木材プラットフォーム「eTREE」は、木材サプライチェーンの課題に取り組んだ、画期的なサービスです。株式会社森未来 代表取締役の浅野純平さんに、サービスの詳細と今後の展開について伺いました。

「eTREE」で木材情報へのアクセスが容易に

木材のサンプルを無料で送るサービス「eTREE DASH」は、サンプルの情報のみの提供で、価格も規格もオープンにしていませんでした。そこで、価格や規格も含めた詳細な情報をデジタルデータ化したBtoB特化型プラットフォーム「eTREE」を新たにリリースしました。それにより、商品の検索、サンプル取り寄せ、見積、納品までを森未来がワンストップで対応できるようになりました。

これまで、木材の情報は非常に入手しにくい状況にあり、適正な価格、納期が不透明な状態でした。生産者と利用者の距離が離れており、生産・流通のそれぞれの過程がブラックボックス化していました。「eTREE」は、日本全国に点在していたアナログの木材情報をデジタルデータ化し、膨大な商品の中から必要とされる木材を探せるよう、木材に特化した検索システムを開発しました。

樹種や産地、仕上げや塗装など表面処理の検索、JASやFSCなどの認証規格での検索も可能です。会員登録をすると、卸売価格を確認したり、木材コーディネーターから目的に合った商品のアドバイスを受けることができます。さらにMyリスト機能で気になる商品をストックし、簡単に資料化(PDF)することができます。

主なターゲットは、住宅を設計する一級建築士事務所です。素材にこだわりを持っていながら非常に多忙なため、簡単に木材を検索したり相談したりできる「eTREE」が活用されています。今後は、商業系の設計者などにターゲットを広げていき、取扱品目も現在の7000アイテムから数万アイテムに増やしていきたいと考えています。

森林のデジタルデータ化で、環境・産業を次世代へつなげる

今後、取り組んでいきたいのは、森林のデジタルデータ化です。これまで山のデータは「森林簿」という帳簿にアナログで管理されてきました。最近は、木を3Dでスキャンする技術があるので、山に生えている木を計測することができます。

しかし、この技術は行政が所有している山の情報を把握するためだけに使われており、全くビジネスに活用されていません。このデータが活用できれば、川下の設計者たちも、「この山にこういう木があるから、こんな用途に使える」とプランを立てることができます。それがビジネスになるかどうかは、もう少しシミュレーションしなければわかりません。しかし、それがわかると例えば、山の保水量やCO2の吸収量がシミュレーションできます。すると、土砂崩れなどの災害防止に役立ちます。

政府は温室効果ガスの削減策として、2050年までにCO2の排出をプラスマイナスゼロにするとしていますが、排出量を抑える施策ばかりで、吸収源に対しての議論や取り組みは非常に少ないのです。日本の山がどんなふうに育っているか、その山が今後どれだけCO2を吸収するか、そういったデータを取得したいと思っています。

現在、日本の山に森林が多いのは、戦後にたくさん植林したからです。たくさん植林できたのは、たくさん利益が出ていたからです。今は、植林するための補助金は出ますが、コストに比べたら微々たるものです。戦後ほどではなくても、安定して収益を得られるようなモデルになれば、植林もできるようになります。山が資産として認められれば、持続可能な森林づくりができていきます。

森未来は、「森林」「林業」「木材」のあらゆる情報を集約し、生産者に適正な利益が還元される、新たなサプライチェーンを作ることで、林業を持続可能な産業にすることを目標としています。

This article is a sponsored article by
''.