訪日外国人向けのショッピングサポートアプリ「Payke(ペイク)」を開発する株式会社Payke。買い物時の行動データを保有しているという優位性を持ちます。代表取締役CEO古田奎輔氏にデータの活用やアプリの今後の展開について聞きました。
訪日外国人のリアル行動データを取得
Paykeの強みは、訪日外国人の行動データを保有していることです。アプリを通じて、利用者がいつ、どこで、どんな商品をスキャンしたかの情報をリアルタイムで取得しています。
例えばID何番のユーザーが都内のドラッグストアで、あるメーカーの化粧水をスキャンした、この商品はベトナム人に人気だ、といったデータはメーカーや店舗にとっては非常に貴重なマーケティングデータです。一部店舗ではPOSデータと連結しており、さらに詳しい情報を提供することができます。このような行動データをメーカーや店舗が管理画面から確認できる仕組みを提供し、役立ててもらっています。
さらにPaykeタブレットを商品棚に設置している店舗では、店内のデータを可視化できます。棚ごとにタブレットを設置しておけば、「この棚は商品をよくスキャンされているけれど、あちらの棚はスキャンされていない」といった買い物客の店内の行動が明らかになります。1店舗だけでなく、エリア周辺店舗のデータも含めて分析することで、「この商品は周辺エリアでたくさんスキャンされているのに、ある店舗ではスキャンされていない」といった状況も把握できます。スキャンされていない店舗を調べてみると、商品の仕入れがなかったりすることがわかるので、機会ロスを防ぐことができます。
Payke経済圏の拡大とデータ分析による価値創造に注力
今後はプラットフォーマーとしての立ち位置でビジネスを拡大していきたいと考えています。Payke内で買い物できる機能や、独自の広告メニュー運用も計画しています。コンテンツ作成や翻訳案件についてはパートナー企業に請け負ってもらう仕組みを考えています。
ほとんどのユーザーが訪日前にアプリをダウンロードしていることから、旅マエ(旅行前)ユーザーの情報を活用したサービスも企画中です。
Paykeではランキング情報や新発売情報も配信しているので、旅マエユーザーが事前にどの商品ページを閲覧し、どの商品をお気に入りに登録しているかをつかめています。そのデータと店舗の在庫情報、スマホの位置情報を参照することで、訪日後に道を歩いているときに、「50メートル先の店舗であなたのお気に入りに登録した商品が販売しています」というレコメンド情報を出すこともできます。さらに旅アト(旅行後)ユーザー向けにEC機能も実装しようと計画中です。
また訪日外国人の行動データを分析し、POSやエリア比較などのプレミア情報を付加して差別化していくビジネス展開に注力すべく、データ解析の専門チームを組織しています。インバウンドにおけるインフラを目指しているのです。