【民泊運営のアウトソーシング:SQUEEZE】

Airbnbなど民泊の運営管理のクラウドソーシングをてがけるSQUEEZE。代表の舘林真一氏が事業を始めたきっかけは、実家の不動産業を海外からサポートしたことだった。
 
5年前、北海道旭川市の実家から「借り手がつかないアパートが数軒ある」という相談を受ける。旭川は旭山動物園もあり訪日外国人が多い。当時、転職してシンガポールのトリップアドバイザーで働いていた舘林氏は「Airbnbをやってみたらどうか」と提案する。まだ日本ではまだあまり知られていない時期で、外国人の対応に不安を感じる両親は二の足を踏む。そこで、舘林氏がシンガポールから遠隔で英語での予約や問い合わせをサポートすることでスタートにこぎつけた。すると、月額3〜4万円で貸していた賃貸アパートのお部屋が、その3〜4倍稼ぐようになっていった。
 
海外で流行り始めていた民泊のビジネス。日本でもニーズがあると感じた舘林氏は、日本へ戻り、2014年9月に起業する。Airbnbの運営側に、24時間の多言語コンシェルジュ、宿泊管理、時期に合わせた価格調整などの仕組みを不動産を所有するオーナーや法人に提供し始めた。
 
最初は実家の2軒のAirbnbを手伝っていた舘林氏。いまではSQUEEZEで累計1000件以上の物件をサポートしている。さらにオーベルジュや旅館、ホテルなどへも展開が広がっている。最近では同様の民泊運営会社も増えてきた背景に伴い、昨年には自社の運営システムを開放。「suitebook」としてSaasモデルの事業も開始した。今では40社以上の運営代行会社が利用するシステムとなり、Airbnbとも協業開発パートナーにも選定されている。SQUEEZEは民泊業界のインフラを目指そうとしている。
 
キャナルベンチャーズが主催・企画したミートアップイベント「第1回 Digital Transformation Meetup」でプレゼンを行なった際には、地域創生やインバウンドなどに関する連携や投資をしたいと複数の企業から声がかかった。

【4社が連携の手を挙げたSQUEEZE】

キャナルベンチャーズが主催した同イベントは「スタートアップ」「ベンチャー・キャピタル」「大企業」「行政」という、異なる立場で、その場で判断・決断できる人が出会い、すぐに連携や投資が決まる、スピード感のあるマッチングを目指して開催された。スタートアップのピッチはもちろん、事業会社やベンチャー・キャピタルもプレゼンを行い、行政関係者はパネルディスカッションに参加した。
 
民泊の運営やマーケティングを支援する舘林氏が参加したきっかけは、出資を受けているインキュベイトファンド・本間真彦氏からの誘いだった。刺激的な情報交換を期待して、伊豆の会場を訪れた。参加してみると、インバウンド事業に関わる人との情報交換や地域創生に取り組む銀行・ハウスメーカーとの出会いなど、宿泊業界を支援する舘林氏にとって有意義な場になった。
 
参加者が30名程度という規模もちょうど良かったと舘林氏は振り返る。1泊2日のため、食事の時間には参加者同士でじっくり話ができる。帰る頃にはお互い全員の顔と名前が一致していたと話す。
 
結果的に「第1回 Digital Transformation Meetup」では、SQUEEZEに4社から連携や投資などの声がかかった。そのうちの一つに、青森県観光連盟がある。インバウンドが伸びている青森には、いろいろな国から観光客が来ている。しかし小規模な宿泊施設では、多言語での対応が難しいところが多い。SQUEEZEの24時間6カ国語対応のコンシェルジュサービスは、宿泊施設の運営側で手が回らない部分をサポートできる。また、鍵の受け渡しや清掃など運営管理の部分はクラウドソーシングの仕組みを取り入れ、地元の人の働く機会も提供している。地元青森の宿泊施設のためにこれらのサービスの必要性を強く感じた青森県観光連盟の高坂幹氏は、舘林氏がプレゼンを終えるとすぐに声をかけた。
 
従来の宿泊業界が丸ごと抱えていた多様な仕事を、分解・切り出す「事業のアンバンドリング」で成長するSQUEEZEは、今後、小さな旅館やオーベルジュ、ホテルもターゲットに、宿泊業界のDigital Transformationの旗手として、さらなる飛躍が期待される。

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