ありそうでなかった「訪日旅行客向けの荷物当日配送」サービスを開始したきっかけは、宿泊客からのリアルな声でした。株式会社Airporter代表取締役 泉谷邦雄さんに、配送サービスAirporterを開始した経緯や軌道に乗るまでの苦労について伺いました。

民泊運営で気づいた「荷物当日配送」のニーズ

Airporterは、Airport(空港)とPorter(運搬人)を掛け合わせた造語で、宿泊施設と空港間の手荷物配送に特化した当日配送サービスです。「荷物を預けたい」旅行者と「荷物を預かり切れない」宿泊施設とのギャップを解消することを目指しています。

もともと都内で10軒近くの民泊施設を運営していた泉谷さんは、年間約2000人のゲストを受け入れていました。そこで非常に多かった要望が、「レイトチェックアウトしたい。それがだめなら、せめて荷物を預かってほしい」というものでした。民泊はホテルと違ってクローク機能がないため、ゲストから荷物を預かることができません。代替案として近場で空いているコインロッカーを勧めてみても、ゲストはなぜか「ロッカーが開いていない」と答えるのです。

実は彼らが言いたいのは、「ロッカーが空いていない」のではなく、「ロッカーがまとまって空いていない(から私たちには使えなかった)」ということでした。民泊需要で伸びているのは家族連れなどの6~12名のグループなので、ロッカーも5~6個必要になります。そのような状況で駅のコインロッカーを勧めても役には立たないことがほとんどです。

それならばロッカーに預けるのではなくて、直接空港に荷物を送ってしまえばよいと考えましたが、当日配送となると、どこの運送会社でも対応していませんでした。前日集荷では海外からの旅行客は利用できないので、しばらくは自分自身でレンタカーを借りてボランティアで荷物を運んでいました。

このサービスは非常に人気が高かったので、Airporterとして事業化しようと決心したのが2016年12月のことです。しばらくは民泊施設運営と荷物配送の両輪で事業を行っていましたが、1年ほどで手応えを感じ始めました。また2017年に失敗を恐れない果敢な挑戦を評価する総務省主催の「異能ジェネレーションアワード」で特別賞を受賞したことも後押しし、法人化してAirporterを創業しました。

空港カウンターと提携するまでは3時間空港で待つことも

もともと民泊から始まったサービスですが、加熱していた民泊ブームが収まってきたことから軸足をホテルに移しました。ホテルはクロークがあるため荷物当日配送のニーズはないと思っていましたが、実際にヒアリングしてみると、宿泊客から預かった荷物が増えすぎて困っている状況が見えてきました。さらに溢れた預かり荷物をホテルのロビーに置くとブランドイメージが損なわれるので、多くのホテルでは客室を荷物置き場にしていることもわかりました。荷物のために客室をつぶすのは非効率なので、当日配送でホテル側の負担を減らせればという思いから、大手ホテルチェーンとの提携を一気に進めました。現在は提携ホテル数が4万室を突破、東京のホテル総部屋数の約半数を占めるまでになっています。

Airporterを事業化するに当たり、一番苦労したのが空港での荷物の引き渡しです。安全や効率化を考慮して外部のドライバーと業務契約して配送する仕組みにしましたが、空港で受取客が到着するまで待たなくてはいけないので時間のロスが発生するという問題が浮き上がりました。

受取客が定刻に間に合わずに遅れて到着することはしばしば起こります。飛行機の到着時間があるので最大待ち時間は3時間以内ではありますが、1時間遅刻ということもざらです。次の案件に間に合わないリスクがあるためドライバーにとって時間ロスは致命的でした。ホテル展開が始まる前には、なんとか空港宅配サービスの企業と提携し、空港カウンターに荷物を預けられるようになりましたが、それまでは本当に大変でした。空港カウンターを利用できるようになったことで、スタッフの勤務時間から逆算して適切な集荷時刻を計算できるようになり、より効率的に集荷・配送できる仕組みが整いました。

airporter.delivery

This article is a sponsored article by
''.