インバウンド旅行者向け観光サービスのWAmazing加藤代表と、宿泊施設に対するソリューション事業とスマートホテル事業を展開するSQUEEZE舘林代表に、新しいホスピタリティのあり方や観光業界の変革、新たなビジネスの方向性について伺いました。

ワークライフカオス、ワークライフブレンドがチャンスになる

駒木)現在一時停止になっているGoToトラベルですが、使われ方が話題になりました。どのように使われることが効果的と思われますか?

舘林)もちろんコロナがある程度おさまることが前提だと思いますが、本来GoToトラベルを効果的に活かすには今対象外となっている出張については見直すべきだと思います。出張を除外するよりも、ワーケーションと絡めて打ち出すべきだと思うんですよね。
われわれの施設もまだ金土が圧倒的に稼働率が高くて、平日はまだ厳しい施設もあります。長期滞在が観光業界にとってどれだけインパクトがあるか、業界として変われるチャンスな気がします。

加藤)需要の分散化は、観光業界の悲願なんです。かつて民主党政権の時に休日の分散化の話がありましたよね。あの時はGWの長期休暇を地域ごとに分散させる話でしたが、本社と工場の休暇が異なるのは困るなど経済団体側の反対も強く消えた経緯があります。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、年末年始の休暇分散化が推奨されるようになった今、休日分散化について再度検討してもよいのではないでしょうか?

いきなり長期休暇を分散化していくことは無理だとしても、例えば金曜日の出張の際に、土日も滞在して観光することが認められれば、結果的に企業における福利厚生にもつながると思うんですよね。まさに『ワークライフカオス』。うまく融合させるチャンスです!

舘林)僕はそれを『ワークライフブレンド』と言っています。例えば、自分を例にとっても週末に行ったところでお会いした人が後になってビジネスにつながるケース、結構多いんですね。このように休日の時の出会いが仕事にプラスになる、こんなことが『ワークライフブレンド』のイメージです。

駒木)なるほど、「セレンディピティ」ですか。確かに仕事では出会いが大事ですよね。これからの企業力を上げていくためにも、休暇のあり方、ワーケーションについては、今後企業内でもきちんと検討していくべきですね。

舘林)今のホテル業界は、日々のチェックインや紙の業務に忙殺されています。そのため、それらを行う人員数も相応に必要で固定費割合が高く収益率が非常に低い産業になっているんですよね。本当の意味でのDXとは、自動化・効率化を進めることで、この業界に従事する社員やスタッフが本来フォーカスしたいコア業務にいかにリソースを割けることだと考えています。例えば「ゲストのトレンドをつかんで、どのように施設やサービス面を改善するか」などの付加価値の高い業務もその一つです。

SQUEEZEも単なる宿泊のベッド売りじゃなくて、「体験」をいかに売るかを常に考えています。例えば女子会プランとかパジャマパーティープランとか、思わずインスタでシェアしたくなるような体験をもっと増やしていきたいと思っています。

駒木)先ほどのデジタルマーケティングの話にもつながってきますね。

加藤)ホテルとか旅行業界を希望する人は、本当の意味でのホスピタリティがやりたいと思うんですよ。ところが実態はそれとは大きく乖離しているから離職率も高い。ここはもっと改善していけるといいですよね。

画像: ワークライフカオス、ワークライフブレンドがチャンスになる

駒木)最近の若い世代の人たちの感性、価値観からして、今後働き方にも経済的な価値だけでない体験価値のようなものが求められてくるんじゃないでしょうか。バイトとバケーションを組み合わせたリゾートバイトは昔からありましたが、一般的な働き方にも反映されると面白いと思うんですよね。
ところで、今の見通しで新型コロナの影響はどのくらい続くと思いますか?

加藤)日本のインバウンドはほとんどアジアなので、香港と台湾だけが戻ってきても4割くらい復活します。両地域は日本より感染者が少ない状態なので、出国前の陰性証明で14日間の隔離生活をしなくていいとか、二地域間協議で決められます。低リスク国と高リスク国をはっきり分けて、隔離を免除すれば、日本からの旅行者もかなり増えると思います。

駒木)香港や台湾の人は今日本に来たいと思っているのでしょうか?

加藤)アンケートでは94%くらいが行きたいって答えています。住んでいる地域が狭いので、国内旅行という概念がありません。どこかに行ってリフレッシュしたいとなると、日本しかないようですね。

舘林)コロナの影響は今後1〜2年くらいは続くとみていますが、僕も潜在的な訪日ニーズは高いと思っています。

観光立国をサポートするサービスを拡充させたい

駒木)最後となりますが、将来的に目指すビジョンをお聞かせください。

加藤)私は日本の観光資源をデジタルに載せて届けることをずっとしたいし、日本側の事業者と海外からの個人旅行者のマッチングをしたいと思っています。

昨今事業者の意識もデジタルにシフトしてきていますが、例えば各地にあるMaaSサービスとWAmazingがAPIで連携することで、WAmazingアプリならどんな地方に行ってもラストワンマイルまで行ける世界を実現したいと思います。

アフターコロナになればインバウンドの需要が急拡大していくと思いますが、日本に根差した商品力を拡充することで、結果として日本のコンテンツ力を海外にアピールし、それを生かしていくことができるのだと思います。

舘林)観光立国をサポートするのが、われわれのロマンで、これは加藤さんも同じだと思います。中期的には直近3年でホテルのオペレーションをDXして、D2C的なホテル運営を可能にしていく、それが宿泊業の変革だと考えています。

具体的には非対面、非接触、効率化によって省人化されたオペレーションで損益分岐点を下げることで、人のリソースをよりクリエイティブなところに振り向けていきたいと思っています。そのためのオペレーションモデルを自社で作りながら、それをソリューションとして販売していく事業を行っていきます。

それから先2025年から30年くらいには、スマートシティや街づくりに貢献することがしたいですね。スマートシティにおけるあらゆるハードウェアのオペレーションを、スマートホテル運営で培ったノウハウを生かしてクラウド運営できるようにするのが、長期的なミッションだと考えています。

画像1: 観光立国をサポートするサービスを拡充させたい

駒木)お二人のお話を伺っていると、日本の観光産業は新型コロナの影響でこれまでにない厳しい状況に置かれつつも、これをきっかけとして、デジタルシフトにより根底レベルから大きく構造転換されつつあると感じました。キャナルベンチャーズも、スタートアップの皆さまと一緒に今ここにない新たな観光産業の未来を創り出していければと思っています。
本日は貴重なお話をありがとうございました。

画像2: 観光立国をサポートするサービスを拡充させたい
画像3: 観光立国をサポートするサービスを拡充させたい

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