農業や水産業などの一次産業では、テクノロジーの力による合理化・効率化が進んでいます。水揚げされた鮮魚の情報をインターネット配信することで、水産物取引での課題を解決する株式会社ウーオの代表取締役CEO 板倉一智さんに、起業の経緯と運営サービスUUUO(ウーオ)について伺いました。

鮮魚の水揚げ情報をオープン化した、買い手にも売り手にも便利なサービスを開発

UUUOは、水揚げされた鮮魚の情報を水産業者間で共有できる鮮魚発注サービスです。具体的には、港で水揚げされ、せりにかけられる前の水産物の写真や動画をUUUOのバイヤーが撮影し、水揚げ情報とともに朝8時前にLINEで配信します。買い手は、現地に行かなくても詳しい情報を得られるだけでなく、欲しい魚の数量と希望の価格をLINEでバイヤーに伝えて購入してもらえます。

従来の鮮魚取引では、商品を購入する市場と、販売する漁業関係者との間で情報共有がされていない、または電話などで十分な情報が得られないことがほとんどでした。そのため買い手は、今日はどんな魚が獲れたのか、市場の相場はいくらなのかなどの情報を得ることができず、不確定な情報に基づいて購入するしかありませんでした。このようなアナログ的で効率が悪い取引形態を、ウーオではIT活用によってシンプルに効率的にしていきたいと考えています。

子供には漁師を継がせたくないと思わせる環境に対する危機感

鳥取県出身で、実家の目と鼻の先に港がある環境で育った板倉さんは、親族が漁業従事者であったこともあり、幼いころから船で魚の荷下ろしを手伝うなど、水産業は身近なものでした。大学卒業後は大手物流会社に就職して鳥取を離れましたが、長期休みで帰省するたびに、近くの港で稼働する船の数が減っていたり、せりに行っても港が半分以上使われなくなっていたりする状況を目の当たりにして、強い危機感を持っていました。

家業を継いで船長をしている幼馴染は、親のあとを継いで漁業に携わっているものの、将来自分の子供たちに継いでほしいとは思っていないというのです。かつて漁業は高収入な職業で、命がけで海に出て漁をするからこそ大きな利益がありました。しかし、今では安全面などのリスクがあるにもかかわらず、それほどの収入は望めない職業になってしまっています。原油高に伴い船の燃料となる重油コストも上がって、全体的に儲からなくなっているので、わざわざ自分の子供に継いでほしいとは思わないのです。

このままでは日本の水産業が廃れてしまうのを何とかしたいと思い、起業を決心しました。2016年にウーオを起業し、現在は情報提供サービスのUUUOと、鮮魚の仲買を行うUUUO Baseを運営しています。「日本の水産業にとって、新しい流通をつくる」をミッションに掲げ、水産業の流通を透明性があるものに変えていくことを目指しています。

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