キャナルベンチャーズ代表取締役の松岡亮介が、5月27日から6月2日まで米国西海岸へ出張しました。キャナルベンチャーズの投資先やリレーションのある米国VCやスタートアップ、アクセラレーターのネットワークとの交流を通じて、現地で見える最新ビジネストレンドについて意見交換を行い、今後の投資活動におけるインプットを得ることが主な目的です。

BIPROGYにおいては、オリエンタルランドにおけるCVC活動を管掌する麻畠執行役員と、オリエンタルランド・イノベーションズ豊福社長の米国西海岸訪問の支援の位置づけで、BIPROGY齊藤社長の随行としてキャナルベンチャーズが同行しました。そこで今回、米国スタートアップ最前線についての松岡のレポートをお届けします。

スタートアップ最前線視察

日本ではどのように自社内でChatGPTを使うか、その効果としての中心にコスト削減や労働力不足対応を議論する、という話が多いが、米国ではさらに一歩進んでおり、自社の既存事業の取り組みの外側に生成AIを配置して、いかに企業価値を高めるかという議論が広がってきており、そのアプローチを目の当たりにしました。

生成AIを活用したマーケットリサーチのプラットフォームを提供しているBrox.aiでは、一般に集めたパネルと顧客向けに集めたパネルのインタビューデータと社内のデータを組み合わせてLLMを作り、顧客ブランドに関する属性ごとのインサイトを出すなど、顧客が質問した内容についてChatGPTのようにインタラクティブ形式で類推して回答を行うことができます。外部にインテリジェンスを持たせる生成AIの使い方は価値創出に直結し、大きな資金を獲得するスタートアップがこれから現れる予感がします。

VCとのコミュニケーション

キャナルベンチャーズのLP投資先でもあるTranslink Capitalは2007年にシリコンバレーで設立され、二人組合も含めて11ファンド・計10億ドルを運用中です。北米、アジアの広域にわたり、事業開発支援を行っています。われわれと同様に幅広い領域に投資するスタンスを持ち、周囲からVCとしてどのように見られるか、スタートアップ側からの期待も含めて、10の領域に投資することを宣言しています。その10領域については、四半期に一度ブラッシュアップし、スタートアップからの投資評価やLP出資企業に対する価値提供の姿勢を示し、注力領域を宣言する活動をしています。自分たちの意志や姿勢をきちんと宣言した活動が、投資活動においては大事だということを教えてもらいました。

サステナビリティ関連では、Vertical・Horizontalに分けてマッピングし、26件以上の投資実績があります。その中から見えることとして、コスト削減よりもトップラインを上げることの重要性が特にアメリカでは強調されている背景と、事業会社のPLの各項目(売上、費用、研究開発、セールス&マーケティングなど)に対して、生成AIの各サービスが深く入り込み始めていることを示しました。

現地駐在企業訪問について

朝日新聞のCVCとして2017年に設立された朝日メディアラボベンチャーズは、日米でシード・アーリー投資を行う2つのファンドを運用しています。グループ内外からの外部LPを多く取り、また個人をGPとしてコミットする形で運用していることが特長です。

米国三井物産は1986年から米国のビジネスモデル・技術を日本に持って行くことをミッションに活動を開始し、Mitsui Global Investment(MGI)は2001年から、CVC投資をしています。2023年には、MGIとMorado Venturesとの共同GPでE12 Venture Capitalを設立し、コーポレートとしての知見蓄積も進められています。

Plug and Play HQは2006年にシリコンバレーで創業された、世界最大級のスタートアップアクセラレーター兼VCです。PayPalやDropboxなど、世界規模の企業に多数の投資を実施し、「世界で最も活発な投資家」として認識されています。コーポレートパートナー550社のうち日系企業は70社で、2022年に10社、2023年11社、2024年上半期に5社が新たに参画しています。日本は、スタートアップの数に対して支援者の数が多すぎるといわれることもありますが、CVCでEXITまでコミットできる形が作れないかとPlug and Playの活動からの洞察が考えられます。

画像: 現地駐在企業訪問について

振り返って

コロナ禍もあり、今回約7年ぶりの渡米となりましたが、テクノロジーやトレンドの変化のみならず、物価上昇などの市況変化も目の当たりにし、現地に足を運び定点観測を続けることの重要性を改めて感じました。

Incubate Fund USの野津さんから、Teslaの自動運転(限定的に公開されている下道での自動運転→走行時動画/駐車時動画)を体験させていただいたほか、シリコンバレーの社交ツールとしてブームとなっているピックルボールも体験させていただき、ビジネス内容や技術トレンドだけではない、シリコンバレーという場や文化を感じ取ることができました。

スタートアップ出資の目的は各社異なりますが、現地で精力的に活動するVCや起業家の方のお話を伺う中で、現地に根差し、スタートアップと膝を突き合わせて相対し、そして投資家個人のブランドで勝負する姿勢は、このシリコンバレーでは過去も現在も、そしてこれからも共通しているように感じました。

今回、オリエンタルランド、オリエンタルランド・イノベーションズの方々、そしてBIPROGYと1週間の行程を通じて、国内随一のエンターテインメント施設で取り組まれている事業に対するさまざまな考え方に触れることができました。今後も、他社とのエコシステムの梃子にCVC活動やオープンイノベーション活動を進めてまいります。

画像1: アメリカスタートアップ最前線視察〜米国西海岸出張報告
画像2: アメリカスタートアップ最前線視察〜米国西海岸出張報告
画像3: アメリカスタートアップ最前線視察〜米国西海岸出張報告
画像4: アメリカスタートアップ最前線視察〜米国西海岸出張報告

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