株式会社ポーラスター・スペースは、宇宙から地上までのシームレスな観測データを活用して、地上のさまざまな課題を解決することを目指しています。この大きなミッションにいかにして取り組んでいるのか、代表取締役 三村昌裕さんに伺いました。

「データありき」ではなく、「どういう目的でデータを活用するか」が重要

東京工業大学で都市計画を専攻し、制御工学も修めた三村さんは、新規事業の創造を中心としたコンサルティング事業を2001年11月に立ち上げました。以来20年近く、人々の暮らしと情報のあり方をテーマとして、社会課題解決型事業の戦略立案を多数手掛けてきました。その一環として考案したインターネットマンション事業(業界初で最大規模)は、現在、同事業の原型となっています。

地球を俯瞰する衛星から得られる情報の活用が、地上のさまざまな課題解決につながるのではないかと考え有志が集ったのが、ポーラスター・スペースの始まりです。「リモートセンシングで世界の課題を解決する」をミッションに、災害や都市問題、資源探索など、いくつかのテーマの中から農業課題にフォーカスして2017年4月に事業を立ち上げました。リモートセンシングとは「離れた場所から対象を観測する技術」で、さまざまなセンサーを用いることで植物の生育状態を表すNDVI(正規化植生指数)や地上の熱環境の把握など目的によってさまざまなデータを取得できます。

「仮説なきデータはゴミの山」と断言する三村さんは、データはただ集めればいいのではなく、何のために役に立つかという仮説をもって収集していくことが大切と強調します。情報が事業の中心になっていく流れはGAFAに代表されますが、そこでは世の中の公開情報が主に集められています。これからは、目的に立脚して、簡単には入手できない非公開情報をいかに効率的に収集しその情報がどのように有益であるかということから事業創造していくべきです。

ポーラスター・スペースでは北海道大学と東北大学と連携して、農業課題をテーマとして、病害、収穫量や収穫時期の予測などの現場のニーズをどのように解決できるかを考えて、そのために有効なデータを収集し、分析をしています。

「北大発ベンチャー」として、研究成果と特許技術の社会実装を担う

創業時の2017年はSDGsの概念が少しずつ広まってきた時期で、食糧問題は特に重要な課題です。人口が増大する中で収穫量のコントロールや生産性向上などが喫緊のテーマとなることから、宇宙から観測できる現象として、農業の状況を把握していくことで市場性も見込めます。北大の高橋幸弘教授を事業パートナーに迎え、2018年に1月には「北大発ベンチャー」の称号を受け、2019年6月には経済産業省によりJ-Startupに選定されました。

身近な問題の解決に取り組むスタートアップが多い中で、非常に大きな課題に取り組んでいますが、もともと都市計画を専攻していた三村さんにとって、物事を俯瞰することは得意分野で、広域リモートセンシングを通したソリューション事業との親和性は強いと感じたといいいます。コンサルタントとしての経験からも、データがお金になることへの条件は非常に厳しく、明確な活用目的があるかどうかのほうが事業に結びつける上での本質だと考えていました。規模の経済で戦おうとすればGAFAには敵いませんが、目的立脚型の非公開情報を収集することでマネタイズが可能になります。

具体的にはバナナやオイルパームなどの大規模プランテーション栽培の現場における、深刻な病変の早期発見や農業の生産性向上に、東北大の衛星技術と北大のリモートセンシング技術を活用していくことになります。

独自開発のスマホ分光器によって農作物の近接データの蓄積を行い、マルチスペクトルカメラ搭載ドローンが上空から地上の詳細なデータを集め、LCTFカメラを搭載した超小型衛星は宇宙から広域の観測を行います。この3つのデータを蓄積してライブラリを構築することで、ユーザーの欲しい情報の提供が可能になり、同社の目指す課題解決型事業につながります。

This article is a sponsored article by
''.