情報発信の主役が個人に移った時代において、情報はますます分散し、企業と個人のコミュニケーションがより複雑化しています。この中でTieUps株式会社は、「伝えたい人に伝わる社会」を目指し、ブランディングプロフィールツール「lit.link」や体験型ファン育成プラットフォーム「WeClip」の開発・運営をしています。代表取締役社長・CEO/CDOの小原史啓さんに、次世代の「深くて狭いコミュニケーション」について伺いました。

マーケティングの「打ち上げ花火」ではなく「漢方薬」を

小原さんは美大を卒業し、グラフィックデザイナーとして広告代理店に就職しました。紙のチラシなどを制作していましたが、より大きなデザインの仕事をやりたいと、デザイン会社への転職を目指します。ところが転職活動中に入った大手デジタル製品小売のノジマで、大きな発見をしたといいます。

「学校では教えてくれませんでしたが、デザインとは情報整理とコミュニケーションであるということに気づかされました。情報をわかりやすく整理し、お客様とのコミュニケーションを円滑に行うことで、売り上げは上がるのだということを実感しました」と小原さんは振り返ります。

ノジマでは9年間にわたり、店頭販売や店舗マネージャー、さらにはアプリ開発やPOSデータを駆使して販売促進の実績を築いてきた小原さんでしたが、従来の販促方法には限界を感じ始めました。入社当初はチラシの配布で週に数千万円かけても集客効果がありましたが、数年でその効果は数十パーセントにまで落ち込みました。小原さんは「チラシなどの販売促進は打ち上げ花火のようなもので、根本的な改善策として、体を治す漢方薬のような施策を取らなければ、マーケティングは成功しないのではないか」と考えるようになりました。

小原さんは2013年に市場調査大手のマクロミルに入社しました。そのことで川上の市場調査から川下の販売促進までを経験しました。顧客、広告代理店、そして消費者がコミュニケーションに問題を抱えていると考え、その後はベンチャー企業に転職し、3カ月に1本のペースで事業企画書を100本以上書いていました。そして、コロナ禍の2020年4月にTieUps株式会社を創業しました。

みんなコミュニケーションでつまずいている

現代はコミュニケーションの主役が個人に移っている時代です。かつては国家が、20世紀になってからは企業がコミュニケーションの主役を担ってきましたが、現在では個人による1億人以上の情報発信が主体的に行われています。

「分散化された情報社会の中で、企業も、広告代理店も、個人も、コミュニケーションでつまずいているという課題を突き付けられました」と小原さんは振り返ります。

画像: みんなコミュニケーションでつまずいている

そこで、コミュニケーションを進化させ、価値ある結びつきを作るためのコミュニケーションプラットフォームを提供することを思いつきました。国家や企業は自身のプロフィールをホームページで公開できるのに対し、個人はそのような手段を持たない場合が多いです。このため、個人のプロフィールをスマートフォンで簡単に作成できるプロフィール作成ツールを立ち上げることを小原さんは考えました。

スマートフォンで手軽に作成するブランディングプロフィールツール「lit.link」

2021年1月に個人向けブランディングプロフィールツール「lit.link」を正式リリースし、ユーザー数を順調に伸ばしています。2023年10月現在で200万人のユーザーを獲得しており、そのうち約70%がZ世代を中心とした35歳以下です。欧米の類似サービスと異なり、PCではなくスマートフォンで制作が完結できることや、日本で圧倒的なシェアを持つLINEアカウントを利用してログインし、ページを制作できる手軽さが好評の理由であると小原さんは分析しています。

既存のクリエイター向けプラットフォームやブログよりもハードルが低く、奇をてらっていないシンプルな設計が受け、現在は個人事業主から文化祭の主催者まで幅広いユーザーが利用しています。

アメリカの未来学者であるアルビン・トフラーが1980年に『第三の波』で提唱したプロシューマーという概念があります。これは、消費者の視点を持ちながら自らが生産者でもある人たちを指します。まさにlit.linkはプロシューマーが集い、表現するブランディングプロフィールツールです。さらに、プロシューマー同士が共感し合い、ファン同士のコミュニティを形成するツールがTieUpsのもう一つのプロダクトである「WeClip」です。

(後編へ続く)

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