機械に付けたセンサーから取得した情報をもとにプレス機、金型、製品の状態を感知し通知する「みまもりサービス」を提供するフリックケア。代表取締役社長の工藤純平氏に、サービスの開発経緯や省力化ソリューションへと提供サービスをシフトした経緯を伺いました。

製造業向けIoTサービスへシフト

フリックケア株式会社は、製造業向けに工場機械の稼働状況を監視、通知する「みまもりサービス」を提供している会社です。IoTの波が来はじめた2015年に設立しました。開発したセンサー技術を応用できないか模索していたところ、製造業向けデジタルサービスを提供するNCネットワークの元同僚から、センサーを用いてプレス音の異常検知ができないかと相談を受けました。

10年以上経験を積んだ現場の人だと、工場のプレス音を聞いて「今日の鉄は軟らかい」「刃物が摩耗している」など機械の状態が把握できるようになります。これと同じことをセンサーで実現できないかというのです。

機械に付けたセンサーから取得したデータを時間軸で比較します。山梨と長野にある3カ所の工場で取得した音の波形を比較して異常があれば発光するという実験を1年間行った後、2017年にプレス機のみまもりサービスを開始。2018年には経済産業省の『製造基盤白書(ものづくり白書)』に掲載されたことで多くの人の目に触れ、順調に売り上げを伸ばしています。

ニーズに合わせて現場の省力化を実現するサービスを開発

AIで機械の異常検知を行う場合、センサーから取得する情報だけでは正しい判断ができません。例えば機械音がいつもと違う音に変わる時があります。この音が本当に異常なのか、それとも正常な状態で通常とは違う音なのかを判断することができません。情報を補足するために、日々記録している作業日報と照らし合わせて音が変わる前後で何の作業をしていたかを付け合わせる必要があります。

しかし、判断基準がドキュメント化されていなかったり、作業日報の多くが手書きで書かれているためAIの学習データとしては使えないという課題がありました。そのため現場での判断状況がわかる記録を手書きからデジタルデータとして取得し、属人的にならないように経験値を残していく必要があると考えました。そこでプレス機や金型にQRコードを貼り付け、スマホの専用アプリから修理履歴や設備の保全記録を音声または写真、動画で記録する作業みまもりサービスを開発しました。

一般的に工場向けのコンサルティングでは、「見える化」を推進して、パソコンやタブレットで日報を入力するよう求めます。しかし、現場からすると手書きのほうが慣れているうえデジタル化で業務フローが変わってしまうことには抵抗があります。

そこでアプリで入力した情報を従来と同じフォーマットの作業指示書として出力できるようにするなど、現場の負荷を考慮しました。製造業向けのIoTサービスは、音の予兆検知から始めましたが、現在は製造ラインみまもりサービスのような省力化ソリューションがメインになっています。

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