販売してほしい商品を持つブランドと店舗のマッチングサービス「SpaceEngine」を展開する株式会社スペースエンジンは新しい販売のかたちを提供するスタートアップです。サービスを開発した経緯を代表取締役社長の野口寛士さんに伺いました。

シリコンバレーに滞在した経験から起業を決意

大学時代に先輩の影響でアプリ開発に関心を持ち、Twitterで募集した他大学の学生とチームを組んで東京のビジネスプランコンテストに応募したりしていました。3回生のときに大阪市主催のツアーを利用してシリコンバレーに1カ月近く滞在する機会がありました。当時はアプリ開発がただ面白く、起業するのか、それとも就職するのかはあまり真剣には考えていませんでしたが、アメリカのスタートアップを見学するなどさまざまな体験をしたことで、自身で会社を起こす決心がつき2013年に起業しました。

当初は家族向けのSNSを開発していましたが、投資家のアドバイスでスマホ完結の名刺交換サービス「Cofame」にビジネスモデルを転換しました。スマホ上に表示された名刺に相手のスマホをかざすと名刺交換ができるもので、名刺交換したあとSNSの情報も一緒に集めてくれるのが強みでした。リアルでスワイプしないといけないというハードルがあったため、機能の一部をチャットボットとして切り出すなど試行錯誤していました。最終的には事業譲渡というかたちで売却して2018年に代表を退任、帰国しました。

可能性を見つけたのは実店舗との接点

名刺交換サービスの次にチャレンジしようと思ったのは、全く別のサービスでした。シリコンバレーに滞在していたときに印象に残ったのは、スタートアップが街なかに出てきていたことです。オンラインサービスを提供するスタートアップはユーザーとの接点がオンラインだけだと考えがちです。しかし、現地でスタートアップがリアルイベントを開催したり、実店舗をオープンしたりとオフラインでユーザーと接触しているのを見て、実店舗での接点を持つ重要性を肌感覚で理解しました。

アメリカで最近伸びているのがD2C(ダイレクト トゥー コンシューマー)と呼ばれる、メーカーが商品を自社サイトで直接ユーザーに販売するモデルです。アメリカではマットレス販売のCasperやメガネ販売のWarby Parkerらがオンラインで成功してリアル店舗を出し、投資家の注目が集まっていました。

日本国内でもオンラインブランドと実店舗との連携に商機がありそうだと感じ、クリエイターや小規模事業者のような小さなユーザー向けのソリューションを展開したいと考えるようになりました。そこで2018年5月に、「すべてのひとに自由なリテールを」というミッションを掲げ、そのようなブランド・商品をオフラインで販売したい企業と販売を担ってくださる既存店舗とをマッチングするスペースエンジン社を起業しました。

SpaceEngine経由で商品を販売したい店舗は、販売予定の場所、顧客層、スタッフなど販売に関する情報をSpaceEngineに登録します。商品を販売してほしいブランド(サプライヤー)は、店舗情報をもとに、希望の店舗に商品の販売を依頼できます。双方が合意に至った場合に、契約が成立して販売が行われます。

現在サプライヤーは個人のクリエイター、製造業、大企業の新規事業部などを含め2100ほど、店舗数は全国で約700あります。紀伊國屋書店、メガネスーパーのほか、アパレル、映画館、ネイルサロン、薬局など、従来販売していた商材とは異なる新しい商品の販売を希望する店舗に登録いただいています。また、英会話教室や社内など、従来は商品を販売していなかったところが売り場所になっており、販売する店舗にとっても新規顧客獲得などの効果が期待できます。

This article is a sponsored article by
''.