家具を定額で利用できるサブスクリプションサービスのCLASは所有しないライフスタイルの広がりとともに利用者を増やしています。株式会社クラスの代表取締役社長 久保裕丈氏が考えるこれからのビジネス展望について伺いました。
利用のハードルを下げ、家具利用の裾野を広げる
家具をレンタルするというビジネスモデルは以前からありましたが、限られた用途でした。一つは単身赴任者向けの家具で、半年~2年で契約時にレンタル期間をあらかじめ設定します。もう一つが超短期用で、展示住宅用のモデルルームに置く家具やイベント利用のためのインテリアなど、契約期間は1日または1カ月といった限定です。
それに対してCLASは既存のレンタル家具が捕まえきれていない、モノを所有しないという価値観を持つ層をターゲットにしており、サービスを利用する動機も全く異なります。結婚や転職、引っ越しといったライフステージによって家具が必要な期間は変動するため契約時に期間も指定しません。
既存の家具レンタルとは競合しないビジネスモデルであると同時に、家具利用のハードルを下げられるサブスクリプションモデルは家具業界の裾野を広げる可能性もあります。CLASを通じて丁寧に作られた家具を気軽な価格で利用し良さを知ってもらいつつ、ゆくゆくは家具屋で購入してもらうという橋渡しができれば良いと思っています。
多様な価値観を持つ時代にコンテンツでニーズをつかむ
久保さんは「私たちが考えるサブスクリプションサービスとは、単なる定額利用ではありません。お客様のニーズに合わせてサービス自体がアップデートするものだと定義しています。」とサービスの在り方を話します。
家具のニーズは、前述のように引っ越しや結婚といったライフステージの変化によって大きく変わります。といってもすぐに変わるわけではなく、少し先のニーズを正しく把握することが非常に重要になります。今後の展開としては、家具の購入・利用を検討する期間に必要となる情報を提供しながらニーズをつかむ手段としてコンテンツマーケティングを予定しています。
多様に見えるお客様のニーズをライフステージ×間取り(広さ)×好きなテイスト(嗜好)で整理し、どの切り口を整理すると一番ニーズが浮き彫りになるかをトライアンドエラーで探っていく計画です。ライフステージごとのニーズをつかむことで、例えば子供が生まれたときにベビー用品を提案するようなビジネスにもつなげることができます。
将来的には、現在の事業を軸として、家具・家電だけでなくファブリックのような半消費財的なものを広く取り扱う生活系サブスクリプションサービスのプラットフォームとして成長しながら、ニーズに合わせて柔軟にビジネスを進化させたいと考えています。