7月23日開催の「第1回官民交流 Digital Transformation Meetup」では、スタートアップ6社のピッチに続き、パネルディスカッションが行われ、ベンチャーキャピタル3人と国の政策担当者が官民連携の必要性と現状や課題、目指すべき未来について活発に語り合いました。

【パネリスト】
インキュベイトファンド株式会社 代表パートナー 本間真彦さん
株式会社KVP 代表取締役社長 長野泰和さん
【モデレーター】
キャナルベンチャーズ株式会社 保科剛

新たなイノベーション事業の実ビジネス・社会ニーズを踏まえた官民協働の必要性

保科:官民連携を考えるにあたり政策担当者とスタートアップの距離を今後どう縮めていくか、また未来に向かってどのような共同作業をしていくべきかを今日はみなさんと考えていきたいと思います。

本間:新しいイノベーションを何か仕掛けようとするにはまず管轄省庁とのコミュニケーションが大前提です。仮想通貨やキャッシュレス、給料前払いなどは、リアルな人々の生活に直結しているので管轄省庁との綿密な事前確認が重要となります。スタートアップが仕掛けて省庁や大企業が動く、そしてそれが地方につながり広がっていく、そういう社会の新しいトライアルがどんどん生まれています。ベンチャーキャピタルとしてはスタートアップの全盛時代ではないかと思います。

長野:シードIT企業に特化し投資活動をしていますが、リスクを避けるとSaaS事業のような安全なものに投資しがちでした。しかし、規制緩和ギリギリのスタートアップのみなさんの話を聞いて、われわれも攻めの投資をしていかないといけないなと感じました。

保科:骨太テーマに挑戦するスタートアップが増えています。ベンチャーキャピタル側もきちんと応援しようという流れがあり日本の官民連携も動き始めていると思います。

日本は人材の流動性が鍵、セクショナリズムを超えた柔軟性を持つべき

保科:海外の官民連携はどのように行われているのでしょう。また、海外と比べると現在の日本はどのように見えますか?

長野:アメリカは官民で人材の流動化が進んでいます。政府から人を雇用しロビイング活動するのも普通です。日本も、もっとキャリアパスに柔軟性を持たせることが必要ではないでしょうか。

保科:経験が限られると人的ネットワークも限られてしまいますからね。なかなかその境界線を超えるのは難しいということなのでしょうか。

本間:官民の交流が進まない原因の一つは人材流動性の低さだと思います。そして、もう一つはスタートアップの数の少なさです。それは事例の少なさにつながり、監督省庁も総括しにくいし動きにくいと思います。スタートアップ側も政策として成り立つくらいの数の事例を作り管轄省庁を動かしていくような動きをすべきです。

長野:民間から役所のセクショナリズムはわかりにくいというのが本音ですが、民間側も霞が関で何か起こっているかをキャッチアップし、リテラシーを高めていくことが必要ですね。

画像: 日本は人材の流動性が鍵、セクショナリズムを超えた柔軟性を持つべき

官民連携の課題解決のために今何が必要か

保科:では会場の方にご意見を伺いたいと思います。霞が関側の現状を教えてください。

会場(政策担当者):経産省では官民連携の動きは少しずつ始まっています。スタートアップはまだ少なくスケーラビリティは官民一緒にこれから作られなければならないと思っています。手続き面などさまざまなものを集約するなど、省庁を超えた取り組みがこの1~2年はかなり進んでいる印象です。

会場(政策担当者):総務省は規制官庁の色合いが強く、スタートアップとのコミュニケーションの機会自体が少ないのが現状です。これは変えていかなければなりません。

会場(政策担当者):ベンチャーに転職した人材もいて、政策もわかるのでコミュニケーションがしやすくなっています。彼らにはベンチャー側の思いをぜひ伝えてほしいとお願いしています。ある規制緩和で動いた時には、実際にビジネスで関わっているベンチャー企業にサジェストしてもらいながら進めたという場面もあり、コミュニケーションは進んでいます。

保科:新産業が出てきたとき積極的に関わりたいと思っていただけるといいですね。お互いに接点が増えればいろいろなことが動き始めると思うので、その辺りに期待したいです。

スタートアップ側からの政府関係者への関わり方

保科:スタートアップ側から政府関係者への話の持っていき方について何かご意見はありますか?

会場(政策担当者):省庁の対応もスタートアップ側から持ち込まれた事案内容によります。規制改革の時に感じたことをお話しします。テクノロジーの進化による新事業について、法律上の解釈を柔軟に対応してほしいという要望がありました。業界の意見をまとめてほしいと伝えましたが、全て政府側で細かく決めてほしいという返答でした。企業側は基本的に可能な範囲でコーポレートガバナンスの問題としてうまく対応し処理すべきだし、法律は足りないところを補完するという考え方でいくべきです。この辺りも変えていく必要があると思います。

保科:企業側もリスクをできるだけ避けたいということなのでしょう。

会場(政策担当者):法律の改正などで私たちのところに来る事業者は規模が大きく、省庁を担当していた人や弁護士など、ある程度政策的対応のできる人たちが多いのですけれど、本当にコミュニケーションを取らなければならないのはこれから育っていくベンチャーの人たちだと思います。

会場(政策担当者):政府の有識者会議に実際に現場を動かし顧客をもっているスタートアップが入れば偏りもなくなるし、今いる大学の先生などとのバランスが取れるようになると思います。また、銀行、シンクタンク、弁護士など信頼できる人の紹介で話を持っていくのも一つの方法です。そして消費者が消費者団体を作るように、ベンチャーやベンチャーキャピタルの団体の代表者を出すなど、徐々にやっていくべきなのかなと思います。

保科:単に人脈だけが要因ではなく、相互の言語ギャップも大きな要因なのでしょう。キャナルベンチャーズは、先進的な技術を持つスタートアップと国の政策企画担当者の交流の橋渡しをすることにより、これからのデジタルトランスフォーメーションの促進に寄与していきます。

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