水産業者向けの鮮魚情報配信・発注サービスUUUOを手掛けるほか、自らも仲買として鮮魚販売に取り組んでいる株式会社ウーオ。現在のビジネスと将来の展望について、代表取締役CEO 板倉一智さんに伺いました。

仲買免許を取得し鮮魚販売にも取り組む

ウーオでは、水産物流通における課題をテクノロジーの力によって解決して、最終的には漁師に利益を還元する仕組みをつくることを目標にしています。漁師にきちんとした収入がないと、日本の食卓に魚が登場しなくなる未来もあり得るからです。そうならないためにも、「漁師さんたちのためになるのかどうか」という価値基準に基づいて、今までにない新しい販路や需要を発見し、産地の買い付け金額を上げることで長期的に持続可能な水産業の構築を目指しています。

その第一歩がUUUOによる情報発信です。アナログだった領域で情報の透明性がなく可視化が進んでいないということは、売り手にとっても適切な価値で鮮魚を販売できないというデメリットになります。買い手から見ても、仕入れの意思決定を行うために産地がどうなっているかの情報はできるだけ早く察知したいというニーズがあり、それを満たすサービスが望まれていました。魚の鮮度は見ただけではわかりにくく、元になる情報がなければ判断することは困難です。逆にきちんとした情報さえ伝えることができれば、買い手が鮮度を判断できるばかりか品質も担保できます。港としても情報発信は歓迎してくれています。

2018年には鳥取港の仲買免許を取得して、鳥取市内の港まで車で15分程度の場所に自社出荷拠点のUUUO Base(ウーオベース)を開設しました。情報を配信するだけではなく、当事者として鳥取周辺の漁港から水産物を買い付け、東京、名古屋、広島、大阪、岡山、京都など大都市の市場へ販売を行っています。現在は60社ほどと契約していますが、徐々に数を増やしています。

本社およびサービス開発拠点は板倉さんが住んでいる広島にあります。東京へ進出することを勧められることもありますが、良い人材を採用できれば無理に東京へ進出する必要はないと思っています。まずは地元から、目の前にある課題を解決していくことに目を向けています。

水産物流通のプラットフォームを目指す

現在は、鳥取港、網代港、徳島の漁獲情報をLINEで配信し、買い手は購入希望の魚と価格をLINEで送ることで現地にいるUUUOのバイヤーが代理で競り落として発送しています。今後は、産地と新しい販売先、消費地にとっては新しい仕入れ先を、さかなの余っているところと足りないところをマッチングできるような仕組みをつくっていく予定です。

また将来的にはUUUOで取り扱う魚であれば安心だというブランド力をつけていき、さらにUUUOがなければ魚が仕入れられない、という水産物流通に不可欠なプラットフォームとして成長させていきたいという構想を持っています。漁師ファーストで日本の水産業にとって、新しい流通をつくっていくよう取り組んでいきます。

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