動画分野での広告配信、メディア運営、制作支援ツール提供などを行う株式会社オープンエイト。5G時代を見据え、どのようなビジネスを目指すのか、代表取締役社長兼CEO 髙松雄康氏に自社の手掛けるビジネスについて伺いました。
動画×テクノロジーでユーザーの心を動かす体験を創りたい
以前は国内最大級の化粧品クチコミサイト@cosmeを運営するアイスタイルで、最高執行責任者としてサイト運営のほかECやリアル店舗など全ての事業を統括していました。アイスタイルはビューティー領域を全方位で事業化していく立ち位置で複数の事業を展開していますが、私自身は特定分野に特化せず、全領域でテクノロジーを軸にマーケティング全般を変えていきたいという思いがあり、2015年にオープンエイトを創業しました。
オープンエイトは、動画とテクノロジーを掛け合わせた事業を行っています。1つ目は女性系メディア向けのスマホ動画広告プラットフォーム「Open8AD Platform」の運用です。ここでは@cosmeやWoman.exciteといった複数の女性向けメディアを束ねたネットワークに対して動画広告を配信しています。
配信先は自社でコンテンツを制作して信頼度が高いメディアに限定しています。ブランドを棄損する心配やアドフラウド(広告の表示回数を不正に水増しすること)のリスクが少ないことが評価され、ナショナルクライアントを中心に利用されています。2019年4月にはグーグルとパートナー契約を締結し、グーグルの広告配信ネットワークからリアルタイムで動画広告の入札も行えるようになり利用が広がっています。
2つ目はオウンドメディアの運営です。広告配信事業を行う中で、自社でも「コンテンツを持っている側」に立ち、直接ユーザーと向き合いたいという思いを持つようになりました。
そこで2016年5月に、おでかけが楽しくなることをコンセプトにした女性向けの動画メディア「LeTRONC(ルトロン)」を開始しました。ユーザー数はおよそ800万人、おでかけをキーワードに女性が興味を持ちそうなオリジナルコンテンツをサイトやSNSに約1万本配信しています。海外からの視聴も多く、ゆかたの着方や日本の神社仏閣の情報等も定期的に配信しています。
自動編集したキュレーション動画を配信するAIの開発
また渋谷区観光協会をはじめ栃木県、山梨県、宮崎県等の地方自治体と提携、地域の魅力を発信するコンテンツを配信し、観光誘致にも協力しています。
メディアを運営する中で、制作効率化を実現すべくAIの開発にも取り組んでいます。2017年に開発した「LeTRONC AI」は、コンテンツに含まれるキーワード情報を自動で解析し、自動編集したキュレーション動画を配信するAIです。これにより一切人の手を加えずにコンテンツを制作することができるようになっています。