんでくれるファンがいたことで、利用者の熱意を感じ、開発にさらに力が入りました。

fondiのメタバースには、世界中の人がリアルタイムで行き来しています。ユーザーは200万人を超え、メタバース内には複数のエリアが用意され、会話が弾む仕掛けが施されています。実際の会話にはユーザーのリアルな声を使用し、最大4人のグループで英会話を楽しむことができます。これは、先生に教わるのではなく、街中で実践しながらスピーキングのスキルを磨いていくイメージです。

(後編へ続く)

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