急速に増え続ける空き家はそのまま放置すると10年後には3戸に1戸が空き家になってしまう恐れがあり、大きな社会問題となっています。空き家情報をデータベース化して活用促進を図るAKIDAS(アキダス)は、この問題を解決し、さらにビジネスとしても成長させようという取り組みです。AKIDASを手掛ける空き家活用株式会社 代表取締役社長の和田貴充さんに話を伺いました。

空き家問題に取り組むきっかけは軍艦島

不動産業界で約18年間働いた後に2010年に大阪で不動産の新築分譲を行うオールピースを起業しました。土地を購入して家を建てて販売するというビジネスは、お客様から喜ばれていると自信を持って事業を行っていました。

その考えが大きく変わったのは、経営者仲間と長崎県の端島、通称軍艦島に訪れた時です。軍艦島はかつて海底炭鉱で発展し、最盛期の1960年には約5300人が住み、世界一の人口密度と言われました。島には当時最先端の技術であった高層鉄筋コンクリートの建築物が作られましたが、閉山と同時に無人島になり、現在は世界遺産となっています。

かつて栄えた街の跡を目にして最先端の街でも廃墟になってしまうのかという思いを持っていたところ、見学を終えた帰りの船で経営者仲間から、「不動産業界は、日本全国で軍艦島のような廃墟を作る可能性があることをわかっているのか」と問題提起され、衝撃を受けました。

私たちの行っているビジネスは、今はお客様に喜んでもらっているものの、10年20年経ち、やがて100年後には、分譲した土地が廃墟になっている可能性もあります。人口も減少し続ける中で、このまま建物を建て続けていいのだろうか、空き家を生み出していいのだろうか、という疑問が生まれました。

空き家は社会問題でもありビジネスチャンスでもある

空き家問題について調べ始めると、管理の問題や活用の障害など、改めて大変な社会問題であり早期に解決することが必要な反面、ビジネスチャンスでもあることに気づきました。そこで、新たに空き家問題を解決するようなビジネスモデルを作ろうと決心し、空き家情報のデータベースAKIDASを事業化して空き家活用株式会社を創業しました。

AKIDASは、スタッフが現地を調査した空き家や空き地などの情報をデータベース化し、不動産事業者を中心に閲覧できるようにした月額課金型のサービスです。一都三県エリアで登録した空き家データは約10万件あり、100社以上が利用しています。

サービスを生み出すきっかけは、オールピース時代の経験でした。住宅を建てるための土地を探す場合、情報は不動産業者から入手します。しかし、横のつながりがないとなかなか情報を出してくれないため非常に苦労しました。当時は情報収集の方法として、空き家や空き地を探し、所有者宛にDMを出してアプローチもしました。自分たちで歩いて調査していたものを効率化したいという思いがAKIDASにつながりました。

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