2021年11月17日、セミナー「業務改善の成功方程式とは?」(主催:豊中商工会議所、共催:株式会社池田泉州銀行、キャナルベンチャーズ株式会社、協力:日本ユニシス株式会社、後援:豊中市)が行われました。

ITツールを駆使して中小企業の業務効率化、資金調達をサポートするベンチャー企業2社による講演、豊中商工会議所による取組事例と公的支援施策紹介に続き、トークセッションが行われました。

はじめに、株式会社池田泉州銀行 地域共創イノベーション部 副部長 真鍋充宏さんより、「急速にさまざまなことが変化している昨今、横のつながりが希薄な中小企業においては、情報が偏ってしまう傾向があります。世代交代も進んでおり、近隣の中小企業がどんな業務を行っているのかわからなくなっているとも聞きます。業務改善についてもさまざまなツールがありますが、それらはあくまでもツールであって、使うのは人です。人と話すことでアイデアも出てきます。オンラインではなく、参加者が会場に集まっての開催が実現し、双方向での話し合いができるので、ぜひ有意義な会にしていただきたい」と会についての趣旨説明がありました。

画像1: IT化=脱属人化で業務効率化を図り、企業の成長につなげる~セミナー「業務改善の成功方程式とは?」開催報告(1)

人手不足解消・人材育成に向けた業務効率化
株式会社キャップドゥ
代表取締役 森田晃輝さん

森田さんは外資系のITコンサルティング会社で、国内の中小企業向けに業務改善や、業務の見える化、経営改革の提案業務を行っていました。しかし、モノを売って終わりということが多く、もっと中小企業の成長に寄り添える仕事がしたいと考え、2016年にキャップドゥを設立しました。

同社は、クラウドツールを用いた業務改善コンサルティング事業を展開し、4年で500社以上のコンサルティング実績があります。本社を熊本におき、お客様に寄り添い、「共に歩む」を企業理念とし、飲食事業、宿泊事業などを行っています。

IT化=脱属人化で業務の効率化を図る

人手不足は今後ますます加速していきます。20年後には、15歳から64歳の働く世代が2000万人減ると予測されています。大企業が「生産性を上げよう、業務効率化を進めよう」と言っているのは、人口減少という変えようのない事実があるため、今から危機感を持とうということです。

IT化とは、脱属人化するということです。「属人化」とは、特定の社員が担当している業務の詳細な内容や進め方が、当人以外ではわからなくなってしまう状態です。人を減らして人件費を削減するのではなく、IT化=脱属人化を進めて、現在の人員で効率化を図ることが重要です。

ちなみに、キャップドゥには営業マンは一人もいませんが、年商約5億円を上げています。採用活動や人事労務、給与など、バックオフィス業務も専任担当者は一人もいません。キャップドゥの規模であれば、営業マンは3人から5人、バックオフィスは専任担当者が2人以上必要と言われている業界です。これは脱属人化によって可能になっています。

中小企業こそ、通信インフラとITツールの活用を

これからは、5Gの時代です。高速道路や飛行機、新幹線で移動するように、通信でもそういう時代になったということです。誰もが使える目に見えない高速道路がたくさん出来上がっていますが、そのインフラを活用できているでしょうか?実際は使っていない会社がほとんどで、いまだに歩いて東京に行こうとしています。会社の中にしっかり通信インフラを埋め込んでいくことが、これからの業務効率化には必要です。

しかし、ITツールを使えば業務効率化が進むという話ではありません。業務効率化、業務改善を実現するための手段として、ITツールを使える時代になったということです。ツールは何でもいいですが、安くて使い勝手がいいものを選択することが重要です。

脱属人化することによって業務が見えてきます。さらに通信インフラを埋め込むことにより、優秀な人材を全国から獲得できます。もちろん製造業では場所を構えなくてはいけませんが、バックオフィス業務はどこからでも可能です。また、商圏エリアの拡大ができます。世界に打って出ることもできます。拠点を展開したいときにも、パソコン一つで可能になります。今までのような大規模なオフィスは不要になりました。売り上げ、利益アップにもつながります。

さらにキャッシュフローの改善が見込めます。お金のやりとりは契約が終わってからになりますが、これまでの紙でのやり取りでは2週間から1カ月くらいかかるので、支払いも1カ月から2カ月遅れることになります。今は電子締結の仕組みがあって、1日、2日で締結が終わります。すると現金がその月に入ってきます。入金サイクルを前倒しにできます。

最大のメリットは改善点の明確化です。業務を見える化することによって、自分たちの会社にどんな問題があるか見えてきます。中小企業こそITを活用し、脱属人化の仕組みの構築が必要です。

業務の効率化が企業の成長につながる

経営者の役割は、経営の安定化です。お金を調達してそれを将来のために投資し、投資を回収していくことで企業は成長していきます。調達→投資→回収という好循環を作っていくためには、経営を安定化させなければなりません。経営が安定化しないと根拠になるものがないので、金融機関も投資しにくい。業務をしっかり見える化して業務効率化を図ることにより、経営安定に向けた好循環を生み出すことにつながります。

業務効率化が目的ではなく、業務効率化を行うことが、さらなる企業の成長につながるということです。脱属人化の仕組みを整えて、業務効率化を図り、その先に経営安定の仕組みを整えることによって、調達→投資→回収という成長のサイクルにつなげていくことができるのです。
20年後、30年後に向かって、業務効率化を図っていただきたいと思います。

画像: 業務の効率化が企業の成長につながる

次回は、業務改善を行う資金を含め経営上必要な資金をどのように調達してくるかなどに焦点を当てた講演内容を紹介します。

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