2月24日開催のオンラインイベント「Digital Transformation Webinar Zero」では、「VUCA時代における働き方」をテーマに、「組織の成果を飛躍的に高めるリーダーとはどのようなものか」を議論しました。

【パネリスト】
未来予報株式会社 代表取締役 宮川麻衣子さん
株式会社HRBrain 代表取締役 堀浩輝さん
株式会社 リフカム 代表取締役CEO 清水巧さん
株式会社 タイミー 代表取締役 小川嶺さん
株式会社 グランストーリー 代表取締役CEO 越智敬之さん
【モデレーター】
キャナルベンチャーズ株式会社 取締役 駒木敬

イノベーションを導く組織、リーダーとは

駒木)いろんな事業会社が新たなイノベーションを起こそうとしているが、うまくいっているところは少ない。このテーマについて議論する前に、グランストーリーの紹介をお願いします。

画像1: これからの組織、そしてリーダーはどう変わっていくべきか~「DT Webinar Zero」開催報告(3)
画像2: これからの組織、そしてリーダーはどう変わっていくべきか~「DT Webinar Zero」開催報告(3)

越智)グランストーリーは2019年に創業したスタートアップです。「活き人が集う産業創造プラットフォームを通じて次世代に希望と活力にあふれた幸福な未来を届ける」というビジョンを掲げ、次世代の社会イノベーションを担うリーダーの育成、支援を目的にしたサービスを展開しています。

新型コロナウイルスの影響もあり、今までの当たり前が非常識になるなど価値観が大きく変化しています。その中で企業が成功するためには構造変革とDXが不可欠です。それらを推進するための人材として、制約条件にとらわれず、高い熱量で周囲を巻き込みながら行動し続ける「活き人」の存在が重要だと考えています。

そのため、自分の内発的な欲求を高めるプログラム「IGNITION(イグニッション)」と、産業創造を担う企業のキーパーソンがつながるプラットフォーム「STORIUM(ストリウム)」の2つの事業を展開しています。

駒木)イノベーションを起こす組織は今までと同じスタイルでいいのでしょうか。

越智)結論から言うと、変えないと終わってしまうという分水嶺に差し掛かっており、DXによる産業の変革が不可欠です。そのためには組織がどうなっていきたいのか、未来軸から逆算してどうありたいかを内省的に経営者が話し合うことが重要です。

ピラミッド型の組織では上意下達のため、社員の意見が経営に反映されにくい。それに対して、楕円型、もしくは逆ピラミッド型で、全員がリーダーシップを持っている組織が理想です。ビジョンを共有し、そのために集まっているという合意があるかないかの違いは歴然かと思います。このような雇用形態について企業は本気で取り組む時期に入っていると感じています。

リーダーのあるべき姿はシンプルで、「べき」とか「する必要がある」とかコントロール型のマネジメントをやめ、主体的にストーリーを伝えるナラティブ的なアプローチ、あえて対話・問いかけをしていくアプローチへと行動変容することが大切だと考えています。

意識改革をするためのアプローチ

駒木)ここからは届いた質問をご紹介します。組織が変わるためにはマネジメント意識が変わらないといけない。組織メンバーとしてリーダーの意識改革にどんなアプローチが取れるんでしょうか。

越智)リーダーの意識改革のアプローチは、活き人との出会いをつくるしかない。「書を捨てよ、町へ出よう」とか禅の「冷暖自知」という言葉もあるが、熱いか寒いか考える前に、自分で一回手を突っ込んでみることが大切です。今は新型コロナウイルス感染症の影響があり、なかなか人に会いに出かけにくい状況です。しかし、自分が行動変容をした経験を振り返ると、さまざまな人に会い、恥ずかしい、悔しいといった気持ちを持った結果、自分の中の価値観や考え方の殻を破ってきました。今のままの環境にいたのでは、なかなか意識は変われないんじゃないかと思います。

小川)タイミーでは正社員が100名、業務委託を含めると180名ほどのスタッフがいます。平均年齢が27歳という若い職場なので、若いマネージャーが年上のスタッフをマネジメントする必要が出てきています。その中で彼らに伝えているのが、「内に目を向けず、外に目を向けろ」ということです。マネージャー一人ひとりを教育するのも大切ですが、それよりも自分はなぜこの企業で働くのか、世の中のために何ができるかという大きなゴールに目を向けて、共通意識を持ってもらうことが大事だと思っています。

堀)組織のリーダー、次世代経営幹部といった立場の人に限定して話すと、自分のやりたいことや専門性、キャリアといった個人的な要素よりも、マーケットに目を向けたほうが良いと思っています。基本的に経営者は変化に対する適応能力が大事なので、マーケットから自分を客観的に見た上で、これからどのようなスキルを身に着けるべきか、自分がどういった価値変容をしていかなくてはいけないかを理解するほうがいい。場合によっては、今までの自分の価値観やキャリアを全て捨てるくらいの意識で、ゴールとなる高いところに手が届くためには変えていくものだというマインドセットが大事だと思っています。

清水)私はこの質問を、大企業のNo.2の立場の人がHRテックを導入して経営改革を進めていこうとする際に、どのようにして経営者の気持ちを動かせばいいかと置き換えて理解しました。HRテックを導入した場合と導入しなかった場合でどの程度の落差があるかという材料を集めることと、海外や国内の状況を含めてフラットに話を伝えて態度変容を促していく。両方を戦略的にやっていくことで意図する方向に動かしていくのが、リーダーを動かすNo.2のあるべき姿だと考えています。

宮川)自分が代表取締役に就任して感じた、内向きのリーダーシップに対する重要性について話をしたい。これまで社員と議論をする中で、話が噛み合わないと感じることがときどきありました。それは未来のスケール感が、自分と社員とで一致していないことが原因でした。そのため、社員と議論する際には、50年後の未来について話しています、あるいは5年後の未来についてですと、どのスケールで話しているかを最初に明確にした上で議論を開始するようにしました。そこの目線を合わせると、互いが議論しやすくなります。自分の中のリアリティとしては、リーダーシップを発揮するときには、まずはそういったかたちでスケールを合わせていくことが必要だと思っています。

駒木)今回のディスカッションでは大きく3つのテーマで議論を行いました。皆さんの話を通じて、社員間で同じビジョン、価値観、スケールを共有すること、内向きばかりに目を向けるのではなく、マーケットに目を向けることの重要性を改めて感じました。本日はどうもありがとうございました。

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