従来、農家の設備投資は非常に高額だったため、新規参入や後継者問題の高いハードルとなっていました。従量課金型のビジネスモデル(RaaS)を採用した自動野菜収穫ロボットを利用することで生産面積を広げて利益を生むことができ、農家の可能性も広がるとinaho株式会社 代表取締役 菱木豊さんは語ります。

生産面積を増やし、農家の利益が出る未来に

農家からのニーズは非常に強いと感じています。収穫は肉体的な痛みも多く、人手不足もあり、切実です。農業従事者の平均年齢は67歳で、49歳以下は10%しかいません。また、施設栽培、ビニールハウスの栽培は、15年以上生産面積が横ばいです。つまりテクノロジーは何も進化していない、生産性は上がっていないということです。

農業には人間が行っている作業がたくさんありますが、人間がやらなくてもいい作業もあります。雑草取りや収穫などの肉体的負担も大きい作業をロボットが行えば、人手不足の解消にもつながりますし、農家の方がよりクリエイティブな作業に取り組めるようになります。

収穫時期に人手を増やせないから生産面積を広げられない。人手不足を解消するために高額な農機具を導入するのはリスクが高い。農家が抱えるこのような問題を、inahoの自動野菜収穫ロボットが解決に導きます。今の2倍、3倍の面積で生産できるようになれば利益は出ます。私たちは農家がきちんと儲かる未来を作りたいと考えています。

オランダを拠点にグローバル展開を目指す

今後いろいろな作物に対応していく予定で、全国の農家の協力をいただきながら開発を進めています。キュウリの収穫はアスパラガスの収穫と同じロボットを使います。上を切るか下を切るか、180度変えるだけで汎用的にいろいろなものを採れます。梨やぶどう、桃などの果物の収穫や、枝を落としたり、太陽光がどう入ってくるかを考慮する剪定作業についても要望があります。「剪定作業はいまだに70歳を過ぎた親父がやっている」と言う50歳の農家の方もいましたが、知識と経験、計算が必要な剪定はディープラーニングが得意な領域です。

果菜類は関東と九州に生産地が固まっているので、そこを中心に展開していく予定です。今年、佐賀県鹿島市に支店を設けました。キュウリ、アスパラガスの一大産地であり、反収(たんしゅう)という一反当たりの作物の出荷量が日本でトップクラスの地域です。2022年までに九州地区へ24拠点、全国40拠点へ進出予定です。

2020年からオランダにも進出する予定です。農家の高齢化、人手不足は日本に限らず、世界各国で課題となっています。オランダはアグリテックの分野において世界トップレベルなので、そこで使ってもらえるようにしたいと思います。さらに将来的には、ロボットを使ってもらうことで収集したデータを活かし、生産性の向上など農家に対するコンサルティングも行っていきたいと考えています。

This article is a sponsored article by
''.