リース株式会社は、不動産×金融を切り口に、信用経済社会における与信プラットフォームを目指すCredit Techのスタートアップです。代表取締役の中道康徳さんに、お部屋探しアプリ「smeta」から、家賃債務保証会社向けSaaS型家賃保証支援システム「家賃保証クラウド」に発展した事業内容ついて伺いました。

集客から与信付与、債務保証までワンストップで提供

2019年4月に立ち上げたサービス「smeta(スメタ)」は、フリーランスなど社会的信用の証明が難しい人々に向けて、事前与信(借りられる家賃の上限)を付与し、入居審査を支援するアプリです。従来の入居審査では、勤務先や勤続年数、年収などの証明が必要で、それがないと家賃債務保証会社による審査が行われず、不動産会社から断られることがありました。しかし、家賃債務保証会社および不動産管理会社との連携により、信用に応じた借りられる賃料の証明を取得することができるようになりました。

さらに、2019年10月からは家賃債務保証サービス「smeta保証」を開始し、「smeta」の事前与信を付与された利用者に対して、自社による家賃債務の保証を提供しています。2020年12月には、「smeta」正式版をリリースし、賃貸物件情報の閲覧機能の実装(提携不動産会社の空室情報を掲載)により、「確実に借りられる賃貸物件」を検索できるようになりました。

これにより、アプリからユーザーを集客し、独自の入居審査による事前与信発行から、不動産仲介・賃貸住宅への入居審査・家賃債務保証までがワンセットになった日本初のサービスとなりました。

家賃保証業界向けSaaSの開発・運営にシフト

家賃債務保証会社は、入居審査から滞納時の立て替え、督促までを行っています。家族関係の希薄化や独居の増加などにより、連帯保証人に代わり、保証会社の利用が年々増加し、2021年には80%に達しています。

リースでは、創業から自社で家賃債務保証事業を展開し、フリーランスや個人事業主の情報を蓄積しながらシステムに反映させてきました。2021年に入り、独自の特徴量を基にした機械学習ベースの審査エンジンを搭載した家賃保証業務支援SaaSの開発に着手しました。

家賃保証業務を支援するクラウドを構築し、「smeta」および「smeta保証」で蓄積したデータを取り込んで、家賃債務保証会社が活用できるようにしました。これにより、「smeta」で提供されているサービスを拡大し、日本全体で「借りられない」問題を解決することができます。そこで、家賃債務保証会社向けにDX推進を可能にする業務支援SaaS「smetaクラウド」と、入居審査のためのAI業務支援ツール「smeta入居審査AI」の提供を、2021年10月より開始しました。

「smetaクラウド」によって、審査・契約・滞納督促業務のペーパーレス化や効率化に加え、代理店・顧客・契約情報の一元管理をすべてクラウド上で行うことができます。「smeta入居審査AI」は、機械学習による自動化に加え、データに基づいて滞納確率を予測する独自アルゴリズムにより「個人の信用」を評価し、信用スコアを算出します。

画像: 家賃保証業界向けSaaSの開発・運営にシフト

「家賃保証クラウド」に統合し、ターゲットを明確化

2023年8月からは、「smetaクラウド」と「smeta入居審査AI」を統合し、「家賃保証クラウド」という新しいサービス名で提供しています。この名称変更は、家賃債務保証事業者向けに特化した、業務効率化と生産性向上を支えるクラウドサービスであることを明確に訴求するためです。

家賃債務保証会社の業務は、FAXをはじめとする紙ベースの手続きや手作業の入力など、雑務が多く、審査や督促にも時間と労力を要します。「家賃保証クラウド」なら、電子申込ツールや代理店ポータル機能を活用することでFAXや紙の申込書からの転記が不要になります。また1件あたり平均40分間かかった審査時間も、独自の滞納予測スコアリングAIとリスクチェックによりわずか数秒で行うことができます。

リースはお部屋探しアプリ「smeta」から始まりましたが、現在は「家賃保証クラウド」のシステム開発と提供が主要な事業となっています。リリースから約2年半で、業界全体の1割に当たる30社以上に導入されています。

今後は、BIPROGY株式会社が提供する分散型データ流通基盤「Dot to Dot」を使って、日本信用情報機構(JICC)に今まで登録されていない個人情報を登録したいと中道さんはいいます。また、「家賃保証クラウド」を通じて、家賃収納代行を行うこともテスト段階にあります。

将来展望としては、日本で培った与信を世界に通用するようにしていきたいと考えています。ボーダレスに与信データを受け渡すことができれば、日本で蓄積した信用実績に基づき海外での口座開設なども可能になります。国内におけるフリーランスの「借りられない」問題を解決することが第一歩ですが、将来はリースのサービスを海外に展開し、個人の海外へのチャレンジを支援することを目指しています。

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